エアアジアの経営・財務状況を読み解く(その4)

2020.7.1

    コロナ禍直撃で資金繰りの危機?

エアアジアの経営・財務状況を読み解く

(その4 グループ内各LCCの収支) 

 

  エアアジア分析レポートの4段目(最終)です。

ここではエアアジア・グループ内のLCC6社とエアアジアXの収益性をみます。

 

1. エアアジアグループ6社の収益性(2019実績) 

 

    6社を概観する;

1)エアアジアGA320型機(180席)、A320型機(186席)を保有している。

2)各社の事業規模をみると、最も大きいのはMAA(マレーシア)で、97機を保有し1887億円の収入をあげている。

TAA(タイ)が続き、そのあとIAA(インドネシア)、PAA(フィリピン)、AAI(インド)が収入500600億円規模でほぼ並ぶ。AAJ(日本)は3機で40億円の収入。

3)営業利益を上げているのはMAAPAA2社のみ。 

赤字4社のうち、その規模ではAAI(インド)が大きい。

またAAJ(日本)の赤字額は収入を上回っている(即ち費用が収入の倍以上)

4)平均路線距離は1000km強でほぼ並び、機材稼働は5.2便/日(IAA)~6.5便/日(MAA)の幅内にある(AAJを除く;以下同様)。

換言すれば、MAAの機材は毎日7862kmを飛び、AAIの機材は6002kmを飛んでいるということである。

   但し、実際はStanby機があるため、実稼動機に限ればこれより高い数値となる。 

5)便当りの収入は826千円MAA1100千円PAAの幅内にあり、

便当り費用は771MAA1061千円PAAの幅内にある。

6)旅客単価は5118千円AAI6945千円PAAとかなり広い幅内にあり、
座席コストは4232
MAA5894千円PAAの幅内にある。

7)搭乗率は84MAAIAA89AAIの幅内にある。

BE(損益分岐利用率)MAA80%を切っているが、AAI100%超(満席でも赤字)である。 

 

 

    【エアアジアグループ各社の収益性(2019年)】 (円換算額※)

 ※RM=25.12円、IDR=7.37/1000円、PHP=2.17円、THB3.44円、INR=1.43

    

 

    LCC各社の収益性をみる; 

1)               MAA(マレーシア); 便当り利益は54千円と最も大きい

    旅客単価は5383円と低めで搭乗率も84%とLCCとしては高くはない。

その結果便収入は826千円と6社内では最低である。
しかし座席コストが4232円と破格の低さ→便費用が最安の771千円。

コストの安さが利益を生んでいる。

(注) グループ他社へのリース機収入が混入している可能性がある。

    もしそうなら(推算で除外すると)収支トントン程度となる。

 

2)               IAA(インドネシア); 便当り利益は▲26千円の赤字

単価6226円の旅客が150人(搭乗率84%)で便収入は937千円。

座席コスト5352円→便費用は963千円で収入より多い。

コストの高さには機材稼働の低さ(5.2便/日)も絡んでいると思われる。

 

3)PAA(フィリピン); 高い旅客単価x高搭乗率で、便当り利益は39千円の黒字

6945円と高単価の旅客が158人(搭乗率88%)で便収入は1100千円。

座席コストも5894円と高い→便費用も1061千円と5社中最も高いが、収入の

多さがそれを上回って黒字となっている。

 

4)               TAA(タイ);旅客単価x搭乗率がもう一息で、便当り利益は▲21千円の赤字

機材稼働は6.2便/日でそこそこのレベル。

単価6240円の旅客が153人(搭乗率85%)で便収入は957千円。

座席コスト5414円→便費用978千円で収入より多い。

機材稼働、旅客単価、搭乗率、座席コストがいずれもそこそこレベルにあるが、

黒字化には何かを強くする必要がある。

 

5)               AAI(インド); 旅客単価が低く、便当り利益は▲149千円の大幅赤字

旅客単価が5118円と低いために、162人の旅客(89%)でも便収入は832千円。

座席コストは旅客単価を上回る5359円。 よって満席にしても赤字の状態。

既に28機も投入し、規模拡大中であるが、旅客単価を上げない限り、赤字が膨らむだけと思われる。

 

6)AAJ(日本); 規模が整わず、収入は費用の半分も稼げていない

日本の旅客単価(8247円)は他の5社に比べて格段に高いが、コストも高いため、黒字化には骨がおれる。 事業規模が整わないと採算化は難しかろう。

 

     《参考》 AirAsiaXはエアアジアグループのLCCと事業構造が異なる。

           機材は中型のA330377席)で、中長距離を事業領域としている。

           旅客単価はエアアジア各社の約3倍、便収入は約5倍である。

           機材稼働は、Stanby機を除き、2.0便(1往復)/日が規準となる。 

 

2. エアアジアXの収益性(20162019実績推移) 

 

    収益性の推移をみる; 2017をピークに収益性は低下

1) 機材3039機と拡大したが、収入が伴なわず赤字に転落。

これを20172019年の対比でみると;

2)収入単価が1767716604円と低下、かつ搭乗率も8281%と低下したため、便収入は54405081千円と大幅に落ち込んだ。

3)他方座席コストは1402414774円と上昇して、便費用は52875555千円と増加。

便費用が、便収入を大きく上回るようになった。

4)機材稼働も1.71.4便/日と低下している。

5)89%にもなってしまったB/Eを改善する必要があり、そのためには旅客単価の向上は不可欠と思われる。

 

 

        【エアアジアXの収益性推移】 (円換算額※)

 

    コストの推移をみる; 機材関連費用の増加が大きい

1) 20172019年に便費用は52875555千円と増加しているが、内訳をみると;

2) 燃油費や整備費が増える一方で、空港使用料、人件費、他の費用が減少し、これら

   合計では+55千円(+1%)の増加となっている。

3)機材関連費用(償却費+リース料+支払利息(含リースの利息相当分)-グループ他社への機材賃貸収入)が大きく増えている。+213千円(+26%)

   保有機の売却で資金回収→リースバック化の影響がここにも出ていると考えられる。

 

    結論として、黒字化のためには、旅客単価、搭乗率双方の改善が不可欠である。

    低い機材稼働を高める(含減機)ことも必要であろう。

 

 

         【エアアジアXの便当り費用の推移】 (円換算額※)

 

以上(Y.A)

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大韓航空、驚きの黒字転換でも喜べないワケ(JB press8.7)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61615

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Aviationwire2020.8.3. 全文を読むためには会員登録が必要です。)

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