ANA/JAL 2018年度の決算について

 

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 ANA/JAL 2018年度の決算について 

 

この度発表されたANAJAL2018年度連結決算を簡単に比較・概観しました。 

 

    売上高と営業利益; 営業利益は1700億円規模でほぼ並ぶ
両社ともに増収(特に国際旅客)で、燃油費などの費用増をカバーして前年並みの

 

営業利益を確保した。 利益額ではほぼ並んでいる(1700億円規模)。

 

ANAの収入規模は約2兆円強で、JAL1.5兆円)の1.38倍。

 

但し前年に対する増収幅は近年になくJALANAを上回った。 

 

なお国際旅客の増収には燃油価格上昇に伴う燃油サーチャージ収入増(300億円規模)も含まれている。

 

またJALは今期国際線←→国内線乗り継ぎチケットの際内按分法を変更(国内収入減、国際収入増)したが、これを勘案すると国内旅客収入は実質160億円程度の増加と考えられる。 

 

② 当期利益(親会社株主帰属分); 税額および税調整額の違いにより、ANA1100億円、JAL1500億円と差が出ている。 

 

③ 2019年度見通し; 増収幅はANA、営業利益/当期利益ともにほぼ並ぶ 

ANAは売上高は約1000億円増収の2.15兆円(ハワイ線超大型機投入等)で、今年度並みの営業利益1650億円を見込む。

 

JALは約800億円増収の約1.56兆円の売上高で、1700億円の営業利益を見込む。
最終利益は両社ともに1100億円規模。
 

 

《図表1》 連結損益計算書の概要比較

  

    収入内容の比較; ANAは貨物専用便、LCC、非航空系でもJALを上回る 

ANAの収入はJAL5700億円(1.38倍)上回っている。

 

国内旅客で約1700億円(1.32倍)、国際旅客1200億円(1.23倍)のほか、
貨物専用便や傘下LCCJALにはなく、非航空系収入(他社の地上業務受託や旅行、商社事業等)もANA1100億円上回っている。
 

 

《図表2》 収入内容の比較

  

   国内旅客、国際旅客にかかわる指標の比較 

    国内、国際ともにANAが規模で圧倒も、JALは対前年増加幅で上回った

 

(国内旅客) ・ANAの収入はJAL1.32倍、旅客数は1.27倍(JALは離島ローカル等短距離路線.が多い)。

 

ANAは小型化による供給調整で搭乗率大きくUPJALは小幅供給増。

 

JALの増収幅は収入計上基準変更を加味すれば実質160億円超。

 

    ・搭乗率レベルはJAL72.5%でANAを上回る。(機材の大きさや、機内仕様の戦略差も関係していると考えられる) 

 

(国際旅客) ANAの収入はJAL1.23倍、旅客数は1.11倍(収入と旅客数の倍率差は路線構成にもよると考えられる)。


JALは対前年での供給増率でANAを上回り、増収規模でも上回った。

 

  増収額の約半分は燃油サーチャージのUpによるもので、収入単価の上昇もこれに
よるところが大きい。(JALは収入基準変更差=約1%も加わる。)

 

・搭乗率のレベルはJALの方が高い(ANA77JAL81%)が、ANAも向上。

 

・旅客単価はANAJALより高いが、路線構成の差(ANAは高単価の中国線が多く、JALは低単価のリゾート線が多い)もあり、詳しい理由はわからない。 

 

《図表3》 旅客にかかわる指標の比較

 

  国際線の路線別収入(推定)の比較; 
ANAはリゾート路線のみJALを下回る →A380投入でどう変わる?

 

国際旅客収入の路線別内訳(推定額)は以下のとおり。
(両社の路線区分が必ずしも一致していなくとも、大きな傾向は正しいと考えている。)

 

   ハワイを中心としたリゾート路線のみJALが上回っているが、米大陸路線、欧州線、 

中国線でANAが大きく上回っている。

 

ANAは間もなくハワイ線に超大型のA380を投入するので、その結果が注目される。 

 

《図表4》 国際線の路線別収入(推定額)の比較

 

    ⑦  航空機材(期末)の比較; 大型機材のANA、小型機材のJAL 

・ ANAグループ(含LCC304機は、JAL235機を69機上回る。

 

      特に「大中型機」(広胴双通路で概ね200席以上)で大きな差がある。

 

      JAL100席未満のリージョナル機を32機保有している。

 

     (ANAにはリージョナル機がない; 提携のIBEXでカバーしている。)

 

      プロペラ機はほぼ同規模である。

 

・ ANA2018年度に新鋭小型長胴のA321neoを増機(+9機)し、中型のB767を退役(▲5機)させている。 国内線の小型化&効率UPや小型機による中距離国際線への進出の一環と思われる。

 

一方JALは国際線用のB787-9型を増機(+6機)している。 

  

 

《図表5》 航空機材の比較

   

  ⑧  ANAのLCC; Peachの規模拡大

 

      収入規模は前期比+69億円(+7%)増の936億円。

 

      旅客数は前期比+36万人(+5%)増の815万人で搭乗率は86%。 

 

《図表6》 ANA LCCの実績

 

   財務状況の比較;  

(両社の差) 主に「航空機+現預金」 ←「有利子負債+留保利益」 から発生

 

・ 総資産; ANAが2.69兆円で、JALの2.03兆円より6600億円多い。

 

     航空機(機材前払金等の建設仮勘定を含む)はANAが1.35兆円とJALの8800

 

円を大きく上回り、その他の資産でも4100億円多い。

 

逆に現預金はJALが2300億円多い。

 

・ 負債; ANA1.58兆円に対してJALは8300億円とほぼ半分。

 

有利子負債(ANA7700億円/JAL1400億円)の差が大きい。

 

・ 純資産; JALが留保利益の規模で上回り、ANAは株主出資の資本金と資本剰余金が多い。 2019年度はともに留保利益が同程度増える見込み。

 

     なおJALは当期に200億円規模の自己株式を消却している。

 

     (その他) 株価時価総額; 両社が決算公表した4月26日時点での株価時価総額
はともに1.3兆円で横並び状態である。
 

 

《図表7》 財務状況の比較

 

 以上

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)