年末年始の旅客実績にみる業界勢力図の変化

国内航空各社が発表した年末年始12/281/3の旅客実績をもとに、若干の分析・考察を行った。

(注)リージョナル航空のFDAは含めていない。

   前年数値は変化率をもとに逆算した数値を使っている。

 

1.  概括

   ① 期間中の総旅客数は、国内線・国際線ともに増加したが、内容は会社によってばらつきがみられる。

②  国内線総旅客数は2369千人で、前年同期間比で+21千人(+1%)。

ANA; 機材小型化等で席数減(▲4.5%)となったことで旅客数も微減(▲0.8%)となったが、JALとは依然大きな開きがあるJALより37%多い)

    一方搭乗率は+3ポイントと目立って上昇し、JALを抜いた。

    これによって収益性が大きく向上していることがうかがえる。

JAL; 座席数(+0.9%)を上回って旅客数が増加+1.6%)し搭乗率は上昇、旅客
シェアも若干回復した。

SKY; ほぼ前年同期間なみの推移ながら、90%超の高い搭乗率であった。

中堅3社; 軒並み搭乗率が低下→収益性の低下が懸念される。

ADO; 前年並みの供給→旅客数は▲4.9%減、搭乗率は大きく低下。

       ソラシド; +2.9%の席数増も旅客は伸びず、搭乗率は低下。

       SFJ; 小幅ながら旅客減&搭乗率低下となった。

      LCC; Jetstar-Jの躍進とPeachの足踏み、Vanillaが大幅供給増。

Jetstar-J; 絶好調、席数増(+6.8%)を大きく上回る旅客増(+13.4%)で、搭乗率は国内トップの91%超。

Peach; ANAの子会社化による事業制約(主要成田路線の廃止)もあって

か、旅客は減少し、搭乗率も低下した。

           Vanilla; 供給席数は1.5倍と著しく増加、搭乗率は低下。

 

③   国際線総旅客数は496千人で、前年同期間に比べて+18千人(+4%)。

    うち過半がANAの増加によるもので、そのシェアは拡大、搭乗率も向上。

    JALも増加して搭乗率は91%超となったは、シェアでは低下。

    LCCPeachが増加したが搭乗率は小幅低下、Vanillaは小幅旅客減で搭乗率も低下。

    Jetstar-Jは規模は小さいながら搭乗率は大きく上昇。

 

2.  指標でみる各社の勢力図

① 旅客シェア;  国内線はANA45%、JAL33%、LCC10%壁を破れず。

            LCCは国際線で約18%の足踏み。

              (国内線旅客シェア)             (国際線旅客シェア)


② 搭乗率;  国内線ではSKYJetstar-Jが、国際線ではJAL90%超。

          ANAJALJetstar-Jが搭乗率で向上、PeachVanillaと中堅3社の搭乗率が低下。

    前年同期間と対比した供給席数、旅客数、搭乗率でみる各社の状況

(国内線)

ANA; 席数減、旅客微減、搭乗率大きく向上。

JAL; 席数微増、旅客増、搭乗率向上。

SKY; ほぼ前年並みの推移。

ADO; 前年並み席数で旅客が大幅減、搭乗率低下。

ソラシド; 席数増ながら旅客減、搭乗率低下。

SFJ;  席数減を上回る旅客減で搭乗率低下。

Peach; 席数微減、旅客減で搭乗率低下。

Jetstar-J; 席数の増を大きく上回る旅客増で搭乗率が大きく上昇。

Vanilla; 著しい席数増と旅客増も、後者が追い付かず搭乗率は低下。

     (国際線)

       ANA; 席数増とそれを上回る旅客増で搭乗率は向上。

       JAL; 小幅増の席数を上回る旅客増で搭乗率は向上。

       Peach; 大幅な席数増に旅客の増が追い付かず、搭乗率は若干低下。

       Jetstar-J; 席数微減ながら旅客は増加し、搭乗率は向上。

       Vanilla; 前年なみの席数で旅客が減少、搭乗率は低下。

 

      (前年同期間との対比でみた会社ごとの座席数/旅客数増減率と搭乗率の上下幅)

以上

海外事情

 

84~16日の主要ニュース19本のうち、いつもはPhocusWire Dailyにはほとんど表れない法人旅行に関する記事が7本(目次の下線箇所)もあった。取扱高ベースで米国市場のおよそ3割が法人旅行市場にあたり、そしてそれに加えておよそ2割程度のunmanaged business 旅行市場が存在すると言われている。つまり米旅行市場のほぼ半分あるいはそれ以上が、法人旅行で構成されていることになる。それだけ大きな市場にもかかわらず、業界ニュースが少ないのに驚かされる。(尤もこれにはPhocuswrightの親会社であるNorthstar Travel Mediaが、法人旅行市場専門誌であるBTN=Business Travel Newsを編集していることも影響している。)

 

7本の記事を読むと、この市場のセルフ予約ツールの使い勝手が極めて劣悪で、法人旅行管理会社(TMC)のサービスに対しても出張者の不満が多く、その上企業の出張規定のかなり厳しい遵守の要求のために、出張者のモラルと生産性の低下が発生している可能性がある、という何やら暗い話が連続する。要するに観光旅行市場の方が法人旅行市場よりも、旅行の計画や手配のプロセスで、テックを含めてずーっと先進洗練先行しているというのだ。

 

しかし、最近になって、この遅れた法人旅行市場に目をつけた新規参入者たちが参入しつつある。そして彼らは、企業のコスト削減最優先に変えて出張者ファースト、出張者セントリックの戦略を敷いている・・・というようなことが、これらの記事に書かれている。観光旅行のベストプラクティスを法人旅行が真似ようとしている。これはFSCLCCを真似て、FSCLCCの境界線がぼやけ始めている話と似ている。出張先で仕事の前後に休暇旅行までしてしまうブレイジャーの拡大も、法人旅行のセルフインベンションの一つのきっかけとなっているのだろうか。

 

11. OTA4つの神話」は、“高い手数料をふんだくっている悪者OTA”の評判(風評?)に対するOTA の恨み節が書いてあって面白い。(編集人)

 

 

海外事情 916日号B 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人)