主要航空会社の財務力をみる

2020.7.10.

主要航空会社の財務力をみる

(その1 世界のフラッグキャリアー)

 

 世界の主要航空会社の財務力(特に資金力)に注目して比較してみました。

1回目は世界のフラッグキャリアーについて、次回は世界のLCC及び破綻会社を扱います。

(注)もとになる情報と指標の算出方法;

2019年(年間)及び202013月期(四半期)の各社決算情報にもとづく。

大半の会社が12月決算であるが、中にはANA/JALのように3月決算もある。

(この場合1-3月四半期値は2019年間値にも含まれる。)

なお金額は全て至近の為替レート(表上に明示)で円換算したもの。

 

     欧米6社と日本の2社;

  年間売上規模; 米国3社とLH(ルフトハンザ)は5兆円規模、AF-KLIAG(中心となるの 
    が英国航空)は3兆円規模、日本の2社は1.52兆円規模。

  2019年損益; DL5000億円を筆頭に1000億円超が並ぶが、AF-KLは低め。

       日本ではJALANAより大きい。

  2020.13月損益; コロナの影響で3月に大幅に悪化し、DLを除き、軒並み2000億円 
    を超す赤字。日本ではANAの赤字が大きい。

  自己資本比率; AA(アメリカン)が債務超過、AF-KLも累損によって資本が底をつきかけ
    ている。 他の4社は20%程度。 ANA40%台と高めだがJALは更に高い
    60%台。

 

  現貯金と借入金(含社債、リース負債)を、売上高の月数(〇ヵ月分)で見た。

AAは手元資金が少なく(0.9ヵ月)、借入金が多い(7.5)。その差は-6.6ヵ月分。

AF-KLは手元資金はそこそこあるが(2.4ヵ月)、借入金が多く(7.9)、差は-5.6ヵ月分。

IAGは多い借入金(6.7)と多い手元資金(3.1)→差は-3.6ヵ月分

LHは手元(1.6)に対して借入金は(3.5)で、差は-1.9ヵ月分と少なめ

DLUAANAは手元(約1.5)、借入金(約5)→差は-3ヵ月分程度

JALのみ借入金(1.6)を上回る手元(2.8)で、差はプラスになっている。

 

  借入金依存度(借入金÷純資産x100(%));

収益性の低いAF-KLAAが借入金への依存度が高く、LHDLANAUAIAG2640%のレベル、JAL10%と図抜けて低い。

 

 

  以上より、AAAF-KLの財務力は弱め、日本の2社は強め、特にJALは突出して高いといえよう。 但しコロナの影響は、こうした差を呑み込んで余りある巨大なものになると予想され、JALとてその例外ではないと思われる。

 

        アジア・オセアニア等の5社;

  年間売上規模; エミレーツと中国国際航空(CA)が2兆円台、他の3社は1兆円台。

  2019年利益; 大韓航空とSQ(シンガポール航空)は赤字、他の3社は黒字。

・ 2020.13月損益; エミレーツとQantasは不明、他の3社は500800億円規模の赤字。

  自己資本比率; 中国国際とSQ30%程度だが、エミレーツとQantas10%台、   
       大韓航空は10%を切っている。

 

  現金と借入金(含社債、リース負債)を、売上高の月数(〇ヵ月分)で見た。

Qantasは手元資金(1.4)、借入金(3.5)差は-2.0ヵ月分。

SQとエミレーツは手元資金が比較的多めであるが、それをはるかに上回る借入金があ

り、差は夫々-6.5月分、-11.9月分と大きい。

中国国際と大韓航空は、手元資金が少なく、借入金が多い。 従ってその差は大きく-10月を超えている。

  借入金依存度(借入金÷純資産x100(%));

QantasSQ30%前後、他の3社は50%以上と借入金への依存性が高い。

 

 

  以上より、QantasSQはフラッグキャリアーとして平均圏内、エミレーツと中国国際は規模が大きく利益も稼いでいるが借入金への依存も大きい。 大韓航空は収益力・財務力ともに低めとなっている。

 

以上(Y.A