フォーカスライトJapanでは、PhocusWire Daily (phocuswire.com) の毎日のニュースを
意訳して、毎週 月曜日更新の「海外事情」に掲載しています。
「海外事情」は、この他に TD 勉強会( www.e-tdb.com )と、その一部を
トラベルジャーナル(TJ)の隔週コラム「FROM THE WORLD / 海外事情」にも
掲載しています。
2020年以前の「海外事情」は、TD 勉強会 www.e-tdb.com のアーカイブにて
ご覧になれます。(TD = Travel Distributionの略です。)
TD海外事情 12月26日号 NEW
2023年の最後なので、2022年を振り返ったり総括したりする記事が、
「7. フォーカスライトのベスト2022レポート」、
「10. 2022年、主要トピックス、人物、ニュース」、
「15. 2022年10大ニュース」
と3つもあった。今年の状況がどんな風だったかを確認することができる。
2022年10大ニュースは、逆順で、次の通りである。
10. エクスペディアグループ、新戦略の一環としてマーケットプレイス、テックプラットフォームを刷新
9. 不況がバケーションレンタル供給にとって好材料となる理由
8. 旅行がメタバースに参入する時期が来た理由
7. グーグル、航空券のBook on Googleを段階的に廃止
6. ウクライナ侵攻を受け、セイバー、アマデウス、トラベルポートがロシアの航空会社アエロフロートから運賃を引き上げた。
5. 2022年の旅行フィンテックを形成する4つのトレンド
4. オンライン旅行会社の状況
3. NFTとメタバースが航空会社のロイヤルティプログラムに意味するもの
2. ホテル向け「Book on Google」、低利用率で閉鎖へ
1. 2023年注目のトラベル・スタートアップ25社を発表
参考までに2021年の10大ニュースは、逆順で、以下の通りであった。
10. Airbnb CEO Brian Chesky
9. Googleの2022年の旅行トレンド
8. Amadeus booking platformにMarriott参加
7. Booking Holdings、ETraveli Group 買収
6. 社説:GDS統合はあり得るか
5. Booking.comがロックダウン中に市場シェア獲得
4. ExpediaがEgenciaをAMEX GBTに売却
3. Google ホテル予約リンク料金廃止
2. PhocusWire Hot 25 新興企業
1. Bill Gatesの間違った法人旅行50%減少予測
(詳しくはwww.e-tdb.com 2021年12月27日号参照ください)
(編集人)
目次
1. 連載小説「XYZドットコム」Uのマーティング講座(その3)第25話
2. VIDEO: チャージバックTravelX
3. 新興企業の舞台:Tripesa
4. グローバル トラベル シンクタンク報告「将来の旅行方法」
5. エクスペリエンス成長
6. 中国無しのアジアの旅行回復
7. フォーカスライトのベスト2022レポート
8. 旅行イノベーション活性化の見えないソリューション
9. 旅行、いかにパーソナル化と標準化するか
10. 2022年、主要トピックス、人物、ニュース
11, 決済、いかに価値増と軋轢減させるか
12. 次世代グループ予約、航空会社収入増加
13. OTAの4人のCEO、未来の可能性 語る
14. 2023トラベルテックショーに期待すること
15. 2022年10大ニュース
1. 連載小説「XYZドットコム」Uのマーティング講座(その3)第25話
A: まだ起きておられますか〜?追加の質問です。
H: ちょうど睡眠薬を呑むところだ。
A: よかった!間にあった。薬はちょっと待ってください。
どうも僕の理解が悪くてすみません。PERのところなのですが、ブッキングもエクスペディアもほぼ同じの30以上ですよね。投資家たちが、パンデミック後の旅行の将来性を買っていると言うことは理解したのですが・・・、エクスペディは損失を計上しているのに、PREが高いなんておかしいじゃないですか?
H: A君、君は時間軸を読み違えているね。エクスペディアの損失は2021年度決算、PERの数値は現時点の数値だよ。2021年度は損失計上なのでPERはマイナスとなって、株価収益率(PER)の意味をなさないことになる。
それから、エージェンシーとマーチャントのビジネスモデルの違いについて、絵を作ったので送ります。
A: 損失は2021年度、PERは現時点、分かりました。エクスペディアも、最近に至って利益を計上し始めたのですね。それからビジネスモデルの図、ありがとうございました。これがあれば皆の理解も進む。機内でこれだけの仕事ができるなんてすごいですね。
H: Wi-Fi環境さえあればリモートで何でもできてしまう。ブッキングやエクスペディアの財務諸表もネットで全て閲覧できるしね。全く困らない。時差で眠れないのでかえって集中できたりして・・・。
A: Hさん、世界最大だけあって、ブッキングもエクスペディアも、その規模は巨大ですね。取扱高は年間10兆円、2社合計では20兆円となる。このほかにもグーグルトラベルやエアビーがある。これらの外資OTAが日本市場でも販売攻勢をかけてくれば・・・この前の三金会でY部長が「コンテンツを強化しろ」と号令をかけていたけれど・・・我々XYZはやっていけるのでしょうか?将来は大丈夫なのでしょうか?
H: 確かにグローバルOTAの規模は桁違いだね。しかし両社も言っている通り、世界の旅行市場はとてつもなく大きいんだよ。
WTTC(世界旅行ツーリズム協会)は、パンデミックの影響前2019年の市場規模を、世界GDPの10.3%(9.6兆ドル)と推定している。だから、ブッキングとエクスペディアの合計取扱高2,000億ドル(約20兆円 fx $1=¥100)は、たったの2%未満と言うことなる。尤もWTTCの9.6兆ドルは、経済波及効果も入れての話なので、これを除去して市場規模を約5兆ドルと仮定すると5%未満ということなる。
果たして、この分析が正確なのかどうかは、数値が桁違いに大き過ぎてイメージが掴めず・・・よく分からないのだが・・・。
しかし誰が考えてみても、この100%全てが、旅行会社が獲得できる市場規模とはならないよね。つまりこのうちで獲得可能最大市場規模(TAM=Total Accessible Market)がどのくらいになるか?が問題となる。仮にTAMが分かっていたとしても、そのうちで販売可能市場(SAM=Total Serviceable Market)がどのくらいになるのかを突き止めないとダメだよね。
米国の旅行流通調査機関フォーカスライトは、パンデミックの影響がない場合の世界の旅行消費額を1.9兆ドルと推定している。これが旅行市場のSAMであるとすれば、ブッキングとエクスペディアの2強のシェアは、2社合計でおよそ10%となる。
この10%を大きな数値として捉え、競争余地があまり無いと考えるのか、それとも未だ10%なのだから、残りの90%の余地が残っていると考えるのか、どちらの考えを取るかによって、対応が大きく異なるようだね。
これは、P.F.ドラッカーの「コップの水の理論」だ。「コップの水がもう半分入っている」と捉えるのか「・・・まだ半分が空だ」と捉えるかの違いを説いている。そしてまだ半分が空だと考えることこそが、イノベーションが起こさせる原点になると言っている。
A: よく分かりました。Hさんは、随分と物知りですね。
H: こんなことを言うと、会社では嫌な顔をされて「アカデミックだなー」と揶揄されてしまうんだよ。
A: 私も会議でデータ分析を発表すると、陰で「君はビーンカウンター(bean counter)だ」なんて皮肉を言われる。そして時系列の分析は、パンデミックの激変で無用の長物になったってね。
H: しかし、ある程度の理論と厳然たるファクトに基づくマネジメントはマスト必要だ。確かに時系列分析は、パンデミックで実績系のデータが役立たなくなってしまっているのだから、その通りだよね。しかし、現下の競争環境を判断するには、またベンチマーキングするためにも、データ分析はおろそかにできない。我々のY部長は、その辺りをよく分かっている。君は、しっかり今まで通り仕事をすれば良い。変なことを言うやつには僕が言ってやる。
話を戻そう。A君も指摘した通り、グーグルトラベルとエアビーの存在もある。グーグルトラベルは、メタサーチなので、OTAの広告媒体であり競争相手ではない。
エアビーは、2020年12月に上場を成功させて急成長している。ホームシェアの革新的ビジネスが、パンデミックの三密回避と、リモートワークの需要のニーズにドンピシャと合致して業績が急上昇している。ホテルの人混みを嫌ったり、リモートワークの適当な場所を探したりして、特に郊外のホームシェアを利用する人たちが鰻登りに増え続けている。
エアビーは、そんな特需もあってか2022年からは安定した利益計上の軌道に乗ったみたいだ。ホームシェアやバケーションレンタルは、既存のホテル業界に対する代替宿泊施設と呼ばれているが、どうやら確固とした地盤の上に成り立つ、ホテルとは真正面から対抗する独立したバーティカルに成長したようだ。
大手ホテルチェーンも、慌ててこの代替宿泊っていうか短期レンタルっていうか、この新しい市場に参入し始めている。
A: エアビーの2021年1月〜9月の46%増収、15億ドルの利益計上(利益率24%)は凄い。この総取扱高約5兆円を加えると、エクスペディア+ブッキング+エアビー3社のグローバルシェアは、10%どころでは無くなってくる。
H: このシェアは、オフライン販売も含めた総旅行市場におけるシェアだね。これをオンラインだけに限ると、オンライン販売率はおよそ50%なので、3社のシェアは倍増して25%程度となるようだ。これもフォーカスライトの調査だが、米国では、エクスペディアとブッキングを合わせた2021年のシェアは、OTA市場のおよそ93%を占めている。完璧な2社寡占体制が出来上がっている。
それに加えてライドシェアのウーバーが、アプリでフライト、ホテル、レストランの予約を取り込んで、旅行のスーパーアプリを作り始めている。ウーバーのCEOは、元エクスペディアのCEOだった人だから旅行業界を熟知している。ウーバーも手強い競争相手となるようだね。
A: えーっ、日本市場でも米国のような寡占状態になるようなことがあれば・・・我々は生き残れないってことですか?
