CAPA分析:NEW HEADLINES  3月ー2020年

CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のピックスは

今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。

 

毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。  

3月30日掲載

 

Premium Analysis 

COVID-19:ブラジル、航空危機と戦う独自の道を描く

 

29-Mar-2020

 

ラテンアメリカ最大の市場である、ブラジルは、国内線の運航を完全に停止すると言う、この地域のいくつかの政府の先導には追従しない選択をしようとして居る。

 

その代わり、ブラジルは国内線便のほんの最小限の部分を提供し、ラテンアメリカで、エアラインにある種、直接の支援を提供する数少ない政府として名乗りを上げて居る。

 

ブラジルの国内空域は開かれたままではあるものの、同国での供給カットは、アズールとGOLがその供給の90%以上を切って居り、際立って居る。

 

世界の航空業界が通常の姿に戻るのがいつになるかを予言する方法は無いが、アズールは、COVID-19は2〜3ヶ月の問題だろうと言う、現在のシナリオのもと、2020年7月にはフルスケジュールに近付くとする楽観的な見方を維持して居る。

 

COVID-19危機が収束した後のラテン・エアライン各社の生存可能性には、いくつか悲惨な予測が為されて居るが、今の時点で、ブラジルの主要エアラインはパンデミックからの死の灰を耐え抜く良好な位置に居る。然し、ウイルスの蔓延から齎された、極端に流動的な状況があって、これは急激に変わる可能性がある。

 

 

COVID-19: Brazil charts its own course to combat aviation crisis

 

Premium Analysis 

 

COVID-19:空港投資、もはやリスク無しではない

 

28-Mar-2020

 

「娘さんを役者にしてはいけません、ワージントン夫人。」はノエル・カワードの1935年の曲にある忠告である。「あの仕事は余りに混み合って居り、戦いは相当厳しい」。戦いは続き、それは未だに真実である。

 

目下、その舞台は無い。

 

この忠告は、「あなたの娘に空港会社の株式を買わせてはいけません。」と容易に言い換えられる、何故なら、その株式は、長寿と生存能力について、いつも高く評価されて居たのに、2020年(まだたった3か月しか過ぎて居ないにも拘らず、Sars-CoV-2<学術的にはそう知られて居る:COVID-19がSars-CoV-2ウイルスに対する医学的な症状で、エイズがHIVに対するのと同じ>のお陰で、誰もが忘れてしまいたい年だが)には、空港の株式は暴落し、以前なされた何者とも似つかぬ全く別の話となって居るからだ。

 

また、この戦いはここでも非常に厳しいものであるが、空は過密とはほど遠い状況である。それでも、幾つかのおぼろげな光明がトンネルの出口に見える。

 

COVID-19: Airport investments no longer so risk free

Premium Analysis 

 

欧州エアラインのRPKが史上最悪に達する。生存可能性は数か月の問題

 

26-Mar-2020

 

IHSマーケットの発行する「購買マネージャーの指標」は、ビジネスの信頼性の指標として広く使われて居るのだが、2020年3月に記録的な低い値に至った。この値は、ユーロ圏と英国の双方で、歴史的に航空需要の伸びや下落についての信頼できる主導的指標であった事から、欧州航空業界に対するCOVID-19の大規模な衝撃を示す、もう一つのサインである。

 

一方で、IATAは2020年の世界のエアライン旅客収入へのコロナウイルスのマイナスの影響予測について、1,130億米ドルから2,520億米ドル(先に予測した総収入の30%)へと倍以上、増やして居る。

 

この影響は、アジア太平洋と欧州のエアラインが最も感ずるもので、一方欧州は最大の割合でRPKの落ち込みを被りそうである。エアラインは航空機を地上に留める事で、変動するコストを削減すると共に、最大のコストである人件費を低減させるために自から出来る事を実施しようとして居る。

 

それにも関わらず、2020年に世界のエアライン業界の損失は今や避けようが無い様に見える。

 

まず第一に、典型的欧州エアラインの流動性は、収入の2か月分である(他の地域のそれと類似して居る)。

 

より堅強なエアラインが幾つかあるが、コストを緩和する対策をした後でも、需要がゼロの環境下では、殆どの生存可能限度は、せいぜい数か月である。 

 

COVID-19: European airline RPKs worst hit. Survival gauged in months

Premium Analysis 

 

COVID-19:ラテンのエアライン各社に時間切れが迫る

 

26-Mar-2020

 

急速に蔓延するCOVID-19に端を発する、世界中のエアラインの収入が急落すると言う予測が強まり続けて居て、世界のどの地域もこの惨状を避けられないだろう。

 

IATAの最新のデータは、ラテンアメリカが、2020年、欧州に次いで、最も厳しい需要の落ち込みの一つを経験する事を示して居る。ラテンアメリカ各国がCOVID-19の蔓延に対抗するため国境を閉鎖し、この地域の多くのエアラインが運航を完全に中止して居る。

 

ラテンアメリカのエアラインは、COVID-19危機をそれぞれ異なる水準の力で乗り切ろうとして居る。

 

この地域最大の運航会社の一つであり、コロンビアのフラッグ・エアラインであるアビアンカは、その負債と航空機の発注リストの大規模なリストラを完了したばかリで、ユニークな状況にある。

 

