第9回:  国内旅客の概観(7)~空港別にみた需要動向~

                                      2019年4月22日

 

(マラソン講座)データから読み解く航空事業 

(第9回; 2019年4月22日)

  

国内旅客の概観(7)~空港別に見た需要動向  

 

1.空港別にみた旅客数の変化(2017/2006対比)

 

   空港別に発着旅客数をみた(同一旅客を発地/着地でカウントするため総数は旅客数の2倍)。 

   データからは3つの特徴が見えてくる。 即ち、 

   

 

    20172006の旅客増は主に羽田/成田発着旅客増による。

 

      旅客数+519万人の意味; のべ旅客+1000万人増⇒実旅客は+500万人増、分かり易く考えれば、増えた実旅客+500万人は首都圏発着旅客増でもたらせたもの。

 

換言すれば、新千歳・福岡・那覇の増加客は羽成と結ぶ路線で発生した勘定になる。

 

    那覇の旅客数は+300万人増加。

 

・路線の入り組みはあるものの、上述500万人のうち6割は那覇線で生み出されたもの。

 

    需要増はLCCによって生み出された。

 

・LCCののべ旅客数は約2000万人、それ以外(既存社)は約▲1000万人。

 

・空港別の旅客増減をLCC/既存社別にみると、既存社は、那覇のみ旅客増だが、他の空港では軒並み旅客減。

 

    (空港別発着旅客数;20172006) 羽成発着旅客が+500万人   

  (空港別にみた発着旅客の20172006増減数) 既存社で増えているのは那覇だけ。

 

2.空港別内訳の詳細(2017/2006対比)

  

    その他空港の内訳をみると;

 

・北海道(新千歳以外)、東北・北陸では大幅な旅客減、この一部には新幹線の影響もある。

 

・ 四国、九州(福岡以外の空港)は、LCCで増えたものの、既存社は旅客減

 

・ 沖縄(那覇以外の空港)は増加傾向

 

・ 本州の空港(羽成、大阪、中部/名古屋を除く)も増加、これには新設空港の効果も。

 

 

   新幹線の影響、新設空港の効果;

 

・ 北陸新幹線の影響は大きく、ほかにも北海道新幹線(函館まで開通)、東北新幹線(青森まで延伸)、九州新幹線の影響もあげられる。

 

・ 茨城空港と静岡空港は需要掘り起こし効果があったと考えられるが、岩国空港は広島空港
 からの移転需要が多いようにみえる。

 

 仙台空港では、関西空港からのLCC効果が大きく、反面中部空港からの旅客は大幅減。

  

     (新幹線の影響)             (新空港等の効果)


    羽田、伊丹は小型化で旅客減;

 

・ 羽田と伊丹の旅客数は減少しているが、この間便数は増えており(羽田約+12%、伊丹約+7%)。機材が小型化したことをものがたっている。

 

・ また関西空港ではLCC旅客が増えたが、既存社の旅客は減少した。

  

  次回(第10回)の予定です。

 JAL/ANAの国内線事業構造(1 

ANAはJALの1.3

 

以上

 

海外事情

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)

海外事情12月9日号 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)