CAPA、米国-湾岸エアライン間の討論を主宰 =エミレーツ、エティハド、アメリカン、デルタ、フェデックス、パイロット、旅行業界  

当分析は、CAPAが4月20日に発表した 

 

CAPA hosts major US-Gulf airline debate; Emirates, Etihad, American, Delta, FedEx, pilots, tourism


をJAMRが翻訳したものです。


CAPAは米国と湾岸エアラインの対決する、最大、完全な、公開討論を主宰する=2時間を超える、主要関係社代表によるパネル討議で、42728日にラスベガスで開催される、「CAPA米州航空サミット」の一部として行われる、この討論は、経験豊かな米国の航空法律家である、ピルズベリーのケネス・P・クイン氏の熟達した司会により、2時間に亘って行われる。

 

エミレーツの社長兼CEOティム・クラーク卿、アメリカンのウィル・リース、デルタのベン・ハースト、フェデックスのラッシュ・オキーフ、エティハドのGCジム・キャラハン、USTACEOロジャー・ダウ、WTTCCEOデイビッド・スコウシル、そして前ALPA議長で、現在米国フェアスカイズ(公平な空)会長のリー・モークがこの討議に参加する。


アメリカンとデルタは、ユナイテッドと共に、エミレーツ、エティハドそしてカタールの湾岸エアラインが、不公平な補助金を受けて、オープンスカイ政策に基づいた乗り入れをして居るとして、これを規制するよう求めて一斉攻撃を開始した。全ての米国エアラインがこの攻撃を支持している訳では無い。米国政府のオープンスカイ政策に恩恵を受けて居る代表格で、世界最大のエアラインであるフェデックスは、この政策に立ち入った攻撃に反対して居る。エミレーツとエティハドは、同様に嫌疑に対し、論駁し、米国と世界の旅行業界組織は、消費者とビジネス需要のアクセスを改善する、湾岸エアラインの価値を支持して居る。

 

たっぷり2日間の会議の議題及びその他詳細については、「米国航空サミット2015年」を参照されたい。

 

2015428日 第1セッション

09:00-11:00:  「湾岸エアライン:米国のエアライン業界、及び消費者にとって、益となるのか?または、持続可能性にとって脅威となるのか?」

 

湾岸エアラインの長距離から長距離へ繋ぐ独特なビジネスモデルが、殊に欧州、アジアの確立されたエアラインにとって大きな変革を巻き起こして居る。大手の欧州のエアライン・グループは、特にルフトハンザが目立つが、声高に湾岸エアラインの拡大に反対して居る。一方で、IAGは今やワンワールドの盟友で、IAG10%の株主である、カタール航空に接近して居る。

 

アジアのエアラインは、第6の運送権にまつわる競争にはもっと慣れて居て、逆に反撃して居る。

米国では、3大エアラインが政府の保護を求めて居る事から、当局の最終的な裁定がどうなるかは不明だが、湾岸エアラインは、既に、国際線の旅客予測数を下げて居る。理想的、地理的な中心軸からは僅かに外れるが、ほぼ湾岸のエアラインであるターキッシュエアラインも、極めて成功して居る世界的なハブ・エアラインである事から、同様である。

 

北米エアラインへの脅威は、地理的な理由から、まだ比較的弱いが、それでも、消費者の利益にも関わらず、彼らに、更なる参入を許すべきでないと言う声高の反対論が業界から上がって居る。

これらの声には、過去30年以上に亘って米国政府が世界中に普及させた、オープンスカイ政策を、逆戻りさせるよう求める、世界最大のエアライン各社のCEO達の要求が含まれて居るのが目立つ。

 

一方、カナダは、湾岸エアラインの参入を制限するために、70年前にできた2国間通商協定の制限を使うことに逆戻りし、ラテンアメリカは徐々に、多くの定期便が参入するのを歓迎して居る。

 

n  湾岸エアラインが現行エアラインに与える脅威はどのくらい現実的なものか?

n  新規参入エアラインへの反対はどんな性質のものか?

n  湾岸エアラインの米国参入が消費者、空港、その他の業界にとって意味するものは?

n  湾岸エアラインと提携関係を結ぶ可能性はあるか?