然し、同エアラインは引き続きラテンアメリカで最も大きな負債を抱えたエアラインの一つであり、それはアヴィアンカがCOVID-19パンデミックの続く最中に、その流動性を維持拡大しようと努力する中で、問題を生み出す可能性がある。

 

アビアンカは今や、全ての商業旅客飛行を停止して居り、飛行機を地上に止め置く事が収入に与える打撃は甚大だろう。現時点でラテンアメリカの各国政府は危機の間のエアラインへの支援提供について緩慢な対応しかして居らず、この地域の主要エアライン協会は、幾つかの運航会社は、政府の支援抜きでは生存の可能性はわずかしかないと警告して居る。

 

COVID-19: time is running out for distressed Latin airlines

Premium Analysis 

 

COVID-19:空港投資家達に財政援助?中国だけが拡大を計画

 

26-Mar-2020

 

その多くは現在のCOVID-19コロナウイルス・パンデミックによる、エアライン分野への壊滅的な衝撃の所為ではあるが、勿論空港も痛手を受けて居て、空港に投資する組織は彼らの戦略を再評価しなくてはならない。コロナウイルスの全世界における無慈悲な展開は、2020年以降の、世界の航空交通と観光産業に脅威を与えて居る。

 

この産業の仕組みとインフラが、例え正常に戻っても、企業はこの規模の災害から容易に立ち戻れない。

 

殆どの国々に於いて、大半の空港は、未だに公営(中央、地方、または地元の政府)である;その他は、民間の分野が運営して居る。これら民間の分野の投資家たちはこのビジネスに参入したのは、例えば年金基金の安全な波止場であり、恐らく見返りは比較的に低いけれど、寿命は長いと証明されて居るからだ。

 

今や、空港はエアラインと同様に、厳しいキャッシュフローの問題に、未だだとすれば、これから急速にぶち当たるだろう。幾つかの空港開発計画は、これまで既に、余りにも多くの時間とエネルギーが投資されて居て、そうしない訳に行かない為に継続され、その他は必然的に多分数か月では無く、何年も遅れる事になるだろう。これは潜在的な投資家たちにとっては、まず魅力的な見通しでは無いだろう。

 

幾らかの、多分多くの人々にとって、空港への投資は、2020年1月までそうであった様な、長期に亘るドル箱の様なものでは無くなるだろう。

 

COVID-19: Bailouts for Airport investors? Only China plans expansion

 

COVID-19と欧州エアライン:供給ゼロが現実に

 

24-Mar-2020

 

ライアンエアのCEO マイケル・オリアリーは、彼のエアラインについての優先順位(それは今や全エアラインに言える事なのだが)を端的に言い表わして居る:キャッシュを保持することだ。

 

「もし我々が全く便を飛ばさずに、全く収入が無いとして、3、6、9か月、12か月でも、一体どうやって生き残って行けるだろう?」と彼は語って居る(2020年3月21日、フィナンシャルタイムズ/ロイター)

 

エアラインにとって、キャッシュを守る為に自ら採る事の出来る、主要な手段は供給を大胆に削減する事だ。

 

欧州の供給席数は、2020年3月23日からの週で、CAPA保有機群データベースの座席仕様と組み合わせた、最新のOAGのスケジュールデータベースに依れば、対前年で59.1%下落して居る。国内線供給席数は、48.3%落ちて、ほぼ半分となり、国際線供給は62.9%削られて居る。

 

イタリアは最大の削減率、対前年で87.5%減少で、一方フィンランド、スペイン、ドイツ、デンマーク、ギリシャとベルギーもまた、供給を70%以上も縮小して居る。欧州のトップ20エアライングループの中で、18社が削減を行い。殆どが極めて大規模である。

 

然し、幾つかのエアラインのデータは、幾つかの最新の発表が、未だフルに詳細まで反映されて居ない様である。削減の率は間違いなく増大する。ある時点で、欧州航空業界に供給ゼロが現実のものとなる可能性さえある。

 

COVID-19 and European airlines: zero capacity becomes a reality

 

ブリストル空港(英国):2度目の拡張計画中断 

 

23-Mar-2020

 

2019年の一年間、非常に大きな焦点は、「気候変動」への対応の一部としての空港拡張への環境問題からの反対であり、また環境問題を代弁する人々への、航空輸送業界の、結束した対応の緩慢さにある。今年のほんの数週間の短い間に、COVID-19コロナウイルスを回避する事に優先順位が移って、ゲーム全体がすっかり変わってしまった。

 

然し、旅行観光産業が一束になって、航空関連企業、エアライン、空港、それを支える産業が、そして何百万の雇用が失われることを避ける為に、最善の努力をして居る間にも、環境問題が、引き続き重要な事は変わらない。

 

幾つかの例では、環境問題は絶対である。そんな場所が、地元の市議会議員が、公共交通のアクセスが不十分なのにも拘らず、空港に新たな駐車場を作る事さえ許そうとしない、英国のブリストルである。

 

Bristol Airport (UK): expansion plans halted for a second time

3月23日掲載

 

カンタス、大規模削減、然しCOVID-19を凌ぐ良い位置に居る  

21-Mar-2020

 

世界中の殆どのエアラインと同様に、カンタスは貨物列車に不意打ちされて居て、それはCOVID-19の勃発である。

 

