ANA/JAL 2018年度の決算について

 

2019429

 

 ANA/JAL 2018年度の決算について 

 

この度発表されたANAJAL2018年度連結決算を簡単に比較・概観しました。 

 

    売上高と営業利益; 営業利益は1700億円規模でほぼ並ぶ
両社ともに増収(特に国際旅客)で、燃油費などの費用増をカバーして前年並みの

 

営業利益を確保した。 利益額ではほぼ並んでいる(1700億円規模)。

 

ANAの収入規模は約2兆円強で、JAL1.5兆円)の1.38倍。

 

但し前年に対する増収幅は近年になくJALANAを上回った。 

 

なお国際旅客の増収には燃油価格上昇に伴う燃油サーチャージ収入増(300億円規模)も含まれている。

 

またJALは今期国際線←→国内線乗り継ぎチケットの際内按分法を変更(国内収入減、国際収入増)したが、これを勘案すると国内旅客収入は実質160億円程度の増加と考えられる。 

 

② 当期利益(親会社株主帰属分); 税額および税調整額の違いにより、ANA1100億円、JAL1500億円と差が出ている。 

 

③ 2019年度見通し; 増収幅はANA、営業利益/当期利益ともにほぼ並ぶ 

ANAは売上高は約1000億円増収の2.15兆円(ハワイ線超大型機投入等)で、今年度並みの営業利益1650億円を見込む。

 

JALは約800億円増収の約1.56兆円の売上高で、1700億円の営業利益を見込む。
最終利益は両社ともに1100億円規模。
 

 

《図表1》 連結損益計算書の概要比較

  

    収入内容の比較; ANAは貨物専用便、LCC、非航空系でもJALを上回る 

ANAの収入はJAL5700億円(1.38倍)上回っている。

 

国内旅客で約1700億円(1.32倍)、国際旅客1200億円(1.23倍)のほか、
貨物専用便や傘下LCCJALにはなく、非航空系収入(他社の地上業務受託や旅行、商社事業等)もANA1100億円上回っている。
 

 

《図表2》 収入内容の比較

  

   国内旅客、国際旅客にかかわる指標の比較 

    国内、国際ともにANAが規模で圧倒も、JALは対前年増加幅で上回った

 

(国内旅客) ・ANAの収入はJAL1.32倍、旅客数は1.27倍(JALは離島ローカル等短距離路線.が多い)。

 

ANAは小型化による供給調整で搭乗率大きくUPJALは小幅供給増。

 

JALの増収幅は収入計上基準変更を加味すれば実質160億円超。

 

    ・搭乗率レベルはJAL72.5%でANAを上回る。(機材の大きさや、機内仕様の戦略差も関係していると考えられる) 

 

(国際旅客) ANAの収入はJAL1.23倍、旅客数は1.11倍(収入と旅客数の倍率差は路線構成にもよると考えられる)。


JALは対前年での供給増率でANAを上回り、増収規模でも上回った。

 

  増収額の約半分は燃油サーチャージのUpによるもので、収入単価の上昇もこれに
よるところが大きい。(JALは収入基準変更差=約1%も加わる。)

 

・搭乗率のレベルはJALの方が高い(ANA77JAL81%)が、ANAも向上。

 

・旅客単価はANAJALより高いが、路線構成の差(ANAは高単価の中国線が多く、JALは低単価のリゾート線が多い)もあり、詳しい理由はわからない。 

 

《図表3》 旅客にかかわる指標の比較

 

  国際線の路線別収入(推定)の比較; 
ANAはリゾート路線のみJALを下回る →A380投入でどう変わる?

