【旅の準備】超初心者向け海外旅行ガイド
12 終章 旅のすすめ・補足説明
運命とは、最もふさわしい場所へ貴方の魂を運ぶことだ
(英 劇作家 シェイクスピア)
旅に出て「いいな」と思うこと
一番注意を要すたりしなくなります。おそらく免疫ができてくるのだと思います。
補足説明
EU内での乗り継ぎ「シェンゲン協定」
西ヨーロッパ(大陸)での乗り継ぎでは予め知っておいた方が良いことがあります。
パリ、フランクフルト、アムステルダムなどには日本からのフライトがありますが、こういった都市で他の西ヨーロッパの都市、例えば、バルセロナ、ヴェネチアなどに乗り継いでいく場合に適用されます。
結論から入ると、入国審査は乗り継ぎ空港で行います。
一方、受託手荷物は最終空港まで運んでくれ、その空港で通関することになると思います。
ポイントとなる乗り継ぎ空港における入国審査の必要は、EU加盟国間で出入国検査(国境検査)なしで国境を越えることを許可する協定(シェンゲン協定)に基づくもので、シェンゲン協定では外国人の入国条件を統一しており、入国審査は最初に上陸した加盟国で行うと決まっています。
受託手荷物の通関が最終目的地の空港で行われるのは、乗り継ぎ空港で乗客に受託手荷物をハンドルしてもらうのは旅客サービスの低下となるため、EUとしての運用を開始するにあたって、入国審査と通関のプロセスを分離する具体的な方法を整備したのだと思います。
尚、EU加盟国以外でもスイス、リヒテンシュタイン、ノルウェー、アイスランドはシェンゲン協定を結んでいますし、EU加盟国でもクロアチア、キプロス、アイルランド、ルーマニアはシェンゲン協定を結んでいません。
尚、イギリスはEUから離脱していますので、シェンゲン協定の適用は受けませんが、ロンドンからの国内線乗り継ぎで、乗り継ぎ専用のトランジットカウンターを設けて、受託手荷物を最終目的空港まで航空会社に預けたまま、国内線に乗り継ぐことができるようです。
EUに加盟していたなごりのように思われます。ロンドン以外のイギリス内の都市に行く場合には乗り継ぎ航空券がお勧めです。ロンドンに行くのと運賃はあまり変わりません。
航空会社と乗り継ぎ空港
航空便の乗り継ぎはやみくもにできるわけではありません。
乗り継ぎ便を利用する場合、多くは乗り継ぐ空港と乗継便(2便目)を運航する航空会社がペアになります。「乗り継ぎ空港」=「2便目の航空会社の拠点空港」という関係です。
一例を挙げると「パリ・シャルルドゴール空港で乗継」=「2便目はエールフランス」となります。 例えば、ローマ、マドリッド、バルセロナにパリ経由で行けるわけですが、その際に、2便目はエールフランスの便になるということです。 ここでは乗り継ぎ空港をいくつかに分類していますが、自分が訪ねようとする都市に行くためにどういった乗り継ぎ便があるのか、航空会社、航空券を探すときに便利です。
① 欧州の主要都市 (日本に就航している主要航空会社)
都市名(航空会社) ~ ロンドン(ブリティッシュ・エアウェイズ)、パリ(エールフランス)、フランクフルト、ミュンヘン(ルフト・ハンザ)、アムステルダム(KLM)、チューリッヒ(スイス・インターナショナル)、ヘルシンキ(フィンエアー):
日本行の便を運航する主な欧州の航空会社とその拠点空港。 これらの乗り継ぎを利用すると小規模都市も含めて欧州内の多くの都市に行くことができます。
JALはロンドンでブリティッシュ・エアウェイズに、ANAはフランクフルトとミュンヘンでルフトハンザの便に乗り継ぎ便を設定しています。 いずれもアライアンスで、JAL、ANAのホームページから安いチケットを買うことができます。 JALは異なるアライアンスの航空会社、エールフランスとも営業提携しており、パリ経由の安い乗継便があります。
② 中東の湾岸エリアの主要都市およびトルコ・イスタンブール
都市名(航空会社) ~ ドバイ(エミレーツ)、カタール・ドーハ(カタール航空)、アブダビ(エティハド航空)、イスタンブール(ターキッシュ・エアラインズ):
中東の湾岸エリア・トルコでの乗り継ぎです。 これらの地域は世界7大陸の主要都市に直行便を運航できるという、世界でも稀な地理的特徴があります。 トルコ以外の航空会社は拠点都市の経済規模は小さいのですが、長距離便の乗り継ぎをビジネスモデルにして、大規模な国際線運航を行っています。