同社の見通しの変化の唐突さは、まさに劇的である。数か月前、カンタスは実に悠々と軌道に乗って進み、新たな機材発注に集中して居た;2020年2月20日の同社の株価は、上期の業績発表と課題と戦う前向きの計画に、ほぼ1豪ドル上がって6.67豪ドルとなった;その株価が2020年3月19日までに、2.14豪ドルに暴落した。

 

今や同エアラインは、路線網、保有機群そして従業員を削減する中、以前なら誰も称賛できない対策を発表しようとして居る。

 

同社は素早く行動し、危機管理から労使関係まで全てに於いて、折り紙つきの現在の経営が、恐れることなく抜本的な動きに出て居る。

 

国際線の運航は完全に休止し、国内線は供給を60%切ろうとして居る。約150機の航空機が地上待機となり、同社の3万人の従業員の2/3が一時帰休となるだろう。

 

強烈な対応策であるが、この状況に於いては、全く賢明と言えるだろう。

 

Qantas cuts deep, but well placed to weather COVID-19

 

COVID-19。ウイルスの感染数が航空業界の主要指標 

21-Mar-2020

 

世界のCOVID-19コロナウイルス感染数が増え続ける中で、世界のエアライン供給の減少は毎週加速して居る。

 

アジア太平洋は、主にCOVID-19感染数の増加曲線がなだらかになった事を反映して、供給席数減少の率は緩くなったとは言え、最大の衝撃を受けて居る。これとは対照的に、欧州、中東、そしてアフリカでの落ち方が加速して居る。北米は今のところ比較的に安定して居る一方で、ラテンアメリカは依然、増加して居る(増率は鈍化して居るが)。

 

現在のOAGスケジュール・データ(CAPA保有機群データベースの客室仕様と組合せて)は、2020年3月16日の週で、世界の供給席数の対前年比は、マイナス14.7%で、今年最大の下落である。また、この下落は、2020年4月の終わりまでには、マイナス4.0%に縮小すると予測して居る。

 

然し、これらの統計には必然的に現実からの遅れがあり、そして今後予定されるスケジュールに、至近の(そして未だに進行して居る)エアラインの更なる縮小計画が反映されるまで、そのままだろう。更には、需要は供給よりも速い速度で落ちて居る。

 

この現在の危機が続く間、COVID-19感染数に関する世界保健機関のデータが、航空業界にとっては、依然として最善の(そして唯一の)主要指標であり続けそうだ。

 

COVID-19. Data on virus case numbers are aviation's lead indicator

 

COVID19:ラテンアメリカのエアライン、今や劇的に供給を切る 

20-Mar-2020

 

COVID-19コロナウイルスの強烈さが、世界中のエアライン業界をひっくり返し、今やラテンアメリカのエアラインがウイルスの急速な蔓延の厳しさに直面し始めて居る。

 

この地域で運航するエアラインは、世界中の運航会社と同様の対応策を取ろうとして居るが、その中には、これまで聞いた事も無い水準の供給カットも含まれて居る。コパは2020年4月一杯、完全な暫定営業停止の可能性を含む、最も劇的な対策を講じると警告して居る。

 

南米では、ブラジルが確認されたCOVID-19感染者数で最大となって居り、同国国内線市場で、需要は急速に縮小して居る様だ。3大エアラインであるGOL、LATAM航空ブラジルとアズールが、即刻発効の劇的な供給削減を開始しようとして居る。これらの削減は、向こう数か月、COVID-19のパンデミックの脅威の減少がより明瞭になるまで、継続する予定だ。

 

COVID19: Latin American airlines now dramatically cut capacity

Premium Analysis 

需要が蒸発し、米国エアラインの供給暴落 

20-Mar-2020

 

米国の主要グローバルエアラインは、国家が、国内の大きな自治体でバー、レストランそして映画館の閉鎖を勧めると言う、抜本的な手段でCOVID-19の蔓延と闘おうとする中、前例の無い水準まで供給を削って居る。国中の学校は、子供たちが、一体いつになったら通常の勉強に戻れるのか不安の水準が上がる中、既に休校して居る。

 

大規模な供給の引き下げの関連で、いくつかの大手米国エアラインは、それぞれの保有機群の大部分を駐機させつつある。デルタの300機を地上に留める決断は、全運航機数のほぼ33%に当たる。アメリカンもまた暫定的にかなりの数の広胴ジェット機を駐機とする予定だ。

 

これらの機材を地上に留める事は必要であるが、供給がシステム上取り除かれるに連れ、収入は真っ逆さまに落ち続け、各社の講ずるコスト削減策がこの急激な需要の落ち込みに対応できるまでには暫く時間がかかるだろう。

 

不幸なことに、米国と世界のエアラインが需要曲線の底を見る迄にはまだ暫くかかる可能性があり、これらの運航会社が、ますます流動的な状況の中で、彼らの予測の調整を続ける間、デルタとユナイテッドの経営は従業員たちに対し、最大限の率直さを示して居る様だ。

 

COVID 19: US airline capacity plummets as demand vaporisesCOVID-19

 

COVID-19:米国の格安エアラインとLCC各社、熱を感じる 

19-Mar-2020

 

