タイの航空市場;構造と現状(1)

2020.10.27.

タイの航空市場;構造と現状(1

 

今回はタイの航空旅客市場の構造と現在の状況について2回に分けて概観します。

前半にあたる今回は、概観とバンコク2空港(スワンナブーム/ドンムアン)における国際線旅客市場の構造を述べます。 次回はその国内線とプーケットの旅客市場構造、そしてタイ航空旅客市場の現況について述べます。

なお市場構造は2019年の実績を、現況は202018月の実績をもとにしております。

注)データはタイ当局や各社データ、一部はwikipediaによる、また地図はグーグルMapによる。

 

Ⅰ.タイ航空市場の構造; 米州路線&米国航空会社乗入れが皆無

 

1.         タイの航空市場概観; 

下表1はタイの商業空港と発着旅客の規模(2018年度実績)を、下表2はその中から旅客数の上位11空港を、下図3はその11空港を地図上に示したものである。

 

1)商業用空港は38あり、そのうち主要6空港をAOT(タイ空港公社)が管理、28空港(国内線が主)を政府の空港局が、1空港は海軍が管理している。

またリゾート島のサムイなど3空港は、Bankok Airwaysの私有である。

発着総旅客数は約1.6億人であるが、旅客数を発着双方でカウントする国内線を調整する

と、国内線旅客実数は約4000万人(日本の約36%)、国際線が約9000万人(日本の約9割)の規模といえよう。

 

2)AOT6空港の発着旅客数は約1.4億人で、うちバンコクの2空港(スワンナブーム;BKK、ドンムアン;DMK)で1億人を占める。 DMKは専らLCCが利用している。

それに、プーケット(1800万人)、チェンマイ(1100万人)が続く。

空港局管理空港のうち3空港が200400万人台、Bankok Airways所有のサムイが263万人、海軍管理のウタバオ空港が186万人である。

 

 

  【(表1) タイの商業用空港の管理者と旅客数(2018年度※)】 ※2017.102018.9

  【(表2) 主要11空港と旅客数(2018年度)】    【(図3)主要11空港地図

 

2.         タイの航空会社;

下表4にタイの航空会社10社の概要を示した。

 

1)  タイ(国際)航空(Thai Airways International);

国営(政府持株51%)のフラッグキャリアーで、全機が中大型機(201983機)であり、国際線を

中心に運航している。 業績低迷の中でのコロナ禍直撃で経営は破綻し、再建中である。

旅客数は2000万人弱、収入規模は旅客収入約5000億円を含む6300億円規模で、2019年度は既に赤字である。(タイ航空についての分析は別途行う予定。)

2020.10月現在で機材は減少して75機となっている。

 

2)タイ航空の傘下に100%子会社のThai Smileがあり、小型のA320型機20機で、国内線と近距離国際線を運航している。

同じく系列にLCCNok airもあるが、現在破綻で再建中。

またNok airScoot合弁の中長距離LCCNok-Scoot」も破綻して2020.6月に営業を終了した。

 

3)民間資本のBankok Airwaysは国内線と近距離国際線で堅実な経営を続けている。

小型40機で年間約600万人を運び、収入約1000億円、利益も出している(2019年度)。

 

4)外資系では、AirAsia系列で、Thai AirAsia(小型機LCC)があり、タイ航空に次ぐ事業規模である。 ほかにも中長距離LCCThai AirAsiaXがある。

外資系はほかにも、Lion Air(インドネシア)系列のThai Lion air、 Vietjet(ベトナム)系列のThai Vietjetがあり、夫々国内線/国際線で一定の事業規模を確保している。

   ほかに民営のNew Genもあったが、破綻して20198月には運航を停止した。

 

   【(表4) タイの航空会社】(金額はTHB=3.38円で円換算して表示) 

 (Thai Airways Int’l)   (Bankok Airways)    (その他の航空会社) 

 

3.         タイ航空市場の構造(AOT管理空港実績をもとにした分析); 

 

    AOT管理空港の実績(2019年度);

   下表5AOT管理6空港の2019年度旅客数を示したものである。

メインのスワンナ゙ブーム空港(BKK)は世界からの路線便数が集中している。 国内線もあわせた旅客数は約6500万人。

ドンムアン空港(DMK)にはLCCが集中、旅客数は約4100万人。

リゾートのプーケットは、バンコクからの国内線旅客のほか、世界各地から観光客が訪れている。

チェンマイ、ハートヤイ、チェンライの3空港は国内線旅客が多い。

ここではまずBKK/DMKの市場構造を、その次にプーケットの構造をみることにする。

 

 

   【(表5AOT管理6空港の旅客実績(2019)】

 

    BKK/DMKの国際線旅客構造(2019年度); 

国際線の旅客数はBKK5346万人/DMK1786万人、計7132万人である。

下図6は旅客の路線(国)別割合、下図9は旅客の航空会社(国)別割合を示している。

また下表8は、左側に路線別旅客数(BKK/DMK別)、右側に航空会社(国)別旅客数(BKK/DMK別)を表わしたものである。

さらに下表9は、表8の一部(※14)について、詳細を示したものである。

 

1) アメリカ路線はなく、アメリカ航空会社も就航していない。

 

2)6; 旅客の路線別割合をみると、中国路線(22%)、日本路線(9%)など北東アジア路線   
    で46%を占める。

・ 東南アジア路線が26%を占める。

      インド等の西アジアが9%、欧州も9%、中東が7%である。

 

   3)図7; 航空会社別割合をみると、タイの会社がほぼ半分(49%)を占め、うちタイ国際航空が23%である。

  ・ その残り(51%)を、ほぼ路線割合に応じて外国航空会社が分け合っている。

     日本の会社(ANA/JAL/Peach)のシェアは2%と、路線別割合に比して大幅に低く、日本路線客の多くが日本以外の会社で運ばれていることがわかる

       ・      逆に中東キャリアのシェアはほぼ路線旅客並み⇒中東路線のほぼ全てを自社で運んでいるといえる。 

 

  【(図6BKK/DMK国際線旅客の路線別内訳】 【(図7)同左 航空会社別内訳】

 

4)表8; 表の左半分は旅客の路線(国)別内訳を、右半分は航空会社(国)別内訳を示している。

      路線別内訳; DMK発着には、北東アジア、東南アジア(いずれもLCC旅客)が集中しており、欧州・中東等長距離路線は見当たらない。

BKK発着には、あらゆる路線が揃っている。

 

      航空会社別内訳; DMK発着(1786万人)の大半(1552万人)がタイ系LCCで運ばれており、そのシェアは87%を占めている。

一方BKKでは、タイ系航空会社のシェアは39%(外国会社のシェアは61%)であり、

外国は、自国客の多くを自国航空会社で運ぶ形がみられる。

 

      各路線(国)を詳しくみると、いずれも参入している会社数が多いことがわかる。

突出して輸送量の多い会社も少なく、多数の会社で輸送実績を積み上げている。
各社にとって、バンコクはそれだけ参入魅力が大きいのであろう。

      (例) 中国キャリアー; 17社で736万人、韓国キャリアー;6社で271万人

          ベトナム3社で142万人、カンボジア/ミャンマー計5社で58万人

          更にはロシア系6社で89万人 など

 

 【(表8BKK/DMK国際線旅客数の路線(国)別、航空会社(国)別内訳(2019)】

 

【(表9)表8の※14の詳細】

  各国への路線数が多く、そこに就航している航空会社は更に多いことがわかる。 

   (中国航空会社の内訳)     (西アジア、欧州、中東の路線別/航空会社別内訳)

以上

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