国内線LCCの現状分析と国内市場の展望(2) ~ 関西圏市場 ~

国内線LCCの現状分析と国内市場の展望(2)

~ 関西圏市場 ~

 

2017119

 

1.     関西3空港発着旅客

 

 ・ 関西3空港の発着旅客数は計2,238万人。

・ うち857万人が首都圏路線での旅客。⇒詳細は次回(首都圏市場)にて。

・ LCC就航11路線(除首都圏路線)の旅客数は1,175万人。

うちLCCの旅客は309万人(シェアは26%)。

・ LCC未就航路線全体での旅客数は206万人であり、規模としては小さい。

 

 

   《図表1》関西圏市場の旅客内訳

 

2.     LCC就航路線の内訳

 

  LCC就航11路線と夫々の総旅客数、LCC旅客数、LCC率は下図表のとおりである。

・ 規模は新千歳(札幌)と那覇(沖縄)が突出して多く(各250万人超)、福岡、仙台、鹿児島が各100万人超の規模で続いている。

・ LCCの旅客規模は新千歳、那覇、福岡が多い(各数十万人)

・ LCCのシェアは、福岡と石垣が40%超と高く、他の主要路線は25%程度が多い。

 

 

《図表2LCC就航路線の旅客内訳(LCC率は右目盛り;%)

                     (上のグラフの元数値)

 

3.LCC就航路線の会社別内訳

 

  LCC就航路線の会社別旅客数とシェアは下図表のとおりである。

   (※)中堅2社(ADO・ソラシド)とIBEXの旅客数は概算推定値であり、コードシェアに

よりANAが販売している分(ANAの旅客)を含む。

・ 旅客シェアはANAが最も大きく、コードシェアでの旅客を含めれば実質4割超。

・ LCC26.3%を占め、JAL22.5%)を上回る。 

・ LCC単独でもPeach19.4%とJALに接近している。

 

 

《図表3LCC就航路線旅客の会社別内訳(円グラフはシェア)


 

4.空港ごとにみた会社別・路線別の旅客内訳

 

   旅客数を関西3空港 X 会社別にみると;

LCC就航11路線の旅客(1,175万人)について、関西3空港 X 会社別に旅客規模をみたのが下表である。

・ 伊丹は大手2社が占有IBEXANAのコードシェア便)、関西はLCCが7割を占めている。

・ 神戸ではSKY7割超のシェア。

 

 

   《図表4》空港別、会社別にみた旅客内訳

 

②  更に路線別にみると;

LCC就航各路線について3つの空港別に分けて旅客数をみたのが下図表である。

 

 

《図表5》空港別、会社別、路線別にみた旅客内訳

 

5.1便当たりの平均的な姿

 

  LCC就航路線全体で、各社の1便当り座席数、旅客数、搭乗率をみたのが下図表である。

・ 平均席数はLCC180席と最も多く、大手2社は少ない(特にJAL)。
⇒ SKYと中堅2社はLCCと同等の機材で席数は若干少ない。

⇒ 大手2社はLCCより小型のリージョナル機やレシプロ機を多用している。

・ LCCの搭乗率は85%と目立って高く、便当りの旅客数は153人と各段に多い。

LCCは「17%の便数シェアで26%の旅客」を得ている。)

・ 逆に便数の多い大手2社、そしてSKYの搭乗率は60%台半ばと低い。
(中堅2社も低く、席数の少ないリージョナル機のIBEXは高め)

 

 

《図表61便当たりの平均的な姿と1日の便数(往復ベース)(搭乗率は右目盛り)

        (1日当り便数;往復

 

6.各路線を空港別・会社別にみた便当たりの平均的な姿

  (散布グラフは搭乗率を示す;右目盛り)

 

 ・ 1便当り座席数、旅客数、搭乗率(散布グラフ;右目盛り)をより詳細にみたのが下図表である。

   平均的な姿と、1日当りの便数(往復ベース)を合わせて参照頂きたい。

  LCCは大半の路線で8590%の高い搭乗率を示している。

また多くの路線で席数が最多である。

なお、LCCで唯一低搭乗率であった熊本(JS-J)は今は休止している。

 

 

《図表71便当たりの平均的な姿と1日の便数(往復ベース)-その1

   

    (1日当り便数;往復)

 

 

《図表81便当たりの平均的な姿と1日の便数(往復ベース)-その2

 

 (1日当り便数;往復)

 

7.主なLCC未就航路線

 

  現在の関西圏市場でLCC未就航路線の旅客数は206万人であるが、そのうちの主な路線(年間旅客10万人以上)を抽出したのが下図表である。

・ 大半がLCCA320より小型のリージョナル機やレシプロ機で運航されている路線であり、

LCCがそれより席数の多い機材で参入して高い搭乗率をあげるのは難しいかもしれない。

・ 因みにLCCDaily1往復便を、通年搭乗率80%で運航した場合の旅客数は、年間

10万人となる。

 

 

   《図表9》主なLCC未就航路線と旅客数(2015年度)

 

8.至近の運賃の比較(参考)

 

  大手2社、SKY、中堅2社、LCC2社が相互に競争している「札幌線」と「那覇線」に

ついて、至近の運賃(最安運賃)を比べてみたのが下表である。

     (注)運賃は個人属性の影響を受けないものを対象とした。

2017年1月121100時点の調べによる。

便によってバラつきがあるが、最安のものを抽出した。

 

これに基づいて特徴を列挙すると;

・ 大手2社は、搭乗3週間前までは安い運賃を用意しているが、その期間をすぎると

安い運賃はない。便出発時にむけ普通運賃に収斂させていく形といえよう。

SKYは大手より普通運賃を安く設定、搭乗の直前まで安い運賃を用意している。

この点でLCCに近似している。

・ 中堅2社もSKYLCCに連動する形で大手より安めの運賃を用意している。

・ LCCは常時きめ細かく運賃をコントロールし、最低運賃カレンダーを用意している。

 LCCは表示運賃のほか、別に付加料金(※)がかかるため、場合によってはSKYなど既存会社よりも割高になることもある。 

   (※)空港施設利用料、支払手数料、座席指定料金、手荷物料金など

 

 

《図表10》主要2路線の運賃比較(2017.1.12時点)

 

以上

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)