より規模の大きな同業社達と同様に、米国の低コストそして格安運航会社は、COVID-19が航空旅行の需要を干上がらせてしまう中で、短期的には、資本支出を切り、供給を削減して、貸借対照表を強化しようとして居る。

 

アラスカ、サウスウエスト、ジェットブルーそしてスピリットはその供給の伸びを、それぞれの度合で切って居り、アラスカとサウスウエストは危機を乗り越えるための資金を借りようとして居て、これがいつまで続くのかは誰も定かでない。

 

予約がマイナスに転じ続け、キャンセルが激増する中、間違いなく米国の運航各社は、提案されて居る5,000万ドル超に上る経済的支援パッケージが、一刻も早く実現するようメッセージを日に日に強めて居る。

 

COVID19: US budget airlines and LCCs feel the heat

 

COVID-19。5月末までには、殆どの世界のエアラインは倒産するだろう 

16-Mar-2020

 

2020年5月末までに、世界の殆どのエアラインは倒産するだろう。

 

もしこのカタストロフィが避けられるとすれば、政府と業界の協調した取り組みが必要である。

 

コロナウイルスの影響と複数政府の旅行への反応が、私たちの世界を席巻し、多くのエアラインが、多分、既に技術的には倒産か、少なくとも実質的な負債条項不履行に追いやられて居るだろう。

 

保有機群が地上に留められ、運航する便は半分も埋まらない状態で飛ぶ中、キャッシュの手持ちも急速に減って行くだろう。

 

事前予約を、キャンセルが遥かに圧倒し、新たな政府の勧奨は、発表される度に、航空旅行をやめさせようとするものである。需要は、全く前例の無い形で干上がろうとして居る。正常化は未だに地平線上に見えない。

 

COVID-19. By the end of May, most world airlines will be bankrupt 

 

COVID-19ショック、米国エアラインを直撃、然し従うべき青写真は無い 

16-Mar-2020

 

欧州のシェンゲン圏全域を含む、旅行制限を開始すると言う、米国政府の決断は、COVID-19コロナウイルスがパンデミックの段階に達したため、基本的にこの国のエアラインが苦しんで居る傷口に塩を塗り込んで居て、需要の回復がいつ起こって来るのかについての不確実性の水準を可なり高めて居る。

 

この国最大のエアラインである、アメリカン、デルタそしてユナイテッドは、禁止令の影響の中を舵取りしながら、同時にひとたびパンデミックが終わった後、彼らがどの様に回復しようと計画するのか、長期的展望を検討する事を余儀なくされそうである。

 

米国と世界の市場が殴られ続ける間にこれらのエアラインは、COVID-19は、「経済的イベント」と言うよりむしろ「恐怖のイベント」だと言う彼らの判断を、変えねばならないかも知れない。COVID-19が惹き起こした公衆衛生の緊急事態が、今や期間の予測不可能な「経経的危機」に変質して居る。

 

スポーツチームがシーズンを休止したり、ますます多くの労働者が家庭から仕事をすることを求められる中で、この「黒い白鳥イベント」を9/11やSARSと比べようとする試みは、間もなく無意味だと言い渡される可能性がある。経済的な影響は甚大で、如何なる回復にせよ、あるとすればその時期は、全く未だ見えて来ない。

 

COVID-19 shock hits US airlines, but there is no blueprint to follow

3月16日掲載

Premium Analysis

メキシコの国内航空市場:「統合」の時期か? 

15-Mar-2020

 

メキシコの国内旅客の伸びは、過去の10年中ごろの10%台前半、2桁の増加を記録した頃から鈍化して居るけれども、依然として着実に上昇して居る。また、メキシコの一人当たり旅行回数が、より成熟した市場に比べ遥かに低いため、まだ成長を継続する余地がある。 

然し、メキシコの経済成長は、過去数年間、弱々しいもので、この国唯一のフルサービスエアラインであるエアロメヒコは、低コストエアライン各社による国内線供給の伸びが、余りにも攻撃的で、これが運賃設定に圧力をかけて居ると考えて居る。 

結果として、エアロメヒコは市場に運賃牽引力を創り出すために、メキシコの国内線市場には統合が必要だと考えて居る。M&Aはすぐにも起きそうには無いがメキシコの強力な、そして弱めのエアライン各社の間には、決定的な線が引かれて居る。

Mexico's domestic aviation market: time for "consolidation"?

Premium Analysis  

COVID-19:シェンゲン-米国旅行禁止、エアラインに更なる一撃 

13-Mar-2020

 

2020年3月12日、米国のトランプ大統領は、14日以内に、26か国の欧州シェンゲン圏(基本的には国境の無い旅行地域)の何処かに渡航した、全ての外国人の米国入国を禁止した。

 

この入国禁止は、2020年3月13日の深夜零時(東部夏時間)に発効する。米国市民、法的な住民、そして一部家族は、11か所の認定された空港から入国可能である。

 

英国とアイルランドは、最も重要な大西洋横断航空市場であり、今回の入国禁止には含まれない。IAGの英国航空とエアリンガスは恐らく、ロンドンとダブリンの彼らのハブから、追加的な需要が発生する事から恩恵を得る事になるかも知れない。

 

欧州の主要伝統的エアライングループとその米国の共同事業提携社にとって、北大西洋は、非常に重要な収益の源泉である。ルフトハンザグループ、エアフランス-KLMそしてノルウエーエアは、少なくとも彼らの米国路線網の一部を運航し続ける仲間に入る。

