春秋航空の2014年度業績概観


春秋航空の2014年度業績概観

 

この度発表された春秋航空日本の2014年度業績(2014.112月)について、国交省の発表資料も加味して若干の分析を加えて概観した。

 

1.事業概要

8月に3路線5便/日で運航を開始したが、10/26より減便、現在は3機の737-800型で、日に4往復便を運航している。

   機材稼働は低く、1日1.3往復で、3時間程度となっている。


1.2014年度決算

    収入はわずか8.36億円(5か月間)と極めて少ない。

費用は直接費用(売上原価)だけで29.5億円、販管費を含めると57.25億円となり営業損失は▲48.89億円と巨額の赤字となっている。

就航準備費用や機材の低稼働を考慮しても、現状は深刻な赤字体質といえよう。

(試算)1カ月当たりの「収入-直接費用」は▲4億円強との勘定になるので、もし

現状が続けば、毎月数億円規模の赤字が発生し続けることになる。

 

    累損は66億円となった。

流動資産42.2億円と流動負債39.6億円は、費用の多く(例えばリース料)が未払いとなっている分だけ、現預金が手元に残っていることによると想像される。

 


1.指標でみる収益性(推定)

    1便当りの旅客状況; 189席に平均102人の旅客があり、搭乗率は54%。

                 LCCとしては非常に低いレベルにある。

   

    1便当りの収支;

1) 1便当りの収入はわずか61万円にしかならない。

<参考> 同型の機種を持つ国内4社の2013年度の便当り収入(概算)。

   Peach、スカイマーク、スターフライヤーは150154万円(Peachのみ黒字)

     Jetstar-Japan122万円(大幅赤字)

2) 1便当りの費用は、直接費用(売上原価)だけでも215万円。

<参考> Peachの便当り営業費用は144万円、他の3社は158166万円。

(いずれも推定)

  

    旅客収入単価; 運賃収入で4,880円、付加収入要素が1,120円、合計で6,000円。

<参考> 2014712月の1人当り運賃収入(国交省資料)

  Peach 7,890円、Jetstar-J 8,352円、バニラ 8,450

  (注)Peachは運航距離が短いため発着旅客単価は低いが、距離あたりでみると最も高水準にある。

    座席コスト; 機材低稼働と規模メリットを享受できる事業規模でないこともあって、

直接費用だけで1万円を超えている。



(今後の展望) 規模メリットを得られるまでのネットワーク拡大、搭乗率の大幅改善、収入単価のアップ等、収益性を確保できる事業体制の確立までに距離がなお遠く、このままでは苦戦は避けられないのではないだろうか。



以上

海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)