欧州の2大LCC RyanairとeasyJetを概観する(1)

 

欧州の2大LCC

 

RyanaireasyJetを概観する(1) 

2018616

 

  

 欧州の低価格市場を席捲している2大LCCRyanaireasyJetを概観しました。

 

 (注)データは両社の広報資料(Annual Report等)をもとに金額は至近レートで円換算。 

両社の決算期間は半年ズレているRyanair;3月期、easyJet;9月期)ことから、 

比較は主に入手データが整っている2016年度2017.3月期と2017.9月期)で実施。 

    2014年で当研究所で実施した調査研究結果の一部も使用しています。

  

1. 両社の収益性; 20年間成長と黒字が続く

 

①両社は20年来収入規模を拡大し、高い利益率も維持してきた。 

この間一貫して「近距離LCC」としての立ち位置を崩していない。 

Ryanairは中長距離への進出も模索しているが現実化していない。 

一方easyJetは中長距離に進出する気配も見えない。 

 

 ②最近は、Ryanairが拡大を続けているのに対し、easyJetはやや足踏み状態である。 

近距離LCC市場が飽和状態に近づいたことや経営方針の影響(次回)も考えられる。  

   

   売上と営業利益の推移(€=129、£=147円で換算) 

    2000年以降、両社は売上規模拡大を続け、高い利益率を保持してきた。 

    (1度も赤字に転落していない。)

 

 

 ③両社のKey Person;

 

RyanairLCC化し、今もCEOとして牽引しているMichael O'Leary氏は、規模拡大主義志向であり、路線や事業領域の拡大を続けている 

easyJetを設立したStelios Haji-Ioannou氏はeasyJetの経営から身を引く一方で、現在も1/3を持つ最大株主として強い発言力を持つとともに、easyブランドのライセンス料でも稼いでいる(判明している2013年時点でeasyJet収入の0.23% 

同氏は拡大を急ぐことには慎重で現経営陣とは度々衝突もしているが、このことも近年の経営に影響していると思われる。

 

2 収益性概観;現在は、規模・収益性ともにRyanairが優位

 

以下は最近の事業規模や収益性を比較したものである。 

 

3 財務状況概観;積極的な機材投資、自社保有のRyan、リースも多いeasyJet 

         両社株主還元(配当金)が大きい

 

① 以下は貸借対照表を比較したものである。 

 Ryanair; 借入金も活用し、機材への積極投資が伺える。 

      機材は自社保有が多い(リース機比率は約7%;CAPAによる)

 

 easyJet; 経年機更新⇒A320neo化に積極的。
リース機も多い(リース機比率28%)。

 

② 以下はキャッシュフロー計算書から抜粋したものである。

 

 Ryanair; 機材投資と株主配当※への積極性が伺える。 

※配当による資金支出が多く、過去の利益総額も割には留保利益は
少ない。

 

 easyJet; 機材投資額、株主配当ともにRyanairに比べると少ないが、 

決して小規模ではない。

以上

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)