 

米国市民は、今回の入国禁止に含まれないので、幾らかの需要は継続するだろうが、飛び続ける供給席数が、欧州側からの市民無しで埋まるものか定かでない。もしこの入国禁止が続くとすると、可なりの数のフライトキャンセルや休便が間違いなく増えるだろう。

 

COVID-19: Schengen-US travel ban another blow to airlines

 

フライビー。第2部:撤退で幾つかの空港は閉鎖の可能性 

13-Mar-2020

 

世界は、既に暫くの間、黒い白鳥が家に帰って来るのを待って居た。今やその時期が来た様で、あたかも群れの全てが一度に着地したかの如くである。

 

目下の状況では、COVID-19コロナウイルスの突発は、SARSやMERS、そしてH1N1と言った、これまでに発生したウイルスたちを、容易に影の薄い存在にして、世界の航空交通産業を急停止に至らせて居る様だ。

 

幾つかの国では、この医学的な出来事が、丁度エアラインが最も弱って居る時にやって来た。従って、英国に本拠を置く欧州最大の地域航空フライビーの活動停止は、これ以上悪いタイミングは無いと言うときにやって来て、フライビーが致命的に重要な顧客だった英国の幾つかの地方空港にとっては、見通しは明るくない。

 

Flybe. Part 2: Demise may cause some airports to close

Premium Analysis  

フライビー。第1部:市場は英国の地域エアラインの残した穴埋めに対応 

12-Mar-2020

 

フライビーの倒産直後の対応として、LCC各社、ライアンエア、そしてイージージェット、また地域エアラインのブルーアイランズがフライビーの一部路線について期間限定で「救済運賃」を提供して居る。

 

これらのサービスは、既にそのエアラインが運航して居る路線に限られ、基本的に短期間の販促努力である。

 

にも拘らず、既にエアライン各社が、以前はフライビーが飛んで居た路線を自社の路線に加える動きが始まって居る。域内運航会社、ローガンエア、イースタン航空、ブルーアイランズそしてオーリニーエアサービスは、これまでフライビーの飛んで居た27路線(その内26路線はフライビーの独占だった)を彼らの中で運航する事で合意して居る。

 

フライビーは、英国国内線、域内市場で最大の、そして多くの場合、その路線唯一のエアラインだった。

 

然し、エアライン間の競争は僅かしかなかったのだが、地上交通機関とのかなりの競争があった。純粋に営業面での商機がある(そして時間が許す)ところでは、より多くのフライビー路線が他の、より効率の良い域内エアラインに取って代られる可能性が高い様に見える。英国政府は、例えば航空旅行者税を変更したり、公共サービス輸送義務(PSO)補助金の数を増やすなどで、穴を埋める事に手を貸す可能性はある。

 

然し、フライビーの活動停止でバージンアトランティックは国内の送客提携社を失ってしまった。

 

Flybe. Part 1: The market addresses gap left by UK regional airline

Premium Analysis  

アビアンカ・ホールディングズ:ボゴタハブの構築へ模索開始 

11-Mar-2020

 

財政的な強靭さを獲得する事に加え、南米のエアライングループアビアンカは、路線網の洗練、不採算路線からの撤退、そしてボゴタにある同社最大のハブでの乗継可能性を強化する事に専念して居る。

 

アビアンカは、昨年中、債務のリストラや、今後数年間のより管理可能な資本支出を創出するための機材発注リストの削減など、貸借対照表の改善に費やして来た。

 

安定した財務基盤を創出する努力を続ける一方で、アビアンカはまた、昨年、ペルーでの国内路線の縮小も含めて不採算な20路線を削り、路線網の再編も行って居る。

 

同社は、ボゴタで旅客の乗継を可能にする水準を、長期的にはほぼ50%とする事が出来ると考えて居り、既にボゴタ空港での同社の位置づけを活用して、より多くの乗り継ぎを創出する地固めをして居る。然し短期的には、アビアンカは、コロンビアにはいくらか供給過剰があると考えて居り、市場がその成長を吸収する事が出来るのか疑問も抱いて居る。

 

Avianca Holdings: beginning its quest to build up the Bogota hub

 

COVID-19コロナウイルス:米国エアライン、流動性確保に踏み出す 

11-Mar-2020

 

米国がCOVID-19コロナウイルスを緩和段階へと封じ込める試みから退く中で、この国のエアライン各社も、供給を削り、株式の買戻しを止め、資本支出を抑え、ある場合は彼らの流動性を支えて、夫々の軍資金を強化しようと、これに同様に従って居る。

 

COVID-19は、米国のエアライン業界は、2011年9月の同時多発テロ、SARSそして2008年の金融危機など、過去の危機に瀕した時に比べ、遥かに強くなったと言う、長年抱いて来た確信が、試される黒い白鳥的出来事(black swan event)となって居る。

 

今や、堅固なキャッシュバランスに頼り、管理可能なレバレッジに感謝する時であり、そして、そのために、幾つかの米国エアラインは、他社よりも良い位置に居る。

 

COVID-19 coronavirus: US airlines take steps to preserve liquidity

Premium Analysis  

イースタン航空:3代目は、強烈な競争に直面 

11-Mar-2020

 