  

 

モデレーター:ピルズベリー、共同創立者兼航空宇宙交通問題主席担当ケネス・P・クイン

パネリスト

Ø  アメリカン航空、上席副社長政府担当ウイル・リース

Ø  米国フェアスカイズ(公平な空)会長リーモーク

Ø  デルタ航空代表取締役副社長、法務担当役員ベン・ハースト

Ø  エミレーツ航空社長兼CEOティム・クラーク卿

Ø  エティハド航空法務顧問兼代表取締役副社長法務担当ジム・キャラハン

Ø  フェデックス上席副社長兼法務顧問ラッシュ・オキーフ

Ø  全米旅行産業協会会長兼CEOロジャーダウ

Ø  世界旅行観光協会会長兼CEOデイビッドスコウシル

 

 

彼らはこれまで何を言って来たか:

 

アメリカン航空上席副社長政府担当ウイル・リース

 

「これは実に厄介な問題だ。何故なら、我々は本能的に、常に市場は開放、政府の介入排除に向かって居るからだ。だから、この補助金の重大さを実際に見るまでは、それほど、この動きに与する気はなかった。」

「然し、この事実とデータを見てみると、それは圧倒的なものだった。そして、これと湾岸エアラインの拡大と大量の機材購入の動きを照らし合わせて見始めると、我々は、将来、あの時に何かしておけば良かったのにと過去を振り返る様な段階になる前に、この問題への取り組みに加わる必要があると言う結論になったのだ。」

「米国のエアラインを追い出すとなると、これは極めて反消費者的である。従って、短期的には非常に低い運賃から生まれる、ある程度のメリットは望ましいものだろうが、長い目で見ると、これは(消費者にとって)悲惨な事になって行く。」(ダラスモーニングニュース 201535日)

 

 

米国フェアースカイズ(公平な空)会長リー・モーク

 

「カタールとアラブ首長国連邦が自国のエアラインに政府資金から400億ドルもの補助金を与えて行っている事は最悪の略奪的保護主義である。彼らは自国のエアラインに補助金を与え、オープンスカイ

政策の基本理念を根底から覆す、反オープンスカイ主義者である。これら中東のエアラインは、政府からの補助金がなかったら、膨大な赤字を抱え、すでにこの業界に存在して居なかっただろう。証拠は明白である。事実は事実だ。米国政府はアクションを取らねばならない証拠を持って居る。今や、米国政府にとって、我々のオープンスカイに公平さを取り戻し、湾岸の補助金に終止符を打つべき時が来たのだ。」(ウイングズ・マガジン201532日)

 

デルタ航空代表取締役副社長、法務担当役員ベン・ハースト

 

「我々は、政府が証拠に基づいて、行動することを大いに期待する。米国エアラインの観点から見ると、我々は私企業とではなく、(外国の)政府と競争して居るのだ。」(アビトレーダー2015213日)

 

エミレーツ航空社長兼CEOティム・クラーク卿

 

「我々は、財政的な補助や、緊急融資援助を受けた事は全く無い。我々が受け取ったのは、1985年に起業時の資本金として1,000万ドル、2機のボーイング727と訓練ビルのためのインフラ投資として8,800万ドルの一時金だけだ。」(アビトレーダー、2015213日)

 

「彼らの主張は、全てたわごとばかりだ。我々は、ごく普通の競争相手であり、これを人々が評価して居り、今後もこの基本線に立つことを許されると確信して居る。そして我々に対する彼らの主張が誤っている事を証明する予定であり、その際には彼らの主唱者から何らかの謝罪をしてもらう積りだ。我々は、促進役であり、可能にする者であり、結びつける者だ。そして我々は間も無く過去30年間で最高の利益計上を報告しようとして居る。」(CNBC2015317日)

 

エティハド航空社長兼CEOジェームズ・ホーガン

 

「我々は、地理的な位置から恩恵を被って居るのだ。湾岸は今日の交易と旅行の路線の中心にある。これが湾岸3社が共有する利点である。今日の航空機技術と世界貿易の変貌するパターンは、多くの台頭する新規市場にとって、強力な位置にある事を意味して居る。

「我々は、自分たちには伝統的なシステムは無く、伝統的な航空機を持たず、伝統的な固定感念も持たない白紙の状態である事にも助けられて居る。そして、我々は唯一のハブから運航して居るのだ。」

「我々は常に、いわゆる透明性の欠如を批判されて居るが、新たに創立された、国を代表するエアラインがその初期段階で、我々ほど、オープンである例は殆ど見当たらない。」

「また、これも言わせてもらいたい。我々は公的な企業では無く、国際的財務報告基準を完全に順守して居る。当社はKPMGの監査を受け、105億ドルの融資をしてくれて居る76の金融機関に対して、完全な透明性を提示して居る。」(ワシントンでの講演、2015317日)

  

 

フェデックスCEOの米国国務、運輸、商務各長官に対する書簡 2015218

 

