ANA/JAL 2016年度第3四半期決算の簡易比較

ANA/JAL 2016年度第3四半期決算の簡易比較


                                                        201721

 

      この度発表されたANAJALの上期連結決算を簡単に比較した。

(注)末尾処理により別表数値(四捨五入)と発表値(切り捨て)とが一致しない箇所がある。

 

1. 収益性概観; ともに減収ながらANAは増益、JALは減益。

          営業利益はほぼ並んだ。

 

   ・両社ともに減収;

国内旅客は価格競争で収入単価が低下してともに▲1~▲2%の減。

国際旅客と国際貨物は、燃油サーチャージ減や円高為替の影響を受けて大幅減収。
但しANAの国際旅客は規模増(座㌔+12%)に旅客が伴い減収幅は小幅。

・費用; 燃油価格低下の効果などで減少したが、JALは人件費や整備費が増加して

その効果を減殺した。

   ・利益; 営業利益は1,300億円台で両社がほぼ並び、当期純利益の規模も接近してきた。

・通期予想; 第4四半期にANAは約150億円の営業利益、JAL300億円強の営業利益を見込んでいる。

 

年間最終利益はANA800億円、JALはその倍の1,610億円を見込む。

 

2. 旅客指標概観; ANAの旅客規模はJAL1.33倍(国内線)、1.07倍(国際線)。  

搭乗率はJAL34ポイント高い。

 

   ・ 国内旅客; 旅客発着収入単価はともに▲2%低下したが、旅客数は増えて搭乗率

            は向上し、ANA65.8%、JAL69.3%となった。

・ 国際旅客; 収入㌔単価はともに▲10%程度低下、この影響で両社減収となった。

ANA+11%(座席㌔)の供給増を旅客㌔の増加が上回った。

JALは短距離のアジア線で旅客減となったが、長距離の北米線等がカバーして、旅客㌔では前年を上回った。

 

搭乗率はANAが向上して75.6%となり、JAL80%をほぼ維持した。

 

3. 財務状況; ANAは、航空機ANAは建設仮勘定を含む)と有利子負債が大きく、
        JALは、それらがともに少なく、利益剰余金が多い。

        JALはまた、株主還元の一環として自己株式の取得を進めている。 

        (期末までに300億円取得の予定)

 

 

以上

海外事情

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)

海外事情12月9日号 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)