旅物語 第13回 アンコール世界遺産へ 後編 (2016年2月)

2016年5月2日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 

タ・プローム ②

 

 発見時のまま保存されているため、長い間、ジャングルに埋もれていたため、強大な榕樹(ガジュマルの1種)が遺跡に絡みつき、独特の神秘の世界を創り出してる。

 

 

 

タ・プローム ③

 

魅惑するデヴァター(女神)たち

 

 

小回りコース/タ・プローム ①

 

 アンコールトム近在の遺跡巡りコースを“小回りコース”と言われています。

 

 “タ・プローム”は、ジャヤヴァルマン7世が12世紀末に創建、東西1km南北600m周壁に囲まれた大乗仏教寺院、往時には、1万を超える僧侶が居住した。
 
 後にヒンズー寺院となり、レリーフから仏像が削り取られる。

西塔門の四面仏、観世音菩薩

上部にあった仏像が削取られている


アプサラス(天界の踊り子)のレリーフ

 

 

 

デヴァター(女神)


 

小回りコース/バンテアイクデイ(上智大学支援遺跡) ①

バンテアイクデイ遠景

 10世紀にラージェンドラヴァルマン2世が建てたヒンズー寺院跡を、12世紀末にジャヤヴァルマン2世が仏教寺院として再建したもの。東西700m、南北500mの外壁を持つ、タプロームに似る。

 

 上智大学が2001年に、大量の廃仏274体を発掘、隠れた歴史を明らかにした。
 上智大学は、日本がカンボジアと国交を結ぶ以前から、遺跡の保護に地道な活動を続けており、現地からの信頼も高い。

 

 静かで幻想的な雰囲気のある遺跡です。

 


 

バンテアイクデイ(上智大学支援遺跡) ②

 

 バンテアイクデイとは、「僧坊の砦」の意味。

 

 ヒンズー教 ⇒ 大乗仏教 ⇒ ヒンズー教
 ⇒ そして現在は「上座部仏教」と、宗教の変遷が観察できます。

 

 観光客も少なく、静寂の中、広い遺跡を歩くと、周囲からデバター(女神)や、獅子たちに見つめられ、幻想的な気分になります。

 

 

デヴァター(女神)たち

獅子たち


 

大回りコース/プリヤカン ①

 

見とれる程美しい色彩の王妃さま

 東バライ周辺に点在する12世紀末のジャヤヴァルマン7世時代の遺跡を中心に、900年代の古い遺跡などを巡るコースを“大回りコース”という。

 

 プリヤ・カンは、ジャヤヴァルマン7世が父王供養のため大乗仏教寺院を建立。
 東西800m、南北700mの環濠・外壁を持つ最大級の広さを持つ寺院都市。
 往時は僧侶を初め10万弱の住民が居住していた。 

 

プリヤカン ②

 

 アンコールの遺跡群でよく目にする「綱引き」は、インド神話の“天地創造神話”です。

 

 これは「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」の神話で、
神々と阿修羅(悪鬼)が長年の戦いを止め、共同で不老不死の薬(アムリタ)を手に入れるというヴィシュヌ神(ヒンズーの最高神)の提案により、共同で海を攪拌する話です。
 竜王ヴァースキ(大蛇)をマンダラ山に巻きつけ、尾側を神々が、頭側を阿修羅が、両方から千年以上も引っ張って海を攪拌、天地を創造しました。

 

プリヤカン ③

 

 左は、榕樹(ガジュマル)に覆われた遺跡
              ・・・神秘的な雰囲気です。

 

 下は、ギリシャ神殿を思わせる建物・・・一説では、図書館跡と。

 

 思わず、西洋の古代遺跡に紛れ込んだかと・・・びっくり、驚嘆!  見とれます!

 

プリヤカン ④

 

左は、削り取られた仏像跡と踊り子

 

下は、王妃のデヴァターなど。


卒塔婆

 

プリヤカン ⑤

神鳥ガルーダ

回廊


 

お世話になった“ツクツク”

 

風が涼しく、ゆったり感が最高です。

 

 観光客が遺跡の見学をしている間、ドライバーさんはのんびり昼寝して待っていてくれます。

 

 

初日のツクツク

地雷撤去済掲示板

近代的なシェムリアップ空港

 

削り取られた仏像跡

2日目のツクツク

 

体力のある欧米人の若者は自転車で走っています。

 左上は、ドイツの支援で地雷が撤去されたことを知らせる掲示板です。

 

 左下は、近代的で綺麗なシェムリアップ空港、到着ロビーへはのんびり歩きです。ハワイ諸島の空港のような雰囲気です。

 

 右下は、ロリュオス・ロレイで見かけた目に鮮やかな熱帯樹。目に鮮やかです! 

熱帯樹(ロリュオス・ロレイにて)