スカイマーク支援問題について思う

                           スカイマーク支援問題について思う

 

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                             赤井 奉久

 

スカイマークの再生支援が2つの案で揺れている。

ANAが中心となる支援か、デルタが中心となる支援か、である。

これについて長い間スカイマークの経営を見てきた立場から私見を述べたい。


 

1. 支援するものは何か?

   基本事業モデルは黒字であり、これへの支援は必要としない。

コスト効率の良い小型機で、高需要の羽田路線を運営し、柔軟な低価格政策で

旅客を積み取るというスカイマークの事業モデルは、3年前(2012年度)に過去最高益を上げたが、それは今なお有効である。

LCCによる攻勢の影響は否定できないが、それと同じタイプの機材で運航しているスカイマークのコストハンデは小さい。他方国内線の約7割の旅客が利用している羽田の発着枠の価値は極めて大きい。高運賃の大手2社と一味違った強みを充分持っているのだ。

この部分は、コードシェアで座席を買い支えるといった支援は無要であり、それはむしろ基本事業モデルを縛り、消費者利便を損なうだけといえよう。

確かに既存会社に比べてスカイマークのサービスの悪さは否定できないし、運航体制の充実も望まれ、この部分は改善が必要である。しかし事業モデルの放棄との引き換えで得るような性質のものではない。

事業の日常運営に関する限り、どこが支援しても(しなくても)再生は可能だということである。

 

   必要としているのは、巨額の尻拭いである。

破綻の原因は2つの大型機であることははっきりしている。いわば余計なことをして自ら破綻に嵌まり込んだわけである。

超巨大機(A380)によるいきなりの長距離国際線進出は論外である。

A330も計数試算すれば無理なことが見えていた。この機材を271席で使えば、座席コストの6割を占める運航4費用(燃油費、空港使用料、機材費、整備費)だけでも5割近く上昇したはずである。高い運賃と強い集客力を持つ大手ならいざ知らす、スカイマークの事業モデルで利益をあげようとするのは無謀と言うほかはない。

最も大きな痛手を受けているのはA330のリース会社である。(エアバス社は、A380では相応の前払金を受け取っており、この分は割引いて考えるべきであろう。)

しかしリース物件の事前調査が弱すぎたという点では、リース会社の落ち度も大きく、それに見合う代償はやむを得ないとすべきであろう。

現在の再建案のポイントは、リース会社(特にイントレピッド)がどの程度まで我慢できるかということである。換言すればA330の転用について展望が開けるかどうかということだ。

最初にこの問題を持ちかけた相手(ANA)からは袖にされた。デルタならその展望が開ける可能性があるということなのだろう。だが二次破綻してしまえばそれすら叶わなくなる。少しでも条件のいい落着き先を探っているのが現状だと思われる。

 

 

2. 今後どうなっていくのだろうか?

   正直いってどちらの再建案に落ち着くかは見通せない。

イントレピッドはA330の転用(スカイマークの機内仕様はほかでは使えないと思われる)を中心に、痛手の極小化を求めて動いていくであろう。

エアバスはじめ巨大債権各社は、場外での条件との見合いで態度を決めようとしていると思われる。例えば、エアバス機の新規採用や大量購入、リースへの漕ぎつけ等である。

前述のとおり、スカイマークの本来事業は、路線見直しに加えてサービス向上等の改善を重ねていけば、それ自体から利益をあげるのは難しくはないであろう。

他方では、現在の債務額は、その地道な努力で賄える規模にはほど遠い。

やはり巨大企業の支援を受けない限り、この窮地から脱することは困難であろう。

今は偶々その企業がANAかデルタかということである。

両社にとって、収益性の高いスカイマークの事業資源を自らの懐に取り込むことは魅力であり、多少の出費は覚悟しても手に入れたいところでもあろう。

特にANAはスカイマークがデルタに渡ることだけは何としても避けたいであろう。

どちらに決まるにしても、程度の差はあれ、スカイマークの事業モデルに影響を及ぼすことになろう。今後の成り行きを注目していきたい。

 

                                                                                                                以上

海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)