「最近、幾つかの旅客航空会社が、具体的には中東のエアラインに関するオープンスカイ政策に対する疑問を表明して居る。これらの米国旅客航空会社は、フェデックスほど、外国の地点間を広範囲にわたって飛んでは居ない。彼らは、米国市場に参入する外国のエアラインの数を制限すれば、リスクは小さくなると信じて居る。彼らの望みは、米国政府に、有能で、魅力的な新規参入者との競争から、自分たちを守ってもらう事だ。」

「フェデックスにとっては、中東のエアラインとのオープンスカイ協定は、大変貴重なものだ。UAEとの協定の下で我が社は、ドバイにハブを確立する事が出来たが、そこでは、米国の商品を地方市場に運ぶために、米国からのフェデックスの便がインドとアジアからの我が社の便と縦横に行き交って居る。このハブは同時に我が社のアフリカへの玄関口にもなって居る。現在フェデックスだけで、全ての米国旅客航空会社を合わせた数より、ほぼ2/3も多い便を中東に飛ばして居る。この協定を修正する事は、我が社の顧客に対して、これらの市場へのアクセスを封じ、ビジネスチャンスを終わらせる結果になりかねない。

 

全米旅行産業協会プレスリリース、201548

 

「全米3大エアラインは、自分たちの為に巨大な温室を作り上げて居り、また、自らの補助金に関する記憶を喪失して居る事が、オープンスカイ協定を破壊しようとする議論についての信憑性を失わせて居る。私は、この論争の背後の風景を完全に変えてしまう、枢要な一つの証拠(米国のエアラインは、1918年から1998年の間に、連邦政府から1,550億ドルの補助金を受け取っていた事)を発見したビジネストラベル連合の友人たちに全幅の信頼を置いて居る。この事実は、米国のエアラインのカルテルの恐ろしく大枚を投じたオープンスカイに対する攻撃が、補助金が問題だとして居るのは、全くの作り話である事を露呈してしまった。」

 

「この事実が、為政者や大衆に疑問を質す様に促して欲しいものだ:『よろしい、それでは、この協定をぶち壊そうとするキャンペーンの、本当の動機は一体何なのだ?』と。そしてその答えが、断然ありそうな以下の結論に至るのを食い止める何か別のものがあって欲しいものだ:即ち、『3大エアラインは競争が嫌いで、市場で対決する代わりに政治的にこれを根絶する極端な手段をとろうとして居るのだ。』」

「我々は、以前からオープンスカイ政策を中断するために補助金の議論をするのは無謀でないとしても説得力が無いと言う事を知って居たし、今や連邦議会調査部という中立な立場の情報筋から強力な証拠を手に入れた。」

 

「この事態の進展により、オープンスカイ政策を逆戻りさせる事が、米国の旅行者や経済の生産性、雇用の創出などに与える、議論の余地の無い弊害と共に、恣意的に協定を破棄しようとする全ての議論を終わらせるべきである。然し、3大エアラインは、固い決意と潤沢な資源がある事を示して居り、我々としては、彼らがこの議論を唱え続ける積もりなのを甘受し、彼らが次にどんな大嘘を持ち出して来るのかに興味を持って居る。」

 

  

世界旅行観光協会、旅行と観光が経済に与える影響2015

 

2014年、旅行と観光が、世界のGDPと雇用に与えた直接的貢献は、それぞれ、24,000億米ドル(2014年の価格で)1500万の雇用だった。これがより広く影響を与えた事を考慮すると、2014年の旅行と観光が世界経済に与えた貢献の総和は、76,000億米ドル(2014年の価格で)、これは、2014年の世界のGDP合計の9.8%に当たる。」

2015年、旅行と観光は、合計720万の新規雇用、そのうち210万が業界内の直接新規雇用となると予測して居る。これは、それぞれ2.6%2.0%の伸び率になる。」

 

「燃油価格が下がった事の効果は、燃油の純輸入国の経済を潤し、既にインフレが縮小し、実質可処分所得と消費者の購買力を引き上げて居る事から、感じられて居る。インドと英国の2015年のGDP

成長率予測値は引き上げられ、米国の経済も改善し、2015年のGDP成長率は3.3%と予測されて居る。一方、米国にとって、悪い傾向は経済的な力が、通貨米ドルの力にも反映され、円、ユーロやポンドなどの主要通貨との為替レートが値上がりすると予想される事だ。これにより、米国訪問客の消費(輸出)の伸びが鈍化し、米国人の外国旅行の消費の伸びが進み、メキシコ、カナダやその他主要な旅行目的地に恩恵を及ぼす事になるだろう。」

 

                                                              以上