ANA/JAL 2016年度決算について

 

ANA/JAL 2016年度決算について

201758

 

この度発表されたANAJALの連結決算数値を簡単に比較した。

(文面での数値は大括りして使用)

 

 

 (要旨)  

   2016年度は、JALは大幅な減収減益で営業利益は1,700億円に。
ANA
も収入減ながら利益は増え、営業利益は1,400億円になってJALに接近。

   ANA/ANAの収入規模差は、ANAが国内旅客で1,800億円36%)上回り、国際
旅客でも1,000億円
24%上回るようになった。

   2017年度はJALが更に減益となり、ANAは利益額でもJALを上回る見込み。
予測の営業利益ANA 1,500億円、JAL 1,420億円

 

 

1. 損益計算書概観

(収入) JALは燃油サーチャージ減や円高影響もあって国際旅客収入が▲336億円の減。

ANAは、同理由による減を、規模増による増収で補い、国際旅客収入は微増。

そのほかLCCVanilla)の規模増や、他社ハンドリング受託の増収もあった。

国際貨物は両社ともに、為替や燃油サーチャージ減の影響のほか、費用処理していた
販売手数料を収入控除とする処理方法の変更もあり大幅減収となった。

  (費用) 両社ともに燃油費減の効果が大きかったが、人件費増等がそれを相殺(特にJAL)する形となった。

  

2017年度予測) 両社ともに国際旅客で大幅増収を見込むほか、ANAは子会社化して

合算されるPeachの収入も上乗せとなる。

 

  ANAは今期を上回る利益(営業利益1,500億円)を見込むが、JALは整備費やIT刷新等の戦略的支出のために減益(営業利益は1,420億円)を見込み、そのために利益額でもANAJALを上回る見込み。

 

 

1. 旅客に関わる指標概観

(国内旅客) 両社ともに供給を絞ったが旅客は増え、搭乗率は上昇。

 しかし単価減(▲2~▲3%のために減収となった。 

LCCSKYの低運賃が影響したものと思われる。

(国際旅客) JALはほぼ前年並みの需給規模ながら既述の単価減によって大幅減収、

  但し搭乗率は80%を超えた。

  ANAも同理由があったが、規模増(座席㌔+10%)を上回る旅客増によって搭乗率も向上し、僅かながら前年を上回る収入となった。

 

 

2. 財務体質(貸借対照表)概観

(JAL) 1.7兆円の総資本のうち、純資産は1兆億円(58%)。

     有形固定資産(航空機等)が8200億円あるが、有利子負債は1000億円。

     留保利益は総資本の半分を超える6500億円。手元資金は4000億円超。

(ANA) 2.3兆円の総資本のうち、純資産は9200億円(40%)。

     設備投資は大きく、有形固定資産(航空機等)は1.4兆円。

これを有利子負債7100億円、株主出資6000億円、留保利益3300億円で賄

い、手元資金は3200億円。

 

 

なお、58日時点の株価時価総額は両社1.2兆円でほぼ拮抗。

 

 

以上

海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)