香港の航空市場とキャセイ航空の現状

2020.9.15

香港の航空市場とキャセイ航空の現状

貨物便が席捲する香港空港

 

香港空港の旅客・貨物市場、そしてキャセイ航空(CXCathay Pacific)の業績や財務の現状について概説します。

注) 香港空港当局、CX等のデータによる。

また金額はHKD=13.70円で円貨に換算して表示している

 

 

1.香港空港の発着便(95日の実績より) ; 6割以上が貨物便

香港空港の95日の運航状況から出発便を抽出してまとめたものである。

 

・ この日の出発便は174便であり、うち旅客便は69便、貨物便が105便であった。

      旅客便のうち29便(42%)がCXであり、香港航空(※1)が5便で、両社で約5割であった。

その他は、アジア系を中心に各方面の航空会社である。

      貨物便のうちCXは、系列のエアー香港を含めて31便(30%)であった。

ほかに香港エアカーゴ(※2)が9便を運航。

外国の貨物便は、FedexUPS等一貫輸送型や、CargoLux等貨物専門会社など多彩な

顔ぶれであった。

  (※1)香港航空; 民主化デモ等の影響もあって業績が極度に悪化し、再建途上にある。

  (※2)香港エアカーゴ; 香港航空の子会社で5機のA330貨物機を運航している(2月現在)。

 

 

            【95日の香港空港出発便】


 

 

2.香港空港の市場の現状(2020.17月実績) ; 旅客便▲9割減、貨物便1.2

香港空港の便数、旅客数、貨物量について、17月の実績を、前年と比較しながら整理した。

 

    便数の推移と現状;

(旅客便) 前年同時期の1日当り出発便数は501便であった(発着回数÷日数÷2で算出)。

 1月は▲1割減、2月には半減、3月には▲8割減となり、以後前年の1115%の規模

で推移している。

(貨物便) 前年同期は1日当り76便であったが、2月以降は前年を上回る状況が続き、

 

   4月以降は前年の1.21.3倍の規模となっている。

 

1日当りの便数推移と現状】

   ・7月の旅客便は59便で、
前年同月の12%(▲88%減)

 

   ・7月の貨物便は95便で、
前年同月の1.21


  

    旅客数の推移と現状;

・ 前年同時期の1か月当りの平均発着旅客数は637万人であった。

  うち313万人(約半分)がCX旅客である。

・ 1月は前年より▲12%減の572万人であったが、急激に悪化して4月には▲99.6%減のわずか3万人にまで落ち込んだ。 以後回復が遅れて現在に至っている。

 

・ 各月、総旅客数の約半分がCXの旅客で推移している。

 

 

 【各月の発着旅客数】

   ・7月の旅客数は10万人で、
前年同月の▲99%減。

   ・7月のCX旅客は4万人。

 

 


 

    貨物量の推移と現状;

・ 前年同時期の1か月当りの平均貨物量(発着)は385千㌧であった。

  うち164万㌧(43%)がCXグループ(含エアー香港)の貨物である。 

・ 以後毎月350380千㌧規模(前年の約9割程度)で推移している。

・ そのうちCX1/31/4程度を占めている。

 

 

 

【各月の発着貨物量】

   ・7月の貨物量は372千㌧で、
前年同月の▲7%減。

 

   ・7月のCX貨物は102千㌧。


 

3.キャセイ航空の事業構造(2020上期)

  

    傘下の子会社; キャセイ航空グループは、本体と傘下3つの航空会社とからなる。

・ キャセイドラゴン航空; 資本参加(1990)を経て2006年に100%子会社とした。

小型機~中型機により、短中距離で、CX本体ではカバーできない路線を主に担当。

但し運営はCXと一体化して行っているのが実情。

・ 香港エクスプレス; 香港をベースとするLCC。 20193月に、経営が立ち行かなくなった海航集団から買い取り、完全子会社とした。

・ エアー香港; 貨物専門会社。 1997年に子会社とした。

大型機で長距離輸送のCX本体に対し、中型機でアジア地域の輸送を担っている。

 

    機材構成; 235

・ キャセイ航空本体は大型機、子会社が中小型機という構成になっている。

 

・ 約半分が自社保有、残りがリース機となっている。

 

 【CXグループの機材構成】(2020.6月)

 

 

4.キャセイ航空の収支実績(2020上期) ; 収入半減、赤字規模▲1500億円

 

① 2020上期の収支実績;

・ 2020上期(16月)の収入は前年のほぼ半分の3791億円であった。

・ 旅客収入は▲7割減の1515億円、他方貨物収入は前年より増えて1739億円となり、

旅客輸入を上回った。

・ 減便や削減により営業費用等も減少したが、▲3割に留まった。

・ ほかにリストラ等に伴う特別費用(※3)が338億円発生した。

・ この結果税前利益は▲1495億円の大幅赤字となり、最終利益は▲1351億円と
    なった。

(※3) A350A321の導入先送り(B777はボーイング社と交渉中)

       役員報酬のカットと大幅減給を伴う帰休制度の実施、

   海外乗務員基地の閉鎖

       取引業者への支払い時期の延期 等

 

・ なお貨物収入の増加は、輸送量(RCTK)は▲25%減少したものの、単価が1.46倍に
上昇(28.842.1/㌧㌔当り)したことによる。

 

 

2020上期の収支実績】

 

② 事業別収支実績;

     ・旅客事業は大幅赤字ながら、貨物子会社(エアー香港)は黒字となっている。

  

 

      【事業別損益】(2020上期)

  

5.キャセイ航空の財務状況 ; 

 

      2019年は1.46兆円の収入で税前利益294億円を計上している(利益率2%)。

      2020上期(16月)は収入半減の3791億円で、▲1495億円の赤字で損失率は39%。

      借入金残高は期首に比べて429億円増加して1.37兆円となった。

一方手元資金は▲1029億円減って1008億円となった。

      その差約1500億円は、設備投資(226億円)や赤字などで流失したもの。 

      上期末の現預金1008億円は売上高(2019)の0.8ヵ月分であり、極めて少ない。

他方借入金残高は11.3ヵ月分である。

      純資産は赤字によって減少し6764億円となった。

      資産効率を見る機材回転率(2019)は0.76回と低め。

借入金依存度は51%と高く、自己資本比率は25%となっている。 

   手元資金に余裕がなく、新たな資金調達が必要な状態にある。

   それを行ったとしても、借入金の膨張は金利負担を過重にする。

   今後の動きを注目してみていきたい。

 

 

【財務状況】(2020上期)

以上

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