H: そうかもしれない。ステータスクオで坐視して何もしなければキットそうなるだろうね。または、外資OTAとパートナーを組んだB2B2Cのビジネスモデルとなるのかもしれない。君も知っての通り、すでにエクスペディアは、日本で多くの中小旅行会社とのEAN(Expedia Affiliated Network)提携を展開しているね。
A: 外資OTAの軍門に下るなんて許されないですね。これは一大事だ。
H: だからイノベーションなのだよ。創意性と革新性を発揮して事業のイノベーションを引き起こすとことが重要なんだ。この前Y部長も言っていたが、伝統的旅行会社は新規事業開発に努力している。これからは、ブロックチェーンの分散型台帳技術、デジタルツインのメタバース、他産業と提携したトラベル エコシステムの構築が鍵となると思うよ。
A: イノベーションと言っても・・・。それってすごく難しいじゃないんですか。
H: 決して、簡単ではない。さっきの半分水が入ったコップを思い出して欲しい。できっこないなんて思わないで、もっとポジティブに考えないと。
ブッキングのコネクテッドトリップ、エクスペディアのオープンワールド、エアビーのエクスペリエンスを含む総合旅行社構想、世界のジャイアンツたちは、明確な戦略を打ち出している。そしてトラベルテックへの投資に怠りない。
しかし、3社が力を入れている目的地のTAA(目的地ツアー、アトラクション、アクティビティ)やタビマエのビジネスは、単価が低く利幅が小さい儲からない領域なんだ。コネクテッドトリップと言っても、ブッキングの航空券販売は、至近9ヶ月間で1,600万枚、これを往復2枚として人数に換算すると800万人となる。1ヶ月で89万人、1日平均およそ3万人となる、大きな数ではないよね。ブッキングの同期間の宿泊日数は6億8,500万泊だ。
日本ではIATAの航空券販売のライセンスをとっているエクスペディアだって、その航空券販売額は、総収入のたったの3%だ。宿泊収入は80%だ。圧倒的に宿泊施設の販売が中心なんだ。エアビーの総合旅行社構想も、パンデミックで中断したママのようだ。最近なんの新しいニュースも出て来ていない。
何を言いたいかって言うと。タビマエ→タビナカ→タビアトの全てを含めたエンドツーエンドの旅行を販売するって言っても、その実現はジャイアンツたちだって手こずっていて難しいようだ。
僕は、これからは、従来からやって来た旅行業単体だけでは、食っていけない・・・って考えているんだよ。
そう考えると、産業を横断したトラベル エコシステムの構築が必要になるのではないかってね。自動車業界ではCASE、それからMaaSって話もあるよね。サステナの問題も避けて通れない。
エアビーは、見ず知らずの他人を自分の家に泊めるホームシェアなんて、とんでもないと投資家たちから言われたビジネスを見事に成功させた。このエアビーのイノベーションのおかげで、販売促進費は収入の20%未満に収まっている。
エクスペディアやブッキングの40%〜50%に比べて遥かに少ない。消費者によるブランド認知が大きので直販率が極めて高く、グーグルなどのキーワード入札やリスティング広告を買う必要がないんだ。
これを見ても、イノベーションが事業の成功の鍵を握っていることがよく分かる。
おっととA君、ベルト着用サインが点いた。もうすぐ成田だ。それでは、この続きは会社で・・・。
A: Hさん、すみません、長々と引き止めてしまって・・・。
(続く)
次週は、連載小説はお休みさせて頂きます。次回第26話以降は、1月9日号から掲載します。
2. VIDEO: チャージバックTravelX
PhocusWireのHot 25 Travel Startups for 2023の1つであるTravelXは、セキュリティ、透明性、効率性を高めるために、旅行業界向けのブロックチェーン
ベースの流通および小売インフラを構築している。同社は 2021 年に設立され、CEOのJuan Pablo
Lafosseが率いている。Juan Pablo Lafosseは、アルゼンチンを拠点とするオンライン旅行会社Almundo (2020 年に売却) の創設者兼CEOであり、それ以前は、Aerolíneas Argentinasの最高商務責任者であった。TravelXの技術により、航空会社は在庫をより効率的に管理し、それを代替不可能なトークン (NFT) にトークン化して、旅行者により多くの柔軟性を提供し、サプライヤーにより多くの収益をもたらす機会を生み出すことができる。 The Phocuswright Conferenceで、TravelXのトラベル サプライ部門の最高責任者であるErika Mooreが、同社の価値提案と、ソリューションの基盤としてブロックチェーンを使用している理由について説明する。Mooreはまた、あらゆるタイプの航空会社がTravelXのテクノロジーをどのように利用できるか、また関心が急速に高まると予想する理由についても説明している。
以下の完全な議論をご覧ください。
3. 新興企業の舞台:Tripesa
Tripesaは、アフリカの観光およびホスピタリティ管理部門の中小企業に力を与えている。エンティティは、ShopifyスタイルのSaaSプラットフォームである Tripesaを通じてビジネスを販売および管理できる。技術的スキルのレベルに関係なく、誰でも、eコマース対応の予約Webサイトまたはマーケットプレイスを構築し、予約と支払いを受け入れ、サードパーティのマーケットプレイスに流通して販売し、基本的なビジネス プロセスを年間180ドル(月額 わずか15ドル)という低額で管理できる。
Tripesaは、カスタマイズされたノーコード プラットフォームであり、小規模な観光事業者が商用のオンライン プレゼンスを構築および管理するのに役立つ。2021年に設立され、アフリカを拠点とするこの会社には17人の従業員がいる。アフリカの観光は、ツアー ガイドからレンタカー サービス、小物販売まで、中小企業のネットワークによって運営されている。これらの中小企業の多くは、オンラインでビジネスを行うのに苦労しており、これにより、顧客へのアクセス、支払いの受け入れ、業務の管理、成長に役立つ適切なビジネス データの収集が制限されている。その結果、彼らは価格を決定する大規模な中間業者に頼らざるを得なくなり、多くの場合、これらの中小企業の成長を制限することになる。Tripesaは、中小企業が商用オンライン プレゼンスを構築および管理できるようにする、カスタマイズされたノーコード プラットフォームによるソリューションを提供する。これは、大規模な目的地管理会社が顧客を提供するのを通常は待っていた中小企業が、独自のカスタムブランドの e コマース対応Webサイトを構築して、製品をパッケージ化し、顧客を獲得し、変換プロセスを自分で管理できることを意味する。複雑な技術的スキルを必要とせずに、オンラインで支払いを受け入れ、さまざまな販売チャネルに配布し、ソーシャル メディア マーケティングと顧客関係管理を管理できる。
現在、400人以上のユーザーを持つ最初の顧客がおり、日々成長している。SaaSプラットフォームの販売によるサブスクリプションから収益を得ている。支払い処理、リード生成、マーケットプレイスなどのカスタム ソリューションから追加の収益を生み出す。Tripesaは、アフリカの少なくとも5つの市場に参入する予定。5,000以上の中小企業で製品と市場の適合性を見つけることができる。
4. グローバル トラベル シンクタンク報告「将来の旅行方法」
10月3日、WiT、Phocuswright、PhocusWireが開催し、Accor Asiaが主催する初のGlobal Travel Tech Think Tankに約40人の業界リーダーが集まった。このイベントの目的は、「回復力を高め、責任を持って敬意を持って行動することで、旅行を将来的に保証する方法」という包括的なテーマの下で、旅行の今後の方向性についてブレインストーミングを行うことであった。
参加者には、シンガポール政府観光局の最高経営責任者であるKeith Tanが含まれていた。Expedia Groupのグローバル輸送サービス担当副社長James Marshall、T2ImpactプリンシパルTimothy O'Neil-Dunne、Accorの東南アジア、日本、韓国担当最高商務責任者Kerry Healy、Thayer Venturesの共同創設者兼マネージング
ディレクターであるChris Hemmeterが、次のように述べている。これは、2時間のシンクタンクからの要約レポートである。2023年以降に、より強く、より良く、より親切に再建することを楽しみにしている我々にとって、年末に掘り下げる価値のあるものである。Global Travel Tech Think Tankレポートの全文は、こちらからダウンロードしてください。
通常営業ではありえない
It cannot be business as usual
シンクタンクから得られた重要なポイントが1つあるとすれば、それは業界にとって通常のビジネスではあり得ないということであった。世界中で見られ、アジアで始まっている堅調な旅行の回復は、物事が正常に戻る理由として使用することはできない。これは、タンがシンクタンクへの冒頭の声明で表明した感情であった。彼は、「シンガポールが2022年に400万から600万人の訪問者を達成し、それを軌道に乗せたとしても、まるで変化していないかのように、元の生活に戻ることはできない。それは危険な認識だろう」と言う。
彼は、シンガポールが未来を再構築するための3つの柱、持続可能性、ウェルネス、テクノロジーについて概説した。その使命は、「認識を変え、目的地のリセットの道を切り開く」ことである。彼のオープニングに続いて、グループは回復力(Resilience)、責任(Responsibility)、尊重(Respect)の3つの目標を満たす重要なテーマを特定した。
7つのテーマ
政策決定/政府の規制: 政策決定において、より信頼できる耳を傾ける方法
リソースの割り当て: 政府が提供するインセンティブの一部は、業界の人的資本と才能の開発に向けられる。
レジリエンスの構築: パンデミック後の監査を実施して、現在の危機のダイナミクスを考慮して、データに基づいた意思決定と推奨事項を作成する。
旅行全体で標準化されたプロセスと手順: 民間セクター、地域社会を完全に関与させ、「業界全体 + 政府」アプローチを促進する、義務付けられた信頼できるガバナンス メカニズムを作成します。
才能: 新しい優秀な才能を引き付け、スキルを再習得する方法
Talent: How to attract new, smart talent and re-skill
流動性/異動性を促進する: 摩擦のない人材流動性により、可能性を最大限に探求する機会が増える。
従業員、組織、および業界の目的を一致させる: 真の目的により、従業員は、自分の仕事と、業界内での組織の広範な影響との間のつながりを認識することができる。
業界を超えた外部コミュニケーション: 旅行が提供する潜在的な機会とエキサイティングなキャリアパスに関する業界全体のコミュニケーション。
業界の福利厚生: 従業員の福利厚生を修正し、柔軟性、福利厚生、持続可能な労働基準を強調する。
新しいモデル
Nes models
顧客の視点から製品開発について考えてみて欲しい。ビジネスとレジャーの融合、サービスとしての生活、顧客は自動化についてどのように考え、受け入れてくれるだろうか?
