ANA/JAL 2018年度上期の決算について

 

ANA/JAL 2018年度上期の決算について

                                      2018114 

 

この度発表されたANAJALの上期連結決算を簡単に比較・概観しました。 

 

① 両社ともに増収(特に国際旅客)かつ若干の減益。 減益には燃油単価の上昇が影響。 

   ANAの収入は過去最高を更新。 

     営業利益額はANAが若干上回った。 利益率ではJALより若干低いものの、収益力は 

両社ほぼ並んでいるといえるのではないか。 

 

    増収幅はJALANAを上回ったが、これは近年になかったことである。  

特に旅客収入の増収額でJALANAを上回ったことは注目に値しよう。 

JALも成長の段階に入ったことがうかがえる。

 

         (ANA)     (JAL 

国内旅客収入   - 28 億円   +31 億円 

国際旅客収入   +355      +399 

LCC収入      + 41 

その他の収入   +162      +149 

           (営業収益計)   (+530 )    (+579 ) 

 

    国内旅客でのANA減収は、小型化による供給席数減(中期計画どおり)の影響と 

   思われ、搭乗率が大幅に上昇(68.269.8%)していることから、収益性は向上している 

ものと考えられる。 

   一方JALは幹線大型化(中期計画)で、高い搭乗率(72%)を維持しつつ旅客は増加。  

 

    国際旅客では両社ともに供給を大きく伸ばした中で、それを上回る旅客増を得て、搭乗 

率は上昇した。 今期は増収幅でJALANAを上回っている。 

JALは加えて旅客単価の上昇率も大きく、これが増収幅を大きくしている。 

JALの説明によれば「旅客基幹システム」の効果が大きいとのことである。 

両社の資料から類推すると、どの路線も規模は増加しているが、欧州線とリゾート線では 

JALの増収幅が大きく、米大陸線や中国線ではANAが大きいようである。 

 

   ANALCC規模は堅調に拡大しているが、内訳はPeachが+9%の旅客㌔増に対し、 

Vanillaのそれは▲6%。 

 

   通期予想では、ANAが収入・利益ともにこれまでの数値を据え置いているが、 

JALは収入のみ増額修正し、利益は据え置いている。 

予想利益額は両社ほぼ並んでいる。

 

 

《図表1》 連結損益計算書の概要比較 

 

      収入規模でANAJAL1.38 

      営業利益は両社ほぼ1000億円で並ぶ(利益率はJALがやや高め) 

   最終利益(親会社帰属利益)も並ぶ 

      国際旅客収入の規模拡大は急速で、ANAは国内旅客のそれに接近、JALは逆転してわずかながら国内旅客を上回る 

      国際旅客の増収幅はJALが上回った 

      燃油費が費用増に大きく影響(ANAの増加幅が大) 

      通期の予想利益レベルは両社ほぼ横一線 

JALは収入予測額のみ+330億円上方修正)

  

《図表2》 旅客にかかわる指標の比較

 

(国内旅客) ・ANAの収入はJAL1.31
      ・小幅ながらANA減収、JAL増収
 

      ・ANAは供給減(座席㌔▲2%)ながら旅客㌔横ばいで搭乗率大幅UP 

      ・ANAJALより大型機の割合が高く、これの小型化で搭乗率と収益性の 

向上を目指している(中期計画) 

      ・JALは供給増に伴う旅客㌔増を得て、72%という高い搭乗率を維持 

JALANAの搭乗率には2ポイント以上の差がある 

 

(国際旅客) ANAの収入はJAL1.23倍だが、今期の増幅はJALが上回る
      ・両社の規模拡大は急で、ANAは国内旅客収入の規模に近づき、JALは逆転して国内
 

旅客収入を上回る 

・搭乗率はJALが圧倒的に高い(ANA77JAL82% 

・旅客単価はANAJALより高いが、路線構成の差(ANAは高単価の中国線が多く、JALは低単価のリゾート線が多い)もあり、詳しい理由はわからない 

      JALは、対前年での旅客増と収入単価UPに新たな「旅客基幹システム」が貢献していると説明している 

      新と供給減(座席㌔▲2%)ながら旅客㌔横ばいで搭乗率大幅UP 

           ・ANAJALより大型機の割合が高く、これの小型化で搭乗率と収益性の 

向上を目指している(中期計画) 

           ・JALは供給増に伴う旅客㌔増を得て、72%という高い搭乗率を維持 

JALANAの搭乗率には2ポイント以上の差がある

 

  

《図表3》 ANALCCにかかわる指標

 

      収入は500億円弱、旅客数は400万人規模、搭乗率は87 

      Peachの規模は増え、Vanillaは若干減少

  

《図表4》 国際旅客収入の路線別推定値

 

      リゾート線ではJALの規模が上回るが、その他ではどの路線でもANAの規模が大きい(特に北米線と中国線) 

      ANAの北米線とアジア・オセアニア線収入は1000億円、JAL700800億円の規模 

ANAの中国線はJALの約1.6倍、JALのリゾート線はANAの約2.3 

      両社とも、どの路線でも対前年で増収となっているが、 

リゾート線と欧州線ではJALの増加幅が大きく、北米線ではANAが大きい 

 

        (数値は収入の路線別概算値;億円)

 

以上

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)