Lufthanza航空の現状とリストラ(2)

2020.8.26.

Lufthanza航空の現状とリストラ(2)

~ 財務・資金の状況 ~

 

前回の「収支と事業の構造」に続いて、今回は「財務と資金の状況」を概観した。

金額は円貨(€=121円で換算)で表示している。

 

1.財務状況; 主なBS科目の変化とキャッシュフロー

 

1) 総資産は5.16兆円→4.83兆円と約▲3300億円縮小した。

  → 収入規模縮小で、営業未収入金等の営業債権が減少したこと

→ そして固定資産の減価償却や減損処理によって総簿価が減少したものである。
(新たな設備投資;1068億円はあったが、減価償却;2216億円によって簿価の

総額は減少)

 

2) 借入金(含リース債務)は1.21兆円→1.32兆円と1114億円増加し、

 

 手元資金も40964427億円と331億円増加した。
差額の783億円はCash流出したことになる。

 

3) キャッシュフローの内訳; 

(事業キャッシュフロー) 当期損失は▲5347億円であったが、うち1988億円がCash流出を伴わない減損損失であり、減価償却費での内部滞留(2216億円)もあって、事業活動による実際のCash流出は1000億円強にとどまった。

 

(投資&財務キャッシュフロー) 設備投資(▲1068億円)や借入金返済(▲1362億円)による支出があったが、主に新規借入(2159億円)で賄った。

 

その他要素での出入りが加わり、当期のCash流出は783億円であった。

借入金残高は1114億円増えたが、▲782億円が流出して、手元資金の増加は

331億円に留まったということになる。

 

4)財務指標; 手元資金は売上げの1.2ヵ月分

   6月末の手元資金(4427億円)は、2019年の売上高換算でわずか1.2ヵ月分に

   すぎない。 資金枯渇が目前という数値であるが、既に90億ユーロの支援が決まり

   まもなく実行されることになっている。

他方借入金残高(1.3兆円)も売上高換算3.6ヵ月分と少ないが、やがて増えることになる。

その他、機材効率を示す航空機回転率(1.20)、借入金依存度、自己資本比率ともに年度当初の指標としては悪いものではなかった。

 

 

2.公的財政支援とリストラ策(既掲載分と重複するものもある);

 

   1)財政の公的支援;

ドイツの経済安定化基金(WSF)は90億ユーロの資金支援を認めた。

内容は以下のとおり。

      20%の株式取得(約3億ユーロ、経営参加あり)、

      57億ユーロの無議決権融資(うち47億ユーロは株式化)、

      復興金融公庫(KfW)と民間金融機関による30億ユーロの協調融資

またスイス(15億スイスフラン)、オーストリア(6億ユーロ)、ベルギー(2.9億ユーロ)の各政府も夫々のフラッグキャリアーに応分の支援をすることで了解した。(但し90億ユーロ・スキームと相殺される。)

      ・ 同時にフランクフルトとミュンヘンの24発着枠を移譲することも決まった。

      なお株式市場の主要30銘柄(DAX30)に入っていたルフトハンザ株は、二部銘柄であるMDAXに移行となった。

 

   2)リストラ策

     (事業)欧州のケイタリング事業を売却する。

         またGermanwingは廃止する(Eurowingに吸収)

     (機材)A380x6機、B747x5機、A320x11機が退役した。

         発注機材は先送りしているが、2023年までには80機が導入される。

     (運航規模の回復計画) 10月末までに機材の半数(380機)を再稼働させ、40%の運航

に戻す予定である。 この時就航都市は、近距離では90%以上を、長距離では

70%以上を復活させたいとしている。

 

    (人件費等の施策)

ルフトハンザ客室乗員組合(UFO)との間で、雇用確保を条件に、乗務時間と給与の削減、年金拠出の一時的削減、自主退職支援等について合意した。

         同趣旨での話し合いは、オーストリア航空、ブラッセル航空の乗員や地上職についても

         行われている。

         また役員会の規模縮小や組織スリム化で管理職ポスト1000が削減される。

 

以上