宿泊施設のバリュー チェーンを再発明する。
スタートアップとの関わり – 解決策を求める声。
テクノロジー
Technology
世界中のバイヤーに旅行商品やサービスを販売するために、サプライヤがアプリ ストアのようにグローバルにインターネットにアクセスできるように、グローバルでオープンな分散型の旅行商取引プラットフォームを構築する。
どの旅行サプライヤーも、供給、空室状況、料金、ビジネスロジックなどをプラットフォーム上にアップロードし、ネットワークが提供するオープンAPIを通じて、OTA、メタ、GDS、航空会社、企業、第三者、マーケットプレイス、スーパーアプリなど、販売を希望するあらゆる事業者に販売ルールを見えるようにすることが極めて簡単にできるようにする。
供給データコンテンツと需要動向データを、透明で信頼できる方法で、プラットフォーム上の誰もが(供給者の同意を得て)アクセスできるようにし、プラットフォームの運営コストを支える範囲で、取引あたりの限界コストを小さくして配布するための商業ルールをあらかじめ定義しておくこと。取引とその払い戻しを処理するための低コストの国境を越えた支払い/決済プロセスを提供する。
非営利団体によって運営され、多様な団体を代表する管理組織によって、商業的な利益とは無縁の中立性を保つ必要がある。"商業モデルの利益は、ロングテールの旅行供給者の流通を民主化するという、これを行う理由全体を殺してしまうだろう。
地球を救う
Save the planet
公正で透明性のあるサプライヤーの最低限の属性について合意する。
一般の人々がそれを理解していることを確認して欲しい - カーボン オフセットを持つことの意味、私のお金はどこに行くのか、透明性は何か?
メトリクスを整備することで、消費者に持続可能なオプションを選択するための追加の価値/割引を提供できる。ロングテールの場合、大企業はソーラーパネルなどへの投資を補助することができる。
ピークを平らにし、旅行者が同時に訪れないようにする。
子供たちを教育プロセスに参加させ、幼い頃から良い選択をする。
より効率的な出張を行う - より長く、余暇と組み合わせ、持続可能性に関連する地元のプロジェクトにボランティアとして参加して欲しい。
サプライチェーン
Supply chain
中小企業が変動とコスト上昇を維持できるようにするための税制優遇措置。
企業がコスト上昇の初期段階を乗り切れるように、政府による運転資金援助 - その後は消耗の法則(law of attrition)に従う。
効率性を向上させた企業に報いる成果主義的な政府補助金など。
人材の流動性の向上 - 市場によっては人材コストが高いため、他市場から人材を導入する。規模の経済を得るための共同事業モデルの開発。
ロングテールと地域社会に力を与える
Empowering the long tail & local communities
デジタル化 (ゲーミフィケーション/バッジ) に関する中小企業を教育し、権限を与えるために、観光局、政府、技術、より大きなOTAにわたる全体的な戦略を策定する。
事業者が地域社会で教育と統合活動を行えるようにする
SME の中からチャンピオンを募集して、メッセージを理解してもらう
オープン ネットワーク プラットフォームを開発して、ロングテール プレーヤーを参加させる
結論
Conclusion
パンデミックは、業界に清算を迫った。それは、私たちの弱点を露呈させ、同時に強みを増幅させたのだ。私たちは、マクロでありミクロでもある。私たちは、人類全体と地域レベルのコミュニティにとって重要な存在である。私たちは雇用を創出する。これは、再考し、リセットする絶好の機会である。私たちは、この業界の将来を見据え、より強く、より良く、より優しくなるために協力し合う必要があるのだ。
* この記事はWebInTravelに掲載されたものである。
5. エクスペリエンス成長
ツアー、アクティビティ、アトラクション(TAA)分野の世界的な展望は、2024年までに完全ではあるが一様な回復を指し示している。 Phocuswrightの最新旅行調査レポート「The Outlook for Travel Experiences 2019-2025」から明らかなように、2021年と2022年の最初の回復を牽引したのは短距離、国内、地元の訪問者需要であることがわかる。
予約の回復は、特定の地域、チャネル、セクターが他より早く回復しているため、引き続き極めて不均一な話となっている。しかし、消費者はますます、自分がしたい体験を中心に旅行を計画するようになっている。The Phocuswright Conferenceのセッション「Executive Panel」では、TAA分野のリーダー3人がそれぞれの見識と予測を語っている。ツアー、アクティビティ、タイミング - Getting it Rightのセッションで、TAA分野の3人のリーダーが洞察と予測を語っている。予約プラットフォームTiqetsの創設者兼社長であるLuuc Elzingaは、人々が物より体験を選ぶというパンデミックな傾向が、TAA分野に活力を与えていると述べている。
彼はTAAを "旅行における様々なステージをつなぐ接着剤" と呼んでいる。旅行者が素晴らしい体験をしたとき、オンライン旅行会社や旅行パートナーに対する有機的な忠誠心が著しく高まると、Elzingaは言う。Go Cityのチーフ・コマーシャル・オフィサーであるLaurence Miall-d'Aoûtは、携帯電話がガイドブックに取って代わった現在、モバイルファーストの重要性を強調している。
「私たちは、顧客中心でありながら、私たちがサポートする商品の品質、つまりアトラクションや体験そのものを忘れないようにしたい」と彼女は言う。
パートナーシップは重要な販売手段であるとMiall-d'Aoûtは付け加える。
「私たちは、このような体験を販売している。アトラクションを売る。では、どうすればパートナーがコンテンツ制作者にもなれるのか?」と語る。
GetYourGuideの共同設立者兼COOのTao Taoは、重要なのは、顧客が次の旅行のためにアプリを開くほど覚えているようなブランドを構築することだと言う。また、GetYourGuideには2つの仕事があると言う。1つは、「お客さまにとって忘れられないような素晴らしい体験を提供すること」。そして2つ目は、"エクスペリエンス・クリエイターだけでなく、パートナーにとっても、デジタル収益の成長を本当にシンプルにすること」だと言う。
「TAAは、幅が1インチ、深さが1マイルの複雑な分野です」とTaoは続ける。
旅行者はホテルのウェブサイトを価格や場所で検索するが、「私たちに尋ねる質問は・・・『これから24~48時間をどのように過ごすべきか』であるという、まったく異なる質問である。この質問に答えるには、まったく異なるツールキットと能力が必要だと思う」と述べている。
以下、Phocuswright社のリサーチマネージャー、Coney Dongreをモデレーターとするセッションの全容をご覧ください。
6. 中国無しのアジアの旅行回復
日本がこの秋に再開されたことで、アジアのほとんどの国で出入国者の自由な移動が認められるようになった。しかし、この地域の旅行会社は、中国の閉鎖が続く中で適応していかなければならない。The Phocuswright Conferenceのパネル「Around Asia: Hello, New World」では、業界のキーパーソンが、自律走行車、電気飛行機、フィンテックの離陸など、この地域の観察と予測について話している。Agodaの企業開発担当副社長であるTimothy Hughesは、アジア人がチャットを多用することが課題の1つであると述べている。「誰も電話などしたがらないし、ましてやコールセンターなど利用したくもないだろう。そのため、カスタマーケアチームと同期・非同期チャットを行う方法に多くの時間とお金を費やさなければならなかった。」とHughesは言う。Agodaはまた、第三者を経由する必要がないように、独自の仮想クレジットカード決済の発行を開始し、ローカル決済のオプションを強化した。
