米国エアラインに簡単な答えは無い、従業員一時帰休が大きく忍び寄る中で

当分析はCAPAが2020年9月29日に発表した 

 

 No easy answers for US airlines as staff furloughs loom large

 

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

2020年10月5日

米国エアラインに簡単な答えは無い、従業員一時帰休が大きく忍び寄る中で

29-Sep-2020

 

2020年10月1日、業界の大量の一時帰休を避けるため、米国のエアラインと労働者グループは、給料支援の延長を求めて強力なロビー活動を行って居るが、この国の議会がより多くの資金のために必要な法案を、実際に通す可能性は急速に消えようとして居る。

支援の延長には、避けられない事態を遅らせる、対、この国の経済に更なる足手まといを創り出す、米国の雇用人口の数を膨らませる事になる、と言う、賛成、反対両方の議論がある。

然し、給料支援の追加への賛成反対の論争は、議会が動かない事で、議論が無意味になり、間も無く終わりを告げるだろう。

そして、給料支援の追加について、例えエアラインが更に時間を稼ぐ事が出来たとしても、この資金提供案の期限が切れる2021年3月に、この業界がどんな事になって居るか誰も予言できないだろう。

 

概要

      僅かに前向きの傾向がいくつか出て来たとしても、米国エアラインの供給席数は、依然として旅客数を上回って居る。

      米国エアラインは給与支援の延長の最終段階での要請を続けて居るが、米国議会が協力して、追加資金の法案を可決する見通しは暗い模様だ。

      支援で時間を稼げるかも知れないとしても、現実はエアラインに、いつ需要が戻るかの確証は無く、追加資金の提供は、単に来るべき結末を後伸ばしして居るだけだと言う議論がある。 

エアラインがCOVID-19に立ち向かう中で、米国では供給席数は依然として旅客数を上回って居る

2020年4月、米国政府から、米国のエアラインが受け取った250億ドルは、COVID-19の急速な蔓延により、需要が干上がり、都市封鎖や、これに続く国境閉鎖の為に、業界が急遽事業縮小を余儀なくされたため、雇用を維持するのに役立った。

ウイルスは今、欧州で再び広がりつつあり、米国の感染者数は再び上昇して居る。2020年5月から2020年7月の、米国需要が底を離れる動きは、米国での感染が突然増加したため、短命に終わって居る。

現実問題としてCOVID-19危機は、優に2021年へとずれ込むだろうと思われるようになって来た中で、信頼できるワクチンが広範に手に入る様になるまで、需要は、完全には回復しないだろうと言う社会一般の一致する認識となりつつある。IATAは現在、出発前の旅客に対する、迅速なテストの実施を要請して居るが、短期間に各国政府が団結してテストの方針を確立する事には大きな障害があるだろう。

一方で、幾つかの米国のエアラインが、レジャー予約に僅かながら前向きのトレンドを公表して居るが、米国の業界団体エアラインズ・フォー・アメリカ(A4A)のデータに依れば、現実には供給カットが依然として、厳しい旅客数の減少に等しくはなって居ない。

米国のエアライン供給カットと旅客数減少。2020年1月7日~2020年9月下旬

米国のエアラインの供給カットは、厳しい需要減に追いついて居ない
(7日間ローリング対前年同期比(%)総需要(Traffic:RPM)と総供給(Capacity:ASM))

Source: Airlines For America.

CAPAの保有機群データベースは、米国では2,794機の航空機が依然として停止して居り、向こう数年間に、意味のある数が稼働再開に戻る事は無さそうである。

 

米国の保有機群概要:20209月下旬現在

(In service:就航中、Inactive:停止中、On order:発注済)

Source: CAPA Fleet Database.

