旅物語 国内 第10回 京都・平安神宮の節分祭(2015年 節分)

2016年1月26日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

厄鬼たち

 昨年2015年の京都の節分は、連日”雪時雨”(ゆきしぐれ)の厳しい底冷えの中でした。
 平安神宮の古式に則った「大儺之儀(だいなのぎ)」、古くは「追儺(ついな)」あるいは「鬼やらい」と言われた朝廷の祓いの行事です。
 きらびやかな鬼たち、鬼を追い払う異形の神、”四つ目の方相氏(ほうそうし)”、お供の童たち、緑の衣をまとった陰陽師、紫/緋色の衣の四位・五位の公卿や殿上人など、見るものを魅了する、おごそかで華麗な行事でした。


 

 この「大儺之儀」は朝廷の祓いの行事として、旧暦の正月の前日、大晦日・節分の日に行われていたものです。

 

 昭和49年、故猪熊京大名誉教授の時代考証の元に復元されました。

 

 

上卿・殿上人

 

 奏上の途中で、黄金の四つの目を持つ方相氏がシンシ(子供)を連れて入場、奏上後、方相氏が鉾で盾を三度打ち「鬼やらう」と大声で発声します。
 次に、上卿が北東と北西に向かって桃の弓で葦の矢を射、 殿上人が桃の杖で、北東、南東、南西、北西と四方を撃ちます。
 再度、方相氏が矛と盾を打ち鳴らし「鬼やらう」発声しながら、斎場を三度廻ります。

 

 

 次に、応天門南側に移動し、先ほどと同様、門外に向かって、方相氏は「鬼やろう」を発声、上卿は桃の弓で葦矢を射、殿上人も杖で四方を撃ち、厄鬼を払います。

 

 「桃」は祓いの力を有し、
「葦」は浄化作用を持っています。

 

 

 

上卿は桃の弓で鬼門を葦矢で射る

陰陽師

 

儀式の次第は以下です。
 
 東から、紫の衣の上卿と緋色の衣の殿上人が、西から緑の衣の陰陽師と山吹色の衣の斎郎を連れて入場、
 そして、陰陽師が独特の歩き方で中央に進み、祭文を奏上します。

 

異形の神、四つ目の方相氏

方相氏

殿上人は桃の杖で四方を撃つ


①鬼が応天門から入り、

忌竹と注連縄

 

 

 

最後に、茂山社中が扮する鬼の舞と福男による「鬼は外」の豆まきが行われます。

②朝庭を荒らし回り、


 

 

③殿堂に上がりましたが、



④福男に 豆で「鬼は外」と 追い払われました