イースタン航空という名前の最新の会社が、ニューヨーク/JFKとグアヤキルの間を、次いでジョージタウンへの新航空便を、数週間前に飛び始めた。

 

イースタンのビジネスモデルは比較的長距離の市場に、ボーイング767広胴機で、中南米の市場へ低運賃を提供する事に的を絞って居る様だ。その戦略のメリットは、広く議論されて来た事だが、そして、最初の市場に於ける、イースタンの競争相手達の力から言って、同社が持続可能な水準を達成するためには、かなりの登り坂がある様にどうしても見える。

 

イースタンの生存可能性に対する懐疑論は、同エアラインが最終的に、生存能力を持って居ると証明出来るまで続くだろう。同エアラインのデビューのタイミングは、便を開設したのが、世界の航空業界に波及効果を及ぼしつつある、COVID-19ウイルスの急速な蔓延の直前だった事から、不運である。

 

Eastern Airlines: 3rd iteration of the name has strong competition

Premium Analysis  

COVID-19の航空への影響、日本の2020年観光目標を脅かす 

10-Mar-2020

 

COVID-19コロナウイルスの突発は、多くのアジアのエアライン市場を次々に処刑しつつあるが、日本にとっては、需要の暴落のタイミングが特に不運である。今年は、訪問客需要の大波が押し寄せる事を計画して居た日本の航空と観光業界にとっては、重大な年の筈だった。

 

政府は観光客の伸びを、経済の優先事項とし、これをこの町にやって来るオリンピックに合わせて、東京空港の収容能力の拡大で支援しようとして居た。

 

然しながら、2020年に向けた政府とエアラインのこの野心的な計画は、コロナウイルス危機による脅威に晒されて居る。

 

暴落する需要と旅行制限は日本のエアラインに対し、アジアの主要市場で、2020年3月中の供給を削る事を余儀なくし、削減は国内市場にも影響を与え始めて居る。一方、海外エアラインは日本への自社便を縮小し始めて居る。

 

COVID-19 aviation impact threatens Japan’s 2020 tourism ambitions

 

カンタス・サンライズ、コロナが「パース=ロンドン業務渡航は直航で」を後押し 

10-Mar-2020

 

ロンドン行きの経由地で、コロナウイルスを拾ってしまうと言う脅威が、カンタスのサンライズ戦略に大きな裏書きを与えて居る。

 

大規模な国際線の飛び方の再調整の一部として、2020年4月20日から同社はパース=ロンドン直航便を毎日1便から2便へと増便する計画だ。

 

何十年もの間、カンタスは西行き、東行きそして北行きの全てで、シンガポール航空の様な、高品質の中継(第六の自由)エアラインと競争しなければならなかった。

 

サンライズ便の導入は、パースとロンドン間の乗客たちが、中間地点での乗継を無しで済ますことを可能にし、同時にカンタスに競争での利点を与える事を意味するのだ。

 

Qantas Sunrise's corona boost to Perth-London corporate non-stop

Premium Analysis  

航空のバリューチェーン:エアラインの利益、所有/統制の規制で抑えつけられる 

09-Mar-2020

 

IATAの為に行ったマッキンゼー社の分析によれば、エアラインは、2010年~2018年の期間に、1999年~2009年と比較すると、平均投下資本利益率(ROIC)をほぼ倍増させた。然し、エアラインは、その両期間とも、航空のバリューチェーンの中で、最低のROICを記録し続けて居る。

 

更には、2015年の短期間の例外を除き、世界のエアラインのROICは、投資家たちが期待する最低限の対価である、資本コストの加重平均を充たして居ない。唯一北米と欧州のエアラインの利益がこの閾値を上回って居る。

 

航空界のバリューチェーンで最も高い利益は、グローバル・ディストリビューション・システムと製造業である。ケータリング、フォワーダー、グランドハンドリング、MRO、ANSP(管制業務提供機関)、そして空港も、皆エアラインより高い利益を上げて居る。

 

エアライン業界の細分化が、この低業績のひとつの重要な要素である。この分析は、それとなく、エアラインの所有と統制の規制を取り除くべきだと言う議論に油を注いで居る。

 

Aviation value chain: airline returns muted by ownership/control rules

3月8日掲載

Premium Analysis 

 

ベラルーシの航空事情:ウイズエア参入で市場拡大、べラビアに脅威 

07-Mar-2020

 

2020年2月、ミンスク・ナショナル空港とウイズエアは新たな航空便の開設で合意した。全体の詳細は、まだ最終取りまとめの段階だが、ウイズエアは、ベラルーシの首都と供給席数で同社最大の空港であるブダペストの間の運航に関心を持って居る。ウイズエアはまた、現在、国際線定期便の飛んで居ないベラルーシの地域空港にも関心を示して居る。

 

ベラルーシの航空市場は2020年、拡大東欧/中欧市場圏の成長を越える伸びを見せつつあり、国営エアラインであるべラビアはベラルーシの市場より大きく成長して居る。

 

べラビアはフルサービス/域内航空のハイブリッドエアラインだが、LCCが殆ど存在しないこの国を支配して居る。

 

ウイズエアの参入は市場を刺激し、更なる需要を生み出す筈だ。然し、それはまた、べラビアの支配を脅かすかも知れない。

 