「旅行でフィンテック企業でないなら、何かを見逃している」とHughesは言う。Venture Republic Groupの共同創業者兼CEOである柴田啓は、インド市場について強気な見方を示す。シンガポールで運営するTrip101のサイトでは、現在200カ国からのユーザーがおり、今年最大の驚きは、実際にインドが米国に次ぐ2位(の座)に上がったことだという。
柴田は、メタサーチがスキャンするオンライン旅行会社があまりに少ないため、従来のメタサーチモデルは「壊れている」と言う。「私たちは、少し違ったアプローチをしている。コンテンツは、ユーザーに対してより強力なメッセージを送ることができる。そうすれば、例えば宿泊施設のストーリーを理解することができる」と柴田は言う。AtlasのCEOであるMary Liは、予約は旅行そのものと同じように、体験であるべきだと言う。「これからの旅行は楽しい購買プロセスであるべきだ」とLiは言い、繁栄する旅行会社は、現地の文化を理解し、人々とのコミュニケーションの仕方を知っていて、旅行の「購買体験」に付加価値を与える会社であると指摘する。
Web in Travelの創設者兼編集者であるSiew Hoon Yeohをモデレーターに迎えたお二人の対談をご覧ください。
7. フォーカスライトのベスト2022レポート
旅行、観光、ホスピタリティの 1 年が終わりに近づく中、今後数か月の戦略計画に役立つように、姉妹ブランドのPhocuswrightからの研究のハイライトをまとめた。
以下のデータ、情報、分析をチェックしてください。また、こちらからサインアップして、Open Accessのサブスクライバーになることもできる。
Phocuswrightによる詳細な調査については、ここをクリックしてください。
8. 旅行イノベーション活性化の見えないソリューション
2年間にわたり蓄積された旅行への欲求が、海外旅行量の回復に拍車をかけており、多くの航空会社がパンデミック以前の水準、あるいはそれに近いレベルの利用客を獲得している。しかし、航空会社や空港をはじめとする旅行業界の多くの関係者にとって、予約の急増は、パンデミックによってもたらされた組織の縮小により、足元をすくわれることになった。例えば英国では、この夏、直前のキャンセルが相次ぎ、いくつかの主要空港で大混乱が発生した。実際、祝祭日の多い年末年始に向けて、航空業界はフロント部門とバック部門の両方で深刻な労働力不足に悩まされ続けている。レガシー技術や業務システムの非効率性と深刻な財政難が相まって、乗客は選んだ航空会社への信頼を失い、国際航空旅行への不安を募らせている。そのため、英国民間航空局と運輸省は最近、航空会社に対し、乗客が空港に到着する前に、旅行前の乗客とのコミュニケーションを改善するよう求める共同文書を作成した。航空会社へのアドバイスの中には、乗客に「空の旅のチェックリストのような旅のヒントと準備」を提供するようにというものがあった。一部の航空会社や旅行業界は、すでにこの旅客管理を研ぎ澄ます必要性を認識しており、新しい通信プロトコルとともに部分的な文書処理ソリューションを作り出している。
しかし、空港で嫌な思いをすることがないと乗客に確信させ、飛行機を利用する自信を持たせるためには、もっと多くのことが早急に必要だ。乗客の年齢、モバイル機器、出発地と到着地、技術的熟練度に関係なく、すべての航空会社に対応できる新しいタイプのテクノロジーフレームワークが必要だ。
断片化した業界。ベンダーロックの問題
A fragmented industry: The problem of vendor lock
実際のところ、旅行業界は、各旅行者が旅行に必要な書類の個別チェックリストを提供し、これらの書類を検証し、最新の旅行規則と照合できるようになるには、まだまだ時間がかかると思われる。これまでのところ、文書処理ソリューションの構築、および文書と旅行要件の照合は、サイロ化され、一回限りのものとして実施されてきた:旅行するたびに何度も同じ文書を提供することになる。様々な関係者が単独で作業することにより、断片的なコンポーネントや技術プラットフォームからなる全体的なシステムが構築され、すべての乗客に対して普遍的に機能するわけではなく、将来のフライトのためにデータを持続させたり共有したりすることはできない。
ベンダーロックと呼ばれるこの問題は、GoogleのAndroidとAppleのiOSのオペレーティングシステムに対するユーザーの不満に似ており、両者が普遍的なオーディエンスにサービスを提供していないという点で共通している。AndroidやAppleのユーザーは恩恵を受けるが、それ以外のユーザーにとっては摩擦やレイヤーを増やすことになる。
航空業界では、航空会社とベンダーの間に既存のロイヤルティがあり、乗客(異なる航空会社を利用する)に焦点を当てるのではなく、ベンダーに利益をもたらすソリューションが構築されている。例えば、フリークエント・フライヤーや乗り継ぎ客は、複数の航空会社を利用することになる。このような場合、フライト間や空港での移動のために、さまざまな文書システムやプロセスに従わなければならず、一貫性のない体験となる可能性がある。
様々な航空会社が異なる技術スタックの上で運営され、互いに、あるいは乗客の旅の一部である他の航空会社の技術との「会話」を拒否しているため、現在航空業界のシステムレベルにあるレガシー技術には一貫性が存在しない。これは、これらのソリューションが断片的で独立したプラットフォームであり、相互運用性を念頭に置いて構築されていないこと、また乗客のことを第一に考えていないことから、さらに困難になっている。
運用コスト削減のためのユビキタスソリューション
Ubiquitous solutions for operational savings
航空業界の多くのITサプライヤーは、自分たちのシステムがベストであると固く信じており、業界を超えたパートナーシップという考えを持つことができない(あるいは、持とうとしない)。彼らは現代の技術革新者のようには動いていない。彼らの目標は、船を揺らすことではなく、サイロ化した開発経路と固定客の中で既存の利益基盤を成長させることである。その代わりに、航空会社は乗客のエクスペリエンスを向上させ、不快な驚きもなく、ATMに行ってどの銀行からも資金を引き出すのと同じくらい簡単にしなければならない。私たちが最近行った航空旅行者への調査では、これが乗客の望むものであるという事実が浮き彫りになった。回答者の圧倒的多数(91%)が、航空会社は乗客の搭乗を促すためにもっとできることがあると考えている。たとえば、完全な「書類確認サービス」、複雑な旅行規則の管理代行、乗客が搭乗を拒否されないことの保証などが挙げられる。特に書類に関しては、84%が航空会社は旅行書類がきちんと揃っているかを確認する責任を負うべきだと回答し、ほぼ10人に6人(58%)が、出発空港に到着する前に航空会社が書類チェックサービスを提供し、出発時に書類に関する問題が発生しないよう乗客に安心感を与えるべきとまで提言している。さらに、76%の顧客が、規制や渡航書類のチェックのために、航空券1枚につき10ポンドまでなら支払うと答えていることは注目に値する。ユビキタスソリューションを推進することで、航空会社は競合他社との差別化を図り、乗客の搭乗を促し、ひいては、航空会社がCOVID以降、これまで以上に少ないリソースでこれまで以上のサービスを提供する必要がある中、業界の将来性を高めることができる。
多すぎる破壊は破壊を殺す?
Too much disruption kills disruption?