 

国際旅客収入の路線別内訳(推定額)は以下のとおり。
(両社の路線区分が必ずしも一致していなくとも、大きな傾向は正しいと考えている。)

 

   ハワイを中心としたリゾート路線のみJALが上回っているが、米大陸路線、欧州線、 

中国線でANAが大きく上回っている。

 

ANAは間もなくハワイ線に超大型のA380を投入するので、その結果が注目される。 

 

《図表4》 国際線の路線別収入(推定額)の比較

 

    ⑦  航空機材(期末)の比較; 大型機材のANA、小型機材のJAL 

・ ANAグループ(含LCC304機は、JAL235機を69機上回る。

 

      特に「大中型機」(広胴双通路で概ね200席以上)で大きな差がある。

 

      JAL100席未満のリージョナル機を32機保有している。

 

     (ANAにはリージョナル機がない; 提携のIBEXでカバーしている。)

 

      プロペラ機はほぼ同規模である。

 

・ ANA2018年度に新鋭小型長胴のA321neoを増機(+9機)し、中型のB767を退役(▲5機)させている。 国内線の小型化&効率UPや小型機による中距離国際線への進出の一環と思われる。

 

一方JALは国際線用のB787-9型を増機(+6機)している。 

  

 

《図表5》 航空機材の比較

   

  ⑧  ANAのLCC; Peachの規模拡大

 

      収入規模は前期比+69億円(+7%)増の936億円。

 

      旅客数は前期比+36万人(+5%)増の815万人で搭乗率は86%。 

 

《図表6》 ANA LCCの実績

 

   財務状況の比較;  

(両社の差) 主に「航空機+現預金」 ←「有利子負債+留保利益」 から発生

 

・ 総資産; ANAが2.69兆円で、JALの2.03兆円より6600億円多い。

 

     航空機(機材前払金等の建設仮勘定を含む)はANAが1.35兆円とJALの8800

 

円を大きく上回り、その他の資産でも4100億円多い。

 

逆に現預金はJALが2300億円多い。

 

・ 負債; ANA1.58兆円に対してJALは8300億円とほぼ半分。

 

有利子負債(ANA7700億円/JAL1400億円)の差が大きい。

 

・ 純資産; JALが留保利益の規模で上回り、ANAは株主出資の資本金と資本剰余金が多い。 2019年度はともに留保利益が同程度増える見込み。

 

     なおJALは当期に200億円規模の自己株式を消却している。

 

     (その他) 株価時価総額; 両社が決算公表した4月26日時点での株価時価総額
はともに1.3兆円で横並び状態である。
 

 

《図表7》 財務状況の比較

 

 以上

海外事情

 

84~16日の主要ニュース19本のうち、いつもはPhocusWire Dailyにはほとんど表れない法人旅行に関する記事が7本(目次の下線箇所)もあった。取扱高ベースで米国市場のおよそ3割が法人旅行市場にあたり、そしてそれに加えておよそ2割程度のunmanaged business 旅行市場が存在すると言われている。つまり米旅行市場のほぼ半分あるいはそれ以上が、法人旅行で構成されていることになる。それだけ大きな市場にもかかわらず、業界ニュースが少ないのに驚かされる。(尤もこれにはPhocuswrightの親会社であるNorthstar Travel Mediaが、法人旅行市場専門誌であるBTN=Business Travel Newsを編集していることも影響している。)

 

7本の記事を読むと、この市場のセルフ予約ツールの使い勝手が極めて劣悪で、法人旅行管理会社(TMC)のサービスに対しても出張者の不満が多く、その上企業の出張規定のかなり厳しい遵守の要求のために、出張者のモラルと生産性の低下が発生している可能性がある、という何やら暗い話が連続する。要するに観光旅行市場の方が法人旅行市場よりも、旅行の計画や手配のプロセスで、テックを含めてずーっと先進洗練先行しているというのだ。

 

しかし、最近になって、この遅れた法人旅行市場に目をつけた新規参入者たちが参入しつつある。そして彼らは、企業のコスト削減最優先に変えて出張者ファースト、出張者セントリックの戦略を敷いている・・・というようなことが、これらの記事に書かれている。観光旅行のベストプラクティスを法人旅行が真似ようとしている。これはFSCLCCを真似て、FSCLCCの境界線がぼやけ始めている話と似ている。出張先で仕事の前後に休暇旅行までしてしまうブレイジャーの拡大も、法人旅行のセルフインベンションの一つのきっかけとなっているのだろうか。

 

11. OTA4つの神話」は、“高い手数料をふんだくっている悪者OTA”の評判(風評?)に対するOTA の恨み節が書いてあって面白い。(編集人)

 

 

海外事情 916日号B 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人)