Belarus aviation: Wizz Air entry to grow market, threatening Belavia

 

エアラインと女性指導者(の不在)、国際女性デーに寄せて 

06-Mar-2020

 

2020年3月8日の世界女性デーに、2020年のエアラインの女性たちを祝って。

 

かつて2010年に、CAPAは世界中のエアラインの性の多様性の状況について研究を行い、「何故女性はエアラインの経営をしないのか?」尋ねた。我々は毎年この時期に再点検をして居る。

 

10年前のこの研究は、世界中で18社のエアラインが女性に率いられれて居る事を示し、「変化の速度」が必要だと論評した。その時以来、CAPAは世界中のCAPAサミット会議で、この話題について、多くのパネルディスカッションを行って来た。

 

現時点へと早回しすると、悪いニュースは、過去10年間で、女性エアラインCEOの数は少しも改善して居ないどころか、実際には減って居る。今日現在、僅か12のエアラインで、女性がCEO、社長或は代表取締役の役割りを担って居る。

 

これは業界が誇れる事実ではない。エアラインの上層部の人々から、人口の半分が提供せねばならないスキルを歓迎する事が、明らかに必要であると言う主張が続いて居る。

 

Airlines and women (not) in leadership on International Women's Day

Premium Analysis    

COVID-19、米国エアラインに供給削減開始を強いる 

06-Mar-2020

 

コロナウイルスCOVID-19の、世界の航空業界に対する、広く拡大した影響は、収まる事なく続いて居り、ウイルスが急速に蔓延し続ける中で、エアラインが被る収入への打撃についてのIATAの推計を可なりの変更を余儀なくして居る。

 

米国では、ユナイテッドが、前代未聞の動きを示し、2020年4月に可なりの国内線及び、国際線の供給を引き下げ、ジェットブルーもまた、供給を切り下げて居る。

 

これらの動きに対して、需要は引き続き収まる事無く縮減して行く中で、疑問は「もし」ではなく「いつ」米国のその他のエアラインが後に続くのかである。長距離国際線を飛ばして居ないサウスウエスト航空は、最近、需要の急激な落ち込みに言及して居る。

 

COVID-19 forces US airlines to start pulling down capacity

 

コロナウイルス:中国、エアラインの復便に補助金を支給。最新情報 

06-Mar-2020

 

切望される世界との繋がりを取り戻そうとして、中国のCAAC(中国民用航空局)は、エアラインが航空便を復旧する事を促す、一連の支援策を発表した。

 

これらの中には、外国の市場に直接運航しようするエアラインに対し、ASK毎に直接補助金を支給する策も含まれて居る。

 

コロナウイルスCOVID-19は、中国国内、中国発のみならず、近隣諸国そしてアジア中の航空便に激烈な影響を及ぼして居る。

 

エアライン(そして航空業界のサプライチェーン)への経済的なダメージは、既に年間に直せば2桁のマイナスに近付き、幾つかのエアラインを危機に晒し、全体として成長を阻止して居る。

 

Coronavirus: China offers to pay airlines to return to the air. UPDATE

Premium Analysis   

ボラリス:成果を摘み取る、旅客をバスから航空旅行へ移行させて 

04-Mar-2020

 

ラテンアメリカで、メキシコのボラリスほど、バスの旅客を乗り換えさせる戦略にしぶとく的を絞って居る、超低コストエアラインは他にない。

 

同社は、今や、輸送旅客数で見て、この国最大の国内線エアラインであり、将来に向かってバスの顧客を航空旅行に誘い出す事に依然として強気である。確かに、メキシコの2018年の一人当たり国内旅行回数0.36は、より成熟した航空市場の水準に比べ、可なり下回って居る。

 

ボラリスは、世界中のどのエアラインのコスト実績の中でも最高位にある一社で、同社は2019年の実績の中でもこの勢いを維持して居る。同エアラインは、自社のコスト実績を評価するに当たって、他のエアラインに対して比較するのではなく、基準としてバス会社を使って居る。

 

全体として、ボラリスは、メキシコペソが米ドルに対していくらか弾みがつき、メキシコ経済が依然安定して居る事から、2020年初頭は明るい見通しを立てて居る。同社の現在の供給の伸びの計画は、2019年より小さいのだが、依然として2桁でまだ増加して居る。

 

同社は、2021年のエアバスの機材納入の遅れに備えて居り、2020年のガイドラインに納入計画変更の可能性を計算に入れて居る。

 

Volaris: diverting passengers from buses to air travel reaps rewards

Premium Analysis   

オマーン航空グループ、マスカット・セーブ空港の民営化を検討 

03-Mar-2020

 

オマーン航空グループのCEOムスタファ・アルヒナイは、マスカット・セーブ国際空港の民営化を計画して居る。アルヒナイ氏は、「グループへの利益があり、国に対しても利益になる限り、民営化は一つの選択肢であり続ける。」と語って居る。

 

これは、2000年代の早い時期に、BAAplcに率いられたコンソーシアムによる失敗した民営化の例に照らして、選び抜かれた言葉である。BAAは地元の提携社であるスハイル・バーワングループとABBエクイティ・ベンチャーズとのコンソーシアムに加わって居り、2001年9月にセーブとサララー両空港の民営化で、優先入札社の資格を獲得して居た。