COVIDでのイノベーション(アプリ、QRコード、空港内スキャナーなど)は、空港にプロセスや混乱を持ち込んだというより、持ち出されたことを念頭に置いておくことが重要である。したがって、新しいテクノロジーの導入は、理想的には目に見えないものでなければならず、乗客や航空職員の行動ルーチンに影響を与えないようにする必要がある。もし、テクノロジーが乗客とスタッフの両方にとって目に見えないものであれば、必然的に成功しやすくなる。IATAのTravel Passが普及しなかったことは、この重要性を浮き彫りにしている。このソリューションは、旅行者がCOVID-19検査や予防接種の検証済み証明書を保管・管理するためのモバイルアプリケーションで、業界全体を念頭に置いて開発された。IATAの250社以上の航空会社にサポートを依頼し、相互運用性を考慮して構築された。IATAが先導して何かをしなければならないことを示した。しかし、政府による採用には至らず、乗客による採用率はわずか2%で、乗客に新しいアプリの採用を主張しようとした航空会社によって最終的に採用されなかった。Border Forceはスタッフを混乱させたくなかったし、このアプリは航空会社のスタッフにとっても乗客にとっても、新しい行動や摩擦を増やしすぎたのだ。IATAアプリを試した数少ない航空会社にとっても、乗客と航空会社のスタッフの両方にとって、IATAアプリは険しい学習曲線でした。その結果、プロフィールを作成するために何十ものステップを踏まなければならないのはもちろんのこと、個人の技術力やスマートテクノロジーへのアクセスによって、反応が大きく分かれることになったのだ。
一方、航空会社は新しい人材を育成し、新しいTravel Passのプロセスを導入し、さらに必要な場所には空港のスペースを購入する必要があった。技術的な観点からは、IATA Travel Passはユビキタスなソリューションとなる可能性があったが、最終的には、乗客の行動や航空会社のチェックインプロセスに対する破壊力が大きすぎたため、うまく採用されることはなかった。しかし、航空業界におけるベンダーロックと技術のサイロ化という問題を克服するために必要な考え方を示している。
冬の旅行シーズンを迎え、多忙な2023年に向けて準備を進めている今、乗客や航空会社のスタッフに負担をかけ、断片化した航空システムの限界を補うことを強いるのは、やめるべき時が来ている。今こそ、航空技術を再構築する時なのだ。
著者:Irra Ariella Khiは、2021年のPhocusWire Hot 25 Startupに選ばれたZamnaの共同設立者CEOである。
9. 旅行、いかにパーソナル化と標準化するか
一部の旅行会社がパーソナライゼーションに取り組み始めている一方で、パーソナライズされたオファーを提供することに関しては、小売や金融といった他の業界は、旅行業界よりもまだ「飛躍的に」先を進んでいるのが現状だ。
DataArt Solutions, Inc.の旅行・交通・ホスピタリティ部門の責任者として、新興企業から業界大手までさまざまな旅行会社を担当するGreg Abbottは、「まだ多くのサイロ化したコンテンツが存在する」と語る。
AbbottとTravelportの最高製品・技術責任者であるTom Kershawは、The Phocuswright Conferenceのパネル「Executive Panel:メタ、データ、その他」で、クラウドと機械学習で何が起こらなければならないかについて議論した。
Abbottは、パーソナライゼーションのモデルとしてディズニーを挙げている。例えば、同社はリアルタイム機械学習を使って、列に並ぶべき場所を最適化することができるのだ。Abbottは、ブロックチェーンで使われている、ユーザーがオプトインしてデータを提供する“主権者アイデンティティ(sovereign identity)”を採用すれば、旅行業界は利益を得られるという。このアプローチは、もう少しプライバシーとコントロールを持つことを受け入れる 顧客にアピールすることができるだろう。
Kershawは、旅行業界におけるパーソナライゼーションは、「適切な選択肢を適切な人に適切なタイミングで提供すること」と「探しているものをできるだけ早く見つけることを超簡単にすること」が必要だと言う。旅行者の8割が年に1回しか旅行をしないため、「本当に、本当にパーソナライズする」ための規模が旅行業界にはないため、機械学習がパーソナライズの基礎とならなければならないと説明する。また、以前は最も安いフライトにしか関心がなかったが、今では飛行時間、乗り継ぎ時間、二酸化炭素排出量、Wi-Fiにも関心が集まっている。
「パーソナライゼーションがうまく機能する唯一の方法は、そっくりさんモデル(lookalike models)を作成し、データを使って、その加入者が何を好むかを私たちが知っていることに基づいて判断できるようにすることだ」とKershawは言う。ユーザーが匿名で検索し、ログインして航空券を予約することが一つの課題だが、「ユーザーが何を望んでいるかを本当に理解する必要があるのは、検索プロセスの時である」と彼は付け加える。また、業界内の協力体制や標準化が進んでいないことも、より良いサービスを提供するための障害となっている。Kershawによると、「より効率的なサービスを提供するために、エコシステムの上下で情報を共有する方法を開発しなければならない」とのことである。
Phocuswright Inc.のシニアテクノロジー&コーポレートマーケットアナリスト、Norm Roseをモデレーターに迎えた二人の対談は以下のとおり。
10. 2022年、主要トピックス、人物、ニュース
2022年も終わりに近づき、私たちは過去12ヶ月を振り返り、新しい年に向けて思いを巡らせている。今年は全体として、業界のあらゆるセクターで楽観的な流れが強く、イノベーションに対する興奮が沸き起こっている。ここでは、この一年で注目された人物やトピックを紹介し、今後数ヶ月の間に注目すべき人物やトピックを挙げている。
l 人物紹介
The people
Uber CEO Dara Khosrowshahi
Expedia Groupの前CEOであるKhosrowshahiは、旅行業界を明確に理解しているため、彼がライドシェアとデリバリーの巨大企業を率いて、消費者の旅行体験にますます深く関わっていることは、それほど驚くことではない。同社は2022年に旅行関連のアップデートをいくつか発表しており、今後も増えることは間違いない。5月に米国とカナダで開始され、現在世界中のユーザーが利用できるUber Travelは、Gmail、Outlook、HotmailからUberアプリにフライト、ホテル、レストランの予約を取り込むことで、旅行につながる乗り物のリクエスト手続きを効率化する。イギリスでは、Uberは電車やバスの予約もアプリでできるようになっており、将来的には飛行機やホテルも追加されるという話もある。また、Uber ExploreにはViatorとの統合が含まれており、ユーザーはアクティビティとその場所への乗り物をすべてアプリ内で予約することができるようになった。スーパーアプリという言葉が頭に浮かぶが、Uberは米国を拠点とするブランドの中で、最初にそこに到達するための基盤を備えているのかもしれない。
Wizz Airの共同創業者兼CEO、József Váradi
József Váradiは、Wizz Airの共同創業者兼CEOとして、ハンガリーを拠点とする格安航空会社をパンデミックから切り離すことに成功した。同航空は最近の決算で、今後6カ月でパンデミック前の事業レベルを超える予定であり、また、ウクライナで紛争が続いていても成長戦略を継続する予定であると述べた。2022年上半期、Wizz Airは前年同期比1,250万人に対し、2,650万人の旅客を運んだ。また、Váradiは最近、2022年の会計年度後半には35%のキャパシティ増を計画しているほか、中東へのフライトも増やすと述べた。また、政府や消費者が航空業界の持続可能性への取り組みに注目している今、Wizz Airはその成長にもかかわらず、乗客1人あたりの二酸化炭素排出量を削減することにも成功している。1月には、Morningstar Company社のESG(環境、社会、ガバナンス)パフォーマンスに関する企業評価を行うSustainalytics社が、Wizz Airをヨーロッパで最も持続可能な航空会社に選定し、7月にはCAPAがWizz Airを「グローバル環境サステナビリティ航空会社グループオブザイヤー」に選定している。
KLMオランダ航空の社長兼CEO、Marjan Rintel
Marjan Rintelは、今年7月にKLMオランダ航空の社長に就任した。オランダ国鉄(NS)で8年間同様の職務に就いていた彼女は、旅行業界の課題には慣れている。しかし、この夏、スキポール空港をはじめとするヨーロッパの空港で旅行者が空に戻り、大混乱が起こるとは誰も予想していなかった。持続可能な旅行や労働力不足といった中長期的な課題とともに、現在の火種と戦うことが、彼女の役割の大部分を占めることになる。さらに、航空会社のデジタル化の推進は、特に2年以上にわたるパンデミックの後、高い議題となる可能性が高く、Rintelは最近、次の5年から10年はレガシーテクノロジーを排除し、より近代的な販売方法への移行を加速させることになると述べている。
TripadvisorのCEO、Matt Goldberg
TripadvisorはViatorを売却するのだろうか?会員制プログラム「Tripadvisor Plus」は、現在の形のままなのだろうか?また、創業者であるSteve Kaufer CEOが去った今、20年以上の歴史を持つ同社で他に何が変わるのだろうか。11月に開催されたThe Phocuswright Conferenceのオープニングセッションに登壇したMatt Goldbergは、TripadvisorのCEOとして初のインタビューで、同社はどの分野を強化し、どの分野を変えていき、何を完全に捨てていくか、「混乱している最中」であると話した。Goldbergは、この決断は「消費者をすべての中心に据える」ことに基づいていると強調した。今後数ヶ月のうちに、Tripadvisorのコア部分を「リフレッシュしたアプローチ」と呼び、Viatorブランドを体験空間のリーダーとして強化する取り組みを加速させるとのことだ。また、Goldbergは、「没入型旅行体験」を実現するためにコンテンツを新しい方法で提供する方法や、Tripadvisorアプリを消費者にとってより価値のあるツールにする方法についても検討していると述べている。
AgodaのCEO、Omri Morgenshtern