東京地区へも乗入れていますので、このネットワークを利用して、アフリカや南米など日本からの直行便のないエリアの都市への乗り継ぎ便を容易に探すことができます。
イスタンブールはヨーロッパとアジアの接点の位置にあり、このグループに入れるかは地理的に微妙ですが、イスタンブール新空港の開港と軌を一にして、路線ネットワークを急速に充実しつつあり、最近のトルコリラ安によりこれからは更に安い航空券が提供されることが期待されることや、緯度が比較的高いところに位置し日欧乗り継ぎでの時間ロスも比較的少ないので、今後は日欧間の有力な乗り継ぎ地点になると思われます。
③ 東アジアの主要都市
都市名(航空会社) ~ ソウル(大韓航空)、上海(チャイナ・イースタン航空):
ヨーロッパ行きの便を探すときにこれらの乗り継ぎ候補を検討します。これらの航空会社は日本各地の地方空港に数多く就航しているので、羽田や成田で乗り継ぐよりも運賃が安く、短い所要時間で目的地に向かうことのできる場合があります。とりわけ西日本の都市から欧州の主要都市に向かう場合には東京経由ではなく上海経由、ソウル経由というのが候補に挙がります。また、将来的には、ウズベキスタン航空やモンゴル航空といった航空会社も候補に上がるのかもしれません。
④ 北米の主要都市
都市名(航空会社) ~ ニューヨーク(ー)、ロサンゼルス(ー)、シアトル(ー)、アトランタ(デルタ)、シカゴ(ユナイテッド)、ダラス(アメリカン):
北米の主要な都市には直行便がありますが、北米内の中小の都市や中南米に向かうときには、ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルス、シアトル、ダラス、アトランタ経由の乗継便をまず探します。
主な候補として挙げられるのが、デルタ、ユナイテッド、アメリカン航空の拠点空港であるアトランタ、シカゴ、ダラスです。これらの空港からの路線網はアメリカらしい大規模なネットワークです。アメリカンはJALと同じワンワールド、ユナイテッドはANAと同じスターアライアンスですので、JALやANAのホームページから数多くの都市への乗り継ぎ航空券を買うことが可能です。
乗り継ぐ場合には、初便のチェックイン時の航空会社スタッフとしっかり確認
乗り継ぎ便を利用する場合には、チェックイン時に航空会社スタッフに乗り継ぎについてしっかり確認したほうがいいと思います。
いろいろな原則を理解しておくとスムーズな乗り継ぎができますが、最後はその都度しっかり確認しておくことが重要です。例を挙げると、次のようなケースがあります。
航空会社(JAL)のホームページを見ますと米国での乗り継ぎをする場合は、国際線、国内線を問わず、乗り継ぎ空港で受託手荷物のピックアップと2便目のチェックイン時に預けることが求められています。
国際線間の乗り継ぎで、荷物へのタグが最終目的地になっていても途中空港で一旦、受託手荷物をピックアップし、2便目のチェックイン時に再度預けるようになっています。 例示:JALロサンゼルス乗り継ぎ案内
おそらく、乗り継ぎ空港でのセキュリティ上の問題か、受託手荷物のハンドリングが上手くいっていないかが原因だと思われます。
お金の話
いつも安全の話が多くなるのですが、最近は電子マネー利用の話題が増えて、日本は電子マネーの利用が進んでいないとか、海外では現金を使う人が少ないといった話を耳にします。
電子マネーの専門家でもなく、現状を説明できる知識も十分には持ち合わせませんが、自分のこれまでの経験から言えば、日本で使われている電子マネー(私も何種類か使っていますが)を海外で使えるという話は聞いたことがありません。外貨で使える電子マネーもあるそうですが、日本ではメジャーなものではありませんので、今すぐそこに乗っかるつもりもありません。そうすると、海外旅行では現金とクレジットカードに頼るということになります。自分が見聞きした範囲で判断していることは、外人は少額のキャッシュしか持ち歩かない。これはそうだと思います。例えば、美術館やホテル、スーパーマーケット、デパート、ガソリンスタンドのキオスク、街中のコーヒーショップで現金を使っている人はあまり見ません。