 

エアラインの一時帰休について、どの説を取るか決めるのは難しい

回復の予想は、益々暗澹として来て居る中で、米国のエアライン経営者と労働組合は共同で、数千人の従業員の強制一時帰休を回避するため、給与支援プログラムを20213月まで延伸するよう、議会に対してロビー活動をして居る。

この延伸に反対する一つの議論としては、米国のエアライン業界は、向こう何年もの間、規模を可なり縮小せざるを得ず、エアラインは基本的に人員過剰になるだろうと言うものがある。

然し、アメリカン航空のCEOダグ・パーカーは、最近MSNBCに語って、支援はこれらの従業員が失業者リストに入る事を防ぎ、各種福利厚生の恩恵を維持する事を可能にすると言って居る。

確かに、失業保険を求める米国人の数は歴史的な多さになって居る。

2020914日の週には、824,000人以上が失業保険の給付を申請して居る。この国の失業率は8%以上になって居り、数千人のエアライン従業員が突然レイオフされた場合、間違いなく上昇する事になるだろう。70,000人以上の従業員が一時帰休の通知を受け取って居り、実際に一時帰休となる人数はこれより少なくなるだろうが、それでも可なりの数である。

これらの一時帰休は、また、米国の経済にも、消費者支出などの主要な指標で、波及効果を及ぼす可能性がある。

また、これらの一時帰休労働者が再呼び出しとなった場合には、乗務員訓練の費用も掛る。MSNBCに対するコメントの中で、パーカー氏は、ひとたび完全復活が始まった場合、これらの一時帰休労働者を訓練に呼び戻すことは容易では無いと語って居る。

従って、米国の納税者のお金を使う最善の方法は何か、板挟みとなるのは、更なる経済的な落ち込みを避ける事が出来るかも知れない、給与支援の延長か、或は40,000人に上る、エアラインの一時帰休労働者への失業保険の支払いかである。

今後可なりの期間、規模が縮小される業界にとって、時間切れが近づく

米国のエアライン業界が、給与支援の延長で、更にギアを上げた議会へのロビー活動を展開しても、議員たちは、進行中のより大きな政治的な問題に悩まされて居る。

米国議会は、この国のより広範なCOVID-19支援策に行き詰まったままだ。2人の議員が別々に単一のエアライン支援の法案を上程して居るが、この夫々の法案が、2020101日の期限切れ前に、法案通過に至る程の牽引力が無いかも知れない。

コーエン&CO.のアナリスト ヘレン・ベッカーが指摘する様に、幾つかのエアラインは、ある種の支援合意が実現する希望のもと、一時帰休の期日を先送りする事を労働組合と合意して居る。ユナイテッドはパイロットと、現在の階級を超えた縮減スケジュールを延長する代わりに、20216月までレイオフを回避すると言う合意に達して居る。

「然し最終的には、旅客数が戻るまで、保有機群と人員の削減は、多分必要だろう。」とベッカー女史は語った。

今や、益々、旅客数は2024年まで、2019年水準に戻らないだろうと言う、一般的認識が広がって居て、これは、エアラインは今から相当期間、可なり規模が縮小される可能性があることを意味して居る。

もし広く普及したテストや、接触の追跡対策がもっと迅速に開始されれば、そして旅行者が新たな現実に順応し、航空旅行の作法を受け入れるなら、鬱積需要の幾らかは解き放たれ、予測可能な将来に、事態は大きく変わるだろう。

然し、これらは皆、大きな「もし、そうだったら」ばかりで、新たな資金援助がもたらすだろう、息継ぎの間があったとしても、現実には、これから暫くの間、世界のエアラインは、未だ前例の無い領域を漕ぎ進む事になるのだろう。

業界はひっくり返され、迫り来る米国の一時帰休の期限は非現実的だ

COVID-19が予測可能な将来に亘り、現実のものとして居座り続け、世界中のエアラインが自社の事業の適正な規模を決めようとして居る中で、簡単な答えは全く無い。

米国に於いては、不幸な審判の日が近づいて居り、半年前には誰しもこの劇的な大変動が起ころうとは予想だにできなかったのだから、痛みは遠く広く感じられる事になるだろう。

 

 

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以上

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