Goldbergと同じく、7月1日にAgodaのCEOに就任したOmri Morgenshternは、Goldbergとは異なり、2018年からBooking Holdings傘下のオンライン旅行会社で最高執行責任者を務め、2014年から同社に在籍する、すでにインサイダーであった。Phocuswrightによると、アジア太平洋地域での回復は遅く、課題も残っているが、Agodaは、世界中でチームを作り、Hopper Cloudとのコラボレーションによる「価格凍結」機能などの新製品を発表し、手を緩めることはなかった。WiT Singapore 2022でのディスカッションで、Morgenshternは、Agodaは予約が異なる時間に行われた場合でも、旅行のすべての要素を結びつける新しいUX、彼が "persistent trip" と呼ぶものの作成に取り組んでいると述べた。そして、「旅行中に消費するあらゆるサービスを、物理的にも仮想的にも、どこでも提供する。あなたが旅行するとき、私たちはあなたにサービスを提供し、あなたが予約する要素が多ければ多いほど、あなたにとって安くなるようにしたい。フライト、宿泊、アトラクションを当社で手配すれば、率直に言って、誰も私が提供する料金に太刀打ちできないだろう」と語り、プラットフォームとして、OTAの将来に対する野心的なビジョンを表明している。
Expedia Group副会長兼CEO Peter Kern
2020年4月にCEO兼副会長としてエクスペディアグループに就任して以来、Peter Kernは抜本的な改革を監督してきた。ここ数カ月だけでも、新しいテクノロジー・プラットフォームを含むOpen World戦略を発表している。さらに、グループの統一ロイヤリティ・プログラムであるOne Keyや、新興企業や中小企業がExpediaブランドと連携するための基盤を構築するOpen World Acceleratorも発表された。就任から約3年、Kernはこれらの取り組みが実を結ぶのを見守ることになるが、その結果はすぐには出ないだろう。この間、多くの人が次は何だろうと考えるだろうが、Kernは世界各地での不況の影響や、毎年Googleに渡される目を見張るようなマーケティング費用などの長年の課題とも戦わなければならないだろう。
Travalyst CEO Sally Davey
サセックス公爵Prince Harryが、"旅行業界全体で持続可能な観光の実践を奨励することにより、自然保護、環境保全、地域コミュニティの経済発展の向上を目指す "旅行会社とテクノロジー企業のグローバル連合としてTravalystの設立を発表してから、9月に4年が経つ。パンデミックによりここ数年、Travalystの活動は鈍化したが、連合は新しいパートナーを増やし続け、現在9つのグローバルブランドを数え、航空とホスピタリティを始め、旅行による気候への影響を計算し表示するフレームワークを開発し、実施している。来年はTravalystの活動が加速されることを期待している。Davey は鋭く思慮深いリーダーで、Google、Booking Holdings、Expedia Groupなどのブランドパートナーの支援を受けて、この重要なトピックの有意義な発展をリードする機会を得ている。
PhocusWireの注目のファウンダー25社
120社以上の新興企業を25社に絞り込むのは複雑な作業であり、確かに創業チームの経歴や能力も重要な検討要素である。2023年に選ばれた25社は、製品やサービスの強みと、創業者たちの賢さの両方を反映している。これらのリーダーたちは、来年も会社を成長させ、注目を浴びる存在になると信じている。私たちはその動向を注視しているし、皆さんもそうするべきだと考えている。
l トピックス
The topics
eVTOL
2022年は、漫画の主人公George Jetsonが誕生した年であり、電動航空機が飛躍的に進歩する年にふさわしいと言える。電動垂直離着陸機(eVTOL)のメーカーは、次々と資金調達を行い、時には大手航空会社からも資金を調達している。例えば、ユナイテッド航空はArcher Aviationに1,000万ドルを支払い、同社のeVTOL機100機を購入した。その1ヵ月後には、ユナイテッドはEve Air Mobilityに1,500万ドルを出資し、同社のエアタクシーを最大400台購入することで合意した。デルタ航空からの出資を受け、電気飛行機メーカーのJoby AviationとSkyports Infrastructureは10月、顧客に待ち時間ゼロのチェックイン体験を提供することを目的に、「Living Lab」と呼ばれる移動可能な旅客ターミナルを開発中であると発表した。Living Labは、規制当局、政府関係者、一般市民を電動航空機に引き込むことを目的に、全米を巡回する予定。2023年も、この分野への投資とイノベーションが注目を集めることを期待したい。
ブロックチェーン
PhocusWireは、設立当初からブロックチェーンとその旅行分野での活用の可能性について取り上げてきた。パンデミックは確かに進展を遅らせたが、昨年はArise, Blockskye, Dtravel, Pinktada, Chain4Travel, Winding Tree, Travalaや2023年のPhocusWire Hot 25 Travel Startupsに選ばれたいくつかの企業(Neoke, TravelX, Flycoin, Aeropaye and IoMob)など世界中の企業からかなりの活動を見てきた。実際の導入事例が増えれば増えるほど、そして、単に機能するだけでなく、旅行会社の効率を高め、収益を上げる可能性もあることから、ブロックチェーンを利用したソリューションの利用が広がるのだろうか。私たちは、その答えは「イエス」であり、2023年がその転換点になると考えている。
経済
2022年も業界全体で話題となり、新年も引き続き最重要視されることだろう。経済的な課題は、旅行業界にどのような影響を与えるのだろうか。インフレ、エネルギーコスト、住宅ローン金利、ウクライナ戦争-これらの要因はすべて、休暇を検討する個人と出張の価値を検討する企業の双方にとって、旅行に関する意思決定に影響する。国際通貨基金(IMF)が10月に発表した最新の世界経済見通しによると、「世界の経済活動は広範かつ予想以上に急激な減速を経験しており、インフレ率は過去数十年間で最も高い水準にある・・・世界の成長率は2021年の6%から2022年には3.2%、2023年には2.7%と減速すると予測される。これは、世界金融危機とCOVID-19パンデミックの急性期を除けば、2001年以降で最も弱い成長プロファイルである。第3四半期の決算説明会では、旅行業界のリーダーたちは慎重かつ楽観的な姿勢を崩さなかった。マクロ経済の変動について聞かれたExpedia GroupのPeter Kern CEOは、「マクロ経済の不確実性とハリケーン“イアン”の短期的な影響にもかかわらず、旅行需要は好調を維持し、ADRは大流行前の水準と比較して大幅に上昇したままだ・・・これまでのところ、何か大きなマクロ経済の出来事が起きていることを示す証拠は本当にない」、と述べている。そして、Booking Holdings CEOのGlenn Fogelは、「目先のマクロ経済環境には引き続き不確実性があるが、旅行の長期的な成長と当社の今後の機会については、これまでと同様に自信を持っている」と述べている。来年初めに発表される2022年第4四半期と通年の決算は、その影響をより明確に描き出すことは間違いないだろう。
新たな旅行販売業者
ここ数年、旅行以外の企業が旅行予約商品を追加または強化するという発表が複数あった。例えば、Capital OneとHopperの提携(11月に9,600万ドルの追加投資)、RevolutのExpediaを利用した宿泊施設と賃貸住宅の予約開始、JPMorgan ChaseのChaseTravel.com設立計画、CitiがBooking HoldingsのブランドBooking.comとRocket Travelと提携して新しい旅行予約プラットフォームを開始する、などである。上記のように、Uberは旅行サービスを拡大している。そしてAmadeusは、ラテンアメリカのアプリRappiやタイを拠点とするフードデリバリーアプリRobinhoodなど、旅行業を展開する複数のアプリと連携し、OTA 製品を作成している。ブランドは、旅行や体験への支出を優先する消費者の意欲と同時に、旅行の検索と予約を迅速かつ容易にするシンプルでワンストップなデジタルインターフェイスを求める消費者の欲求を利用しようとするため、来年はこの種の活動がさらに増えると予想される。
サステナビリティ(持続可能性)
2021年、サステナビリティは旅行・ホスピタリティ業界にとって最大の関心事となった。今年、この問題を取り上げたニュースの量から判断すると、旅行における持続可能性が世界的に注目される兆しはない。消費者の要望であれ、政府の奨励策であれ、環境、社会、経済の各方面からよりポジティブな影響を与えることは、旅行管理者、ホテル経営者、航空会社、ツアー会社、地上交通機関、オンライン旅行会社など、すべてではないにしても、業界の多くのセグメントにとって目標となっている。そして、正しい方向へ向かう動きも見られる。今年6月、スウェーデンの航空会社Braathensは、両エンジンに100%持続可能な航空燃料(SAF)を使用した初のリージョナルフライトを実施したと主張している。バンクーバー島は、自らを社会的企業と定義し、経済的指標ではなく社会的インパクトによって成功を測ることに重点を置くという大胆な転換を図った。今月初めには、Trafalgar Tours、Contiki Tours、Red Carnation Hotels、Uniworld River Cruisesなど40ブランドの親会社で、70カ国以上で事業を展開するThe Travel Corporationが、ネットゼロ達成を支援する新しいカーボンファンドを発表している。しかし、欧州のエネルギー危機、SAFの不足、排出基準に関する統一の欠如など、業界はまだ持続可能性の目標達成に向けた多くの課題に直面している。2023年のPhocusWireでは、業界がどのように障害を克服し、環境目標に近づいていくのかを紹介して行く。
11, 決済、いかに価値増と軋轢減させるか
2022年の多くのトラベルカンファレンスやイベントにおいて、決済の発展やフィンテックは大きな注目を集めた。フィンテックにおけHoppeの成長、Amadeuを含む企業による決済の取り組み、SabreやHRSによる決済分野での買収はすべて、この関心の高さを示している。消費者の旅行予約体験だけでなく、B2B体験にも不可欠な要素であり、小さな改善で大きな違いが生まれる分野でもある。
エグゼクティブ・パネルの様子。The Phocuswright Conferenceのエグゼクティブパネル:旅行の秘密兵器では、Katanox、Worldline、Upliftの役員が現在のトレンドについて説明した。パネリストのBrian Barth(Uplift CEO兼共同創業者)、Paul Beukers(Katanox共同創業者)、Laurie Gablehouse(Worldline グローバル トラベルソリューション部長)も、旅行会社のフィンテック企業化、フィンテック企業の旅行会社化について触れている。このディスカッションでは、デジタル決済を誰もが利用しやすくし、旅行業者にとって価値を生み出し、旅行体験から摩擦を取り除くという大きなチャンスに取り組んでいる。
また、ウォレットの発展、ロイヤリティの位置づけ、暗号がすぐにでも旅行業界でその地位を確立するかどうかについても話している。