相手が名前の通った企業や公的機関の場合はクレジットカードの利用は全く問題はないと思います。そうやって1日を過ごすと現金はほとんど使いません。交通関係のスイカみたいな交通カードは多くの国で使われていますので、これは必ず買い求めています。そうすると、トラブルが起こるリスクはクレジットカードだけですので、利用するクレジットカードは1枚に限り、予備も含めて、旅行に持って行くのは2枚に限定しています。ドイツ在住の知人はクレジットカードではなく、即時口座引き落としのデビットカードを使っていますが、安全レベルがクレジットカードと変わらないと思っていますので、日本ではあまりポピュラーではないデビットカードは使っていません。
知っておいて損はない、外貨購入のマメ知識
(1) 外貨ショップの両替率がリーズナブルかどうか確かめる方法:外貨ショップに掲示してある外貨ごとのBUY/SELL表を見て、外貨の種類ごとに「1/2 x (Sell価格-Buy価格) / (BUY・SELLの平均値)」を%で見る。外貨の種類ごとに両替率は異なります。ドルが最低で、経済力の小さな国の通貨ほど両替率は上がります。ドル:1%以下、他通貨1~2%であればリーズナブルです。
(2) 因みに、両替商のレート表の中に、Sell, Buyの他に、TCという欄があります。Travellers Check(旅行者用小切手)の略です。これは出発前に銀行で買って、回数券みたいに旅行先で分割して現地通貨に替えることのできる小切手です。本人のサインがあって、初めて有効となりますので紛失や盗難に強く、安全です。ただ、ドル小切手は日本で両替する際に両替レートが良くない日本の銀行を使うことになります。
(3) 日ごろから外貨預金をしておくのが便利そうですが、外貨紙幣を引き出すことのできる銀行は限られます。SMBCプレスティア(上顧客向け預金)口座の外貨預金はドル、ユーロ札を手数料なしで引きだすことのできる数少ない口座の一つです。外貨預金が可能な口座は多いのですが、国内では円に交換しないと引き出せない外貨口座がほとんどです。
(4) ホノルルの空港の両替所の手数料が極めて高いのを見たことがあります。日本人観光客の多い海外の観光地はどこでも要注意です。そういうところではATMを使うほうが交換率が良くなります。
(5) 私の方法論ですが、海外では名前の通った店、有名ブランドの直営店、ホテル、デパート以外ではカードは使わず、キャッシュ払いにしています。クレジットカードのスキミング被害を予防するためです。クレジットカードでの不正ATM引き出しの被害は1度だけあったことがあります。カード会社の認定により保障してもらいましたが、後始末が必要になります。
(6) 日本人があまり訪れない国では、日本円を買ってくれない両替所も結構ありますので、そういうところではドルを持って入国します。
(7) 所得水準が極めて低い新興国に行く場合、現地で両替なしで使う20~30ドルの1ドル札を持っていくと良いと思います。また、そういった国では、ババ抜きのようにぼろぼろの小額現地紙幣をおつりでくれたりします。他の店で使おうとすると拒否されることもありますので、きれいなのに換えてくれというのが筋ですが、少額ですので、目くじらを立てずにチップにして、その国で使いきることをお薦めします。
(8) 長期滞在する旅行の場合には、安全の点から、手元には、大金を置いておいたり、持ち歩いたりしないように注意が必要です。マリオットやヒルトンなどの一流ホテル(特にチェーン)ですと安心してデポジットサービスを使えます。(Can I have deposit service?) ~やり方の例:チェックインカウンターで、封筒の表に封筒に入れる金額(例:one thousand US$s ⇐ 数字はアルファベット文字で)をスタッフと確認してボールペンで書いて、封筒をのり付けし、サインします。
(9) 日本円への戻しは、帰りの航空便の出発前に済ませる必要があります。出国税を徴収する国かどうか、サテライトでレストランに入ったり、お土産を買うことはないか、機内で現地通貨で買い物することはないかなど考えて決めます。羽田の到着後では、レートが悪いというのもありますが、開発途上国の通過ですと取り扱っていないことも結構あります。