航空機に関する技術トピックス                                                   (1)777Xの折り畳み翼がFAAの認可を受けた

                                       2018621

 

航空経営研究所 主席研究員 稲垣 秀夫

          

 

(1)777Xの折り畳み翼がFAAの認可を受けた 

ボーイング社は現在製造中の777型機の後継機種として2020年を目標に777X型機を開発しています。これまでと同じ777というコードを使っていますが、翼はカーボン製、胴体はアルミ製の新設計の機体であり、エンジンも新たに開発中のものを採用しており、777在来型と同じ長距離機マーケットにおける新設計の後継機ということができます。最近の報道の一つに777Xの折り畳み翼のデザインがFAAの認可を得たというものがありました。民間機では初めての試みですのでこれは目を引きます。

下記のアドレスにアクセスしますとボーイング社が公表している動画を見ることができます。これを見ますと、昔の艦載機(軍用)の折り畳み翼のように翼が根元の方で大胆に折れるというわけではなく、翼端で少し折れ曲がります。

 

 とはいえ、翼幅(左翼端から右翼端までの直線長さ)は折りたたまれた状態で64.8m、伸ばした状態で71.8mあり、その差は7mです。片翼で3.5m違いますから、折れ曲がり部の翼は間近に見るとけっこう大きなもののようです。

 

この設計を採用した目的は、燃費の向上をはかることにあります。翼の縦横比(翼幅[]÷平均翼弦長[])を専門用語でアスペクト比と言いますが、この比率を大きくすれば機体の抵抗は少なくなり、燃料消費も少なくなるという原理です。翼幅を伸ばしていくことで抵抗は確実に減少するのですが、現状では翼幅が65mを超えてしまうと乗り入れ空港や利用駐機場が超大型機A380のように大幅に制限されてしまいます。表は空港建設用に準備された様々な機体サイズ向けの駐機場を作るための規格を整理した表ですが、大型機も乗り入れる空港では航空機コード「C」と「E」が主流となっています。

 

このため777Xは駐機場では翼幅を65m以内に、飛行中は65mの制約にとらわれないという工夫です。米国航空局は設計認可にあたっていくつかの制約を設けたと言われています。ヒンジ部分から外側は燃料タンクを設けない。万が一にも飛行中に翼が折れ曲がることのないよう、翼を伸ばした時のヒンジ部の固定はかんぬき構造を2重にする(ラッチ&ロック構造)などの条件がつけられたそうです。

この設計を採用するとこれまでの設計よりも機体重量が増加します。重量増加による燃費悪化と翼幅増による燃費改善効果を天秤にかけてそのプラス部分を享受することになります。777X型機で燃費改善効果が顕著であれば、ボーイング社において今後開発が始まると思われる、797型機といわれている新中型機や737後継機においても、この折り畳み翼のデザインが採用される可能性があります。

以  上 

 

海外事情

 

84~16日の主要ニュース19本のうち、いつもはPhocusWire Dailyにはほとんど表れない法人旅行に関する記事が7本(目次の下線箇所)もあった。取扱高ベースで米国市場のおよそ3割が法人旅行市場にあたり、そしてそれに加えておよそ2割程度のunmanaged business 旅行市場が存在すると言われている。つまり米旅行市場のほぼ半分あるいはそれ以上が、法人旅行で構成されていることになる。それだけ大きな市場にもかかわらず、業界ニュースが少ないのに驚かされる。(尤もこれにはPhocuswrightの親会社であるNorthstar Travel Mediaが、法人旅行市場専門誌であるBTN=Business Travel Newsを編集していることも影響している。)

 

7本の記事を読むと、この市場のセルフ予約ツールの使い勝手が極めて劣悪で、法人旅行管理会社(TMC)のサービスに対しても出張者の不満が多く、その上企業の出張規定のかなり厳しい遵守の要求のために、出張者のモラルと生産性の低下が発生している可能性がある、という何やら暗い話が連続する。要するに観光旅行市場の方が法人旅行市場よりも、旅行の計画や手配のプロセスで、テックを含めてずーっと先進洗練先行しているというのだ。

 

しかし、最近になって、この遅れた法人旅行市場に目をつけた新規参入者たちが参入しつつある。そして彼らは、企業のコスト削減最優先に変えて出張者ファースト、出張者セントリックの戦略を敷いている・・・というようなことが、これらの記事に書かれている。観光旅行のベストプラクティスを法人旅行が真似ようとしている。これはFSCLCCを真似て、FSCLCCの境界線がぼやけ始めている話と似ている。出張先で仕事の前後に休暇旅行までしてしまうブレイジャーの拡大も、法人旅行のセルフインベンションの一つのきっかけとなっているのだろうか。

 

11. OTA4つの神話」は、“高い手数料をふんだくっている悪者OTA”の評判(風評?)に対するOTA の恨み節が書いてあって面白い。(編集人)

 

 

海外事情 916日号B 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人)