Phocuswrightの宿泊・レジャー旅行リサーチ担当シニアアナリスト、Robert Coleが司会を務めるセッションの全容は以下のとおり。
12. 次世代グループ予約、航空会社収入増加
過去10年間で、航空会社はさまざまな収益源を最適化し、より乗客中心になるという点で大きな進歩を遂げた。パンデミックが旅行部門に与えた影響は、この傾向を加速させただけである。航空会社は現在、動的な価格設定とパーソナライズされたオファーを活用して、乗客に単なる飛行機の乗車ではなく、思い出に残る「旅行体験」を提供するために競争している。しかし、ほとんどの航空会社は、収益源である団体予約を最大28%増加させる可能性のある収益源を最適化する機会を逃している。従来のグループ予約システムに過度に依存しているため、航空会社は団体予約からの収益に関してひどい数字を報告するようになっている。最悪の部分は、グループ予約プロセスを近代化しないことの欠点により、航空会社がグループ予約でお金を失うことさえあることだ。
レガシーテクノロジーが収益の伸びを阻害
グループ予約のプロセスはここ数年ほとんど変わっておらず、顧客体験の低下と航空会社の収益漏れにつながっている。通常、顧客はグループ予約を処理する前に、膨大な量のGoogleフォーム、営業または収益管理チームとの電子メール交換、またはコール センターへの電話をナビゲートする必要がある。結局のところ、このプロセスには少なくとも数週間かかる。グループの乗客を獲得してサービスを提供するこれらの従来の手段に依存している航空会社は、いくつかの大きな課題に直面している。たとえば、手数料が高いことで知られる間接的な流通チャネルや旅行代理店のパートナーに頼らなければならない。グループ予約のリクエストが予約システム、電話、または電子メールを通じて届いた場合、航空会社はオファーをパーソナライズしたり、搭乗率や競合他社の運賃に基づいてリアルタイムで動的な価格設定を提供したりすることができない。
また、従来の流通システムでは航空運賃とスケジュールしか表示できないため、アンシラリーを購入することもできない。さらに、手動の発券プロセスでは、PNRの更新、支払いの回収、名前の更新など、退屈なプロセスになる。さらに、チケットのキャンセルや変更を含む発券後のサービスは、航空会社と乗客の両方にとって悪夢であることは注目に値する。
航空会社の多くは、パンデミックから完全に回復していないため、グループ予約に関しては、最新の小売ソリューションを導入し、収益の増加、乗客体験の向上、さらには営業および収益管理チームの生産性の向上を保証することが使命となっている。
グループ予約体験の変革
ほとんどの航空会社のグループ予約の問題は、最新のクラウドベースのグループ予約ソリューションに付属する自動化およびその他の機能を使用することで解消される。以下の機能を使用して、航空会社は差別化されたパーソナライズされた旅行体験を顧客に提供し、流通コストを削減し、動的な価格設定と付随的な販売で収益を高めることができる。
オファー マネジメント
航空会社は、顧客の購買習慣に基づいて顧客を識別し、購入履歴、チケットの需要、競合他社の価格などの要因に基づいてグループ見積もりを即座に提供できるグループ予約ソフトウェアを緊急に必要としている。航空会社はまた、アンシラリー サービスを予約する機能を顧客に提供し、旅行に対する乗客の満足度を大幅に向上させるショッピング体験を保証する必要がある。間違いなく、航空会社がプロセスを自動化することによって顧客に迅速なグループ見積もりを提供できる場合、彼らはより高い実現率、収益管理チームの生産性の向上、そして最終的に収益の飛躍も期待できる。
オーダー マネジメント
航空会社は、顧客が予約、キャンセル、またはサイズの拡大、縮小、旅程の変更などの予約の変更を行うための使いやすいWebポータルの提供を優先する必要がある。グループ運賃の交渉は、予約プロセスのもう1つの面倒な側面であるため、航空会社はさらに、同じポータルを通じて顧客が運賃を交渉できるようにする必要がある。顧客が航空会社の見積もりに満足したら、選択した方法で支払いを行い、名前やその他の情報を更新し、PNRと航空券を迅速かつ自動的に発行できるようにする必要がある。
グループ ポリシーの実施
航空会社が団体予約の収益を最大化するための最良の方法の1つは、旅行代理店や法人顧客に提示するグループ運賃にパーソナライズされたマークアップを追加することである。従来の団体予約方法ではこの機能が提供されないため、航空会社は、顧客ごとに特別なポリシーを設定できる団体予約ソフトウェアを採用する必要がある。ポリシーは、マークアップ、予約とキャンセルに関するパーソナライズされたルールなどを管理することができる。これらのプリセットポリシーに基づき、システムは支払いや名前の更新などのリマインダーを顧客に自動送信することもでき、航空会社のスタッフの時間を大幅に節約することができる。
シリーズ予約の自動化
旅行代理店は、多くの場合、特定の期間のフライトで事前に決められた数の座席を予約する。彼らは、特定の期間の同じセクターでの一貫した需要を予測して、これらのシリーズの予約を行う。航空会社に一連の予約リクエストを提出する旅行代理店は、複数のグループ リクエストを個別に行うことを避けるためにそうしている。これは、特にエージェントが同じ要件を何度も入力することを知っているため、不要で面倒なプロセスである。旅行代理店にとって一連の予約プロセスをより簡単にすることで、航空会社は多くの営業収益を生み出し、フライトが十分前もって満席になるようにすることができる。これは主に、旅行代理店に一連の予約を行うためのセルフブッキング ポータルを提供することで実現できる。旅行代理店が手動で複数のグループ リクエストを作成する代わりに、さまざまなグループの出発地、座席数、日付、予想運賃などを指定して、1つのシリーズの予約リクエストを作成するだけで済む。旅行代理店が一連の予約のリクエストを提出すると、収益管理チームはリクエストを迅速に評価して、運賃を直接受け入れるか交渉することができる。
結論
動的な価格設定、セルフサービス、オファーとオーダーの管理、および自動化された発券後の機能を実装することにより、航空会社がグループ予約プロセスを近代化することに消極的であると、リソースが大幅に浪費される可能性がある。間違いなく、長いターンアラウンドタイム、カスタマイズオプションの欠如、発券後のサポートの貧弱さのために、乗客のグループ予約体験が貧弱になるだろう。あるいは、航空会社が予約、支払い、発券プロセスを自動化し、動的運賃を提示し、使いやすいセルフサービス ソリューションで購入体験を合理化できれば、グループの収益を最大28%増加させることができる。
著者:Ananth Narasimhanは、Infiniti Software SolutionsのCEO。
13. OTAの4人のCEO、未来の可能性 語る
世界中のオンライン旅行会社4社のエグゼクティブが、The Phocuswright Conferenceのセッション「エグゼクティブパネル」で、自社の歩みを振り返り、次の一手を議論している。これは、Bridge Series - The New World Beckons" と題したセッションである。このセッションは、WiTとPhocuswrightが共同で実施しているBridge Seriesの一環で、業界のリーダーたちが世界中から視点、アイデア、ソリューションを交換する場を提供するものである。このセッションで、Etraveli Group ABのCEO Mathias Hedlundは、スウェーデンを拠点とする同社が欧州以外の市場に進出するにつれ、「先駆者から巨人へ」の転換期を迎えていると述べた。「スウェーデンの市場は小さすぎるため、常にグローバルな視点で考える必要がある。しかし、それはポジティブなことだ。なぜなら、最初から複雑なことに適応し、実行しなければならず、自分の市場に貢献するだけでは報われないからだ」とHedlundは言う。
Hedlundは、EtraveliとBooking.comが一緒になれば、「ヨーロッパで多くのシェアを獲得することができ、その実現に非常に自信がある」と語っている。Booking Holdingsは2021年に16億3,000万ユーロでEtraveli Groupを買収したが、この取引は競争許可待ちの状態である。
インドネシアを拠点とする旅行とライフスタイルのプラットフォーム「Traveloka」は、同社のCaesar Indra社長によると、東南アジアの航空券の支払い方法を一変させたという。同社は、クレジットカードの利用が少ない地域で、銀行間送金の規模を拡大するための技術ソリューションを開発し、「今では東南アジア全体で30以上の支払い方法がある」とIndraは述べている。最近の3億ドルの資金調達後、Travelokaは「非常にローカルな戦略」を採用し続け、「お客様にはシームレスでつながりのある旅行体験を、サプライヤーには強力なパイプを」構築していると、Indraは述べている。
その結果、同社は6つの市場で強いブランドロイヤリティを獲得し、月間アクティブユーザー数4,000万人のアプリで高いエンゲージメントを獲得していると、インドラは付け加えている。2025年には東南アジアのeコマース取引の91%がデジタル決済になると予想されており、Travelokaは決済インフラへの投資を継続するとIndraは述べている。同社は、顧客が余裕を持って旅行できるように、「今買って後で払う(buy-now-pay-later)」オプションを開発した。
Booking Holdingsの子会社であるPricelineのCEO、Brett Kellerによると、1998年の創業から数年間は、新車、食料品、保険など「思いつく限りの商品・サービス」のマーケットプレイスとして機能していたそうである。
2000年代初頭、Priceline社は、当時比較的小規模なホテル予約サイトだったBooking.comを1億3,300万ドルで買収した。「今では700億ドルの時価総額を誇るPricelineだが、これはおそらく有史以来最大の旅行会社買収だった」とKellerは言う。Booking Holdings 2021年、B2Bのホテルルーム販売会社Getaroomを12億ドルで買収した。Pricelineブランドは、Getaroomを既存のB2B事業に巻き込んだ。「この業界は、誰もが協力し合う業界だ」とKellerは付け加える。「この業界に長くいない人は、ボンネットの下を見てみて欲しい。誰もが、文字通りあらゆる人と在庫やコンテンツを取引しているのだ」と言う。
DespegarのCEOであるDamian Scokinは、同社はその規模によってラテンアメリカ市場を支配し続けているが、「増え続ける企業」と差別化するためには、「機能やサービスを追加し続けなければならない」と語る。
アルゼンチンを拠点とするDespegarは、2020年にメキシコのBest Day Travel Groupを1億3,600万ドルで買収した。また、このOTAは2年の間に、ブラジルのbuy-now-pay-laterのKoinを含む3社を買収している。Scokinは、Koinの買収について「結果には非常に満足している」と述べている。
