【旅の準備】超初心者向け海外旅行ガイド

 

8 海外旅行に出かけるプロセス 5 LCCに乗ろう(前編)

 

困難に直面したのなら、溺れるか、泳ぐかのどちらかしかないんだ

(米 俳優 トム・クルーズ)

 

LCCの機内での時間を快適に過ごせるように情報を整理しました。在来の航空会社(ここではレガシーと表現)への搭乗についてはLCCとの比較で書いています。

 

 

LCCは長距離が不得手

 

LCCは専ら近距離、稀に中距離の海外旅行に利用します。

 

東京からですと香港くらいです。最近ではベトジェットが燃費の良い新型A320を導入し、狭胴型ジェットで直行便を運航しています。そういう意味では、東京からはハノイやダナンあたりが最新のLCCの境界となります。

 

バンコクやシンガポール、クアラルンプールにはエアアジアやZIPエア、タイガーエアなどのLCCが運航していますが、いずれも一般的にLCCで使用される燃費の良い1本通路の旅客機ではなく、2本通路の大型機が使われています。

 

各社ともLCCと称していますが、大型機で尚且つ遠距離の運航ですので、レガシー航空会社と比べて、コスト的には大きなメリットが出にくい機種・路線になります。運賃が近距離LCCのようには激安にはなりづらいと思いますのでレガシー社の安い運賃と比べて利用するのが良いと思います。

 

 

乗客目線で見るLCC

 

LCCについては、好き嫌いで様々な評価がありますが、「最も安い航空券を買える航空会社でフレンドリー」というのがLCC好きの一般的な評判です。

 

確かにLCCはこれに尽きます。出発日の前夜、空港に着いてベンチで仮眠し、夜が白む公共交通機関が走っていない時間帯にチェックインし搭乗する。これがLCCのチケットの中で最も安い便です。

 

LCCで気をつけるべきは、頻繁に出てくるセールの広告です。あれは宣伝だと割り切ってください。もちろん特売は数席の販売しかありません。全席ではありません。LCCの無料会員になれば特売の案内メールが届きますので、メールを見ると興味は湧くのですが、正直、激安のものはなかなか手に入りません。きっと達人がいて、発売と同時のクリック連打でセール航空券をゲットしていることでしょう。

 

LCCのジェット旅客機はほとんどが乗客180人乗りです。安売りは、もちろん全席を対象としているわけではありません。そのうちの"ほんの数席"を会社の宣伝として、激安の価格に設定します。LCCは会社のホームページにどのくらいの人がアクセスしてくれるかが命です。その時の旅客需要にも依るのでしょうが、"ほんの数席"でも十分アクセス増加の効果はあるでしょう。

 

とはいえ、LCCは低運賃です。あれほどの低運賃で何故利益を出せるのでしょうか? 

 

それは決して魔法ではありません。LCCのビジネスモデルは"とびぬけた低価格販売を競争力の源泉にする"というものですが、コストを下げるためには何でもやります。

 

ヨーロッパでライアンエアというトップシェアのLCCが運航しています。徹底したコストカットで瞬く間に欧州全域にネットワークを張りました。運航開始以来アンチも多いのですが、旅客数でルフトハンザを抜き、欧州最大の旅客数を誇る会社にまで成長しています。

 

世界全体で見ると、航空旅客の9割はエコノミーシートで旅行する旅客です。現実にライアンエアは航空旅客のマジョリティを魅了しているのです。一般大衆の本音は、昔ながらの重厚なサービスよりもサービスレベルは低いが、安いチケットが手に入る航空会社を求めていることがわかります。

 

LCCの経営者は提供するサービスをノンフリル(飾りがない)だと称して、運賃は旅客を目的地まで運ぶ運送サービスのみの対価だと割り切り、法定の安全基準をクリアできるレベルで旅客サービスを設定しています。したがって、あらゆる付加的なサービスは有料かないしは切り捨てとなります。