Phocuswright社のPete ComeauとWiT社のSiew Hoon Yeohがモデレータを務めたディスカッションの全容は以下のとおりです。
14. 2023トラベルテックショーに期待すること
TravelTech Showは 20回目を迎えます6月28日と29日にエクセル ロンドンで予定されているこのショーは、旅行技術のバイヤーとソリューション・プロバイダーを結びつけ、最新の傾向の洞察と業界全体の専門家からの洞察を出席者に提供する。TravelTech Showは、旅行ビジネス内のテクノロジーに関与または責任を負う旅行テクノロジー スペシャリスト、および旅行会社がテクノロジー ソリューションを選択するのを支援するコンサルタントは無料。テクノロジー サプライヤーは、展示するか参加するためにパスを購入できる。このイベントは、PhocusWireも所有するNorthstar Travel Groupによってプロデュースされている。The Phocuswright Conferenceで、TravelTech Showのポートフォリオ マーケティング ディレクターであるJonathan Carter-Chapmanは、PhocusWire編集長のMitra Sorrellsと2023年のイベントで何が期待できるかについて話した。「TravelTech Show: 何を期待するか」の以下の議論を見てください。
15. 2022年10大ニュース
世界中の個人や企業がかつてないほどの激動と困難に見舞われた2年間を経て、2022年は少しばかり「普通」になったように感じられた。世界的なパンデミックの規模ではないものの、ウクライナ戦争、気候変動やエネルギー危機、インフレ、政情不安などが引き続き不安を引き起こしている。しかし、世界の多くの地域では、2022年を通じて旅行が本格的に再開された。そして、それは多くの旅行会社やサプライヤーにとってプラスになった一方で、弱点も露呈し(昨夏の空港の混乱を覚えているか)、プラス面ではイノベーションに拍車をかけることになった。2022年は、私たちPhocusWireにとっても、11月に5周年を迎えた注目すべき年であった。1年を通して、詳細な記事、ニュース速報、業界リーダーによるオピニオン記事などを通じて、業界に関する興味深く有益な報道を提供することに全力を尽くしました。2023年には、より適切で示唆に富むコンテンツを皆様に提供できるよう、期待している。編集部が自信を持って、過去12カ月間に読者の注目を最も集めたトップ10ストーリーをご紹介する。また、2021年、2020年、2019年、2018年のリストで、過去に話題になったことを簡単にリフレッシュして欲しい。
2022年からは逆順に・・・
10. エクスペディアグループ、新戦略の一環としてマーケットプレイス、テックプラットフォームを刷新
Expedia Group revamps marketplace, tech platform as part of new strategy
前CEOのMark Okerstromの後任として2020年の今頃に就任した同社副会長兼CEOのPeter Kernによれば、2年前のExpedia Groupはもう存在しないという。同社が毎年開催しているパートナーイベント「Explore」で、Expedia Groupは、Expedia Group Open Worldという新しいテクノロジープラットフォームや、より良いゲスト体験を提供したホテルに報酬を与えるシステムなど、パートナー、旅行者、業界への貢献を目的とした3層構造の新戦略を発表した。「これは、20年前どころか、2年前のExpedia Groupでもない」とKernは言う。
9. 不況がバケーションレンタル供給にとって好材料となる理由
Why a recession would be a boom for vacation rental supply
私たちが不況に向かっていることは、当然の帰結である。景気後退を公式に宣言している全米経済研究所(NBER)は、景気後退を「経済全体に広がる経済活動の著しい低下で、数ヶ月以上続き、通常、実質GDP、実質所得、雇用、工業生産、全店売上高に現れる」と定義している。
JPMorgan ChaseのJamie Dimon CEOが5月の金融会議で「私は嵐雲があると言ったが、それを変えるつもりだ・・・それはハリケーンなのだ。今のところ状況は『問題ない』ように見えるが、ハリケーンが小さなものなのか、それともスーパーストーム・サンディなのか、誰にも分からない・・・。気を引き締めた方がいい」と述べた。
8. 旅行がメタバースに参入する時期が来た理由
Why it's time for travel to enter the metaverse
昨年、「メタバース」は最もバズった言葉のひとつとなった--2021年10月にFacebookが親会社をMetaという社名に改名したことが大きな要因である。しかし、Facebookはメタバースに強い関心を持つ数多くの大企業の一つに過ぎない。マクドナルド、コカ・コーラ、グッチなど、この3次元の仮想空間に進出しようとしている主流ブランドは他にもある。メタバースとWeb3のコンサルタントであるSteve Bamburyは、旅行ブランドは今こそメタバースでの存在感を示すための行動を起こすべきであり、さもなければ取り残される危険性があると述べている。
7. グーグル、航空券のBook on Googleを段階的に廃止
Google to phase out Book on Google for flights
2月にホテルでのBook on Google機能を停止すると発表したGoogleは、消費者の嗜好が直接予約に移行するのに伴い、航空券でも同機能を段階的に停止することを明らかにした。Googleによると、米国以外のユーザーに対しては2022年9月30日に、米国内のユーザーに対しては2023年3月31日以降に、Book on Googleを無効にするとのことである。
6. ウクライナ侵攻を受け、セイバー、アマデウス、トラベルポートがロシアの航空会社アエロフロートから運賃を引き上げた。
Sabre, Amadeus and Travelport pull fares from Russian carrier Aeroflot following Ukraine invasion
Aeroflotは、事業継続のための重要なハードルを突きつけられた。Sabre, Amadeus, Travelportが、Aeroflotの運賃をシステムから削除した。Sabreは、主要なグローバル販売システムの中で最初に、ロシア政府が過半数を所有する航空会社との販売を中止する旨の声明を発表した。先週、ロシア軍が隣国ウクライナに侵攻したことを受けての決定である。
5. 2022年の旅行フィンテックを形成する4つのトレンド
Four trends shaping travel fintech in 2022
旅行業界がCOVID-19の大流行から徐々に回復している間、その裏で新しい決済トレンドが静かに発展している。フィンテックと旅行の融合が進んでいることは、最近のトラベルテックに見られる最も重要で興味深い変化の一つであることは間違いないだろう。旅行業者が提供する新しい決済方法であれ、業界関係者間のお金の動き方の進歩であれ、旅行会社が本格的なフィンテック商品を提供することであれ、変化は急速なペースで起こっている。
4. オンライン旅行会社の状況
The state of online travel agencies
オンライン旅行市場は2022年に18%成長し、2019年の総予約数にわずかに及ばない767億ドルになると予想されることが、Phocuswrightの新しい調査により明らかになった。「U.S. Online Travel Agency Market Report 2021-2025」によると、OTAのグロスブッキング(総取扱高)は2023年に大流行前のレベルを超える勢いであるが、海外旅行の回復は引き続き国内より遅いと予想されている。2021年、OTAは65.2億ドルのグロスブッキングを実現し、パンデミック前の82%に到達した。全体として、OTAは2021年の米国における予約総額の24%を占め、2020年の20%のシェアから上昇した。Phocuswrightの調査によると、米国のコアOTAビジネス(VrboとEgenciaを除く)については、ExpediaとBookingを合わせて2021年のOTAレジャーおよび非管理旅行ビジネス市場のおよそ93%を占めていることが明らかになった。
3. NFTとメタバースが航空会社のロイヤルティプログラムに意味するもの
What NFTs and the metaverse mean for airline loyalty programs
新しい技術やトレンドに少しでも敏感であれば、NFTやメタバースという言葉を聞いたことがあるはずだ。これらの用語は、ディストピア小説の冒頭のように聞こえるかもしれないが、適切な方法で使用すれば、現実世界での興味深い使用事例を提供する。この10年間、航空業界は特に新しいテクノロジーの影響を受けてきた。特に、航空会社のロイヤリティ・プログラムが、NFTとメタバースによってどのように生まれ変わるのか、興味深いところである。
2. ホテル向け「Book on Google」、低利用率で閉鎖へ
Book on Google for hotels to shut after low take-up
Googleは、パートナーおよび消費者の双方からの利用が少ないことを理由に、ホテル向けの「Book on Google」オプションを5月25日付で閉鎖する予定である。Googleは、当時インターネット利用でデスクトップを追い越し始めていたモバイルウェブ向けにサイトが最適化されていないホテルやオンライン旅行会社の取引を促進するため、2015年に同オプションを開始した。Book on Googleリンクを提供するパートナーは、予約のためのマーチャントのままであるが、予約と支払いの情報はGoogleがホストするフォームに取り込まれ、その後パートナーに直接渡される。
1. 2023年注目のトラベル・スタートアップ25社を発表
Presenting the Hot 25 Travel Startups for 2023
創造性や革新性は危機的状況に置かれた時にこそ発揮されると言われて久しい。我々が選んだ「2023年注目の旅行関連スタートアップ企業25社」は、まさにその言葉を裏付けるものだ。このリストにある25のスタートアップのうち、14社は、世界中の人々がCOVID-19危機に直面し、旅行、そして世界の他の多くのことが停止した2020年の初め以降に設立されたものである。実際、25社のうち9社は2021年に立ち上げられ、すでに選出を正当化するのに十分な将来性を示している。それは簡単な作業ではなかった。私たちは、120社以上のスタートアップ企業を対象に選考を開始した。選考にあたっては、イノベーションと成長の可能性を示す指標に着目し、創業から5年以内のスタートアップに焦点を当てた。また、業種、場所、創業者の多様性に富んだ企業を見つけるよう努めた。
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