 

然し、過去2年間に政府からが持ち上った複数の矛盾する声明は、再度民営化の試みがあるのか否かについて明確にして居ない。

 

Oman Aviation Group considers privatisation of Muscat Seeb Airport 

Premium Analysis   

カナダの超LCC新規起業組、依然市場内での立場を形成中 

03-Mar-2020

 

カナダの2つの超低コストエアラインは、それぞれ異なる路線網の横顔を採用して居る。ウエストジェットの超LCC子会社スウープは可なりの部分の供給を、季節的温暖な気候の路線に使い、フレアはカナダの国内市場にその勢力の的を絞って居る。

 

スウープはまた、概して副次的な空港に、一方フレアの主要基地はカナダの比較的大きな空港に開設されて居る。然し、これでフレアがスウープとウエストジェットは弱肉強食的な振る舞いを続けて居ると主張するのを、押しとどめる事にはなって居ない。

 

最近、フレアとスウープは共に輸送旅客数の一里塚に到達して居て、将来への見通しに自信を感じて居る。然し、実際問題、本当の疑問は、長期的視野に立って、カナダの市場に2つの超低コスト運航会社が生存できるのかと言う事である。

 

Canadian ULCC start-ups still carving out positions in the market

Premium Analysis    

タスマン海越え航空業界、コロナウイルスCOVID-19に影響を受ける 

03-Mar-2020

 

豪州とニュージーランド間のタスマン海越え市場は、COVID-19コロナウイルス蔓延の震源地から遠く離れて居るけれども、それでも、最近のエアライン業界の危機に、可なりの影響を受けて居る。エアニュージーランド、カンタスグループそしてバージン・オーストラリアは全て、タスマン路線の需要の低下に合わせて、供給削減を発表して居る。

 

然しながら、削減は、また供給過剰がこれらの路線の財政的対価をずっと損ねて来た事を反映して居るのだ。

 

2018年遅くに起きた、同盟の大きな変更は、エアライン各社がタスマン越えに便を増やし、激しい運賃競争をした事から、言わば供給戦争を惹き起こした。本当の試験は、コロナウイルスの緊急事態が収束した時に彼らがどう反応するかに懸かって居るのだが、最近の再調整により、主な登場人物たちが、この市場を合理化する兆候を示して居るのかも知れない。

 

Trans-Tasman aviation impacted by Coronavirus COVID-19

 

フライカーナ:ドミニカの新規起業LCC、カリブ海で生き残りを目指す 

03-Mar-2020

 

ドミニカ共和国を本拠地とする新規立ち上げのフライカーナは、2020年の終わりまでに運航開始を狙って居り、その路線網をアメリカとカリブ海の多くの目的地を含めるべく急速に広げる野心を抱いて居る。

 

同エアラインは、同社路線網のほぼ半分未満である北米路線で、友人親族訪問(VFR)市場の利用に供する事を念頭に置いて居る。*VFR:visting friends and relatives

 

フライカーナは向こう数週間で、起業に必要な資金を確保しようと動いて居り、同社はこの地域の低コスト運航会社になる好機があると考えて居るのだが、同社の経営陣はまた、カリブ海で新規起業エアラインが直面する課題についても盲目ではない。

 

Flycana: Dominican start-up LCC working to be viable in the Caribbean

Premium Analysis   

エルアルSWOT分析:イスラエルの国営航空に課題は残る 

02-Mar-2020

 

2014年4月のCAPAのエルアル航空に関する分析レポートは、このイスラエルの国営航空会社が、直面する多くの課題を示して居る:老朽化する保有機群、遅々とした旅客数の伸び、下落する市場占有率、高コスト構造、進む欧州LCCそしてネットワークエアラインからの競争、そして、脆弱な財務実績などである。

 

2013年~2018年の間のEU-イスラエル間のオープンスカイ協定の導入は、市場でのイスラエル発着の航空旅行への競争を刺激し、成長に火をくべて来た。成長はまた平均水準の上にを行くイスラエルの一人当たりGDPにも支えられて居る。市場は観光旅行者に対するアピールと強固なビジネス分野を持ち、外国のエアライン、特にLCCを惹きつけたとしても驚きではない。

 

エルアルは、イスラエルの市場拡大から恩恵を受けて居る。2019年に同社は4つの新たな路線を開設し、2020年に更に4路線を計画して居る。然し、エルアルにとっては、不幸な事に、地元の競争相手であるイスレア航空とアルキアイスラエル航空が、より急速に成長して居るのだ。更には、ウイズエア、イージージェット、ペガサス、そしてライアンエアを始めとする外国LCCがイスラエル発着の供給席数を伸ばし続けて居る

 

今回のレポートはエルアルの強味(Strengths)、弱味(Weaknesses)、好機(Opportunities) 、そして脅威(Threats)について分析する。6年前、エルアルが直面して居た課題は取り組みがなされて居るが、依然として非常に目立って居る。

 

El Al SWOT analysis: challenges remain for Israel's national airline

 

米国の新規起業エアライン、未開拓の市場を狙って開業を競う 

02-Mar-2020

 

米国市場で、比較的大きな米国エアラインには余り魅力の無い、供給不足の市場を目標にすることで、アレージアント型の路線網構造を採用しようとする、2つの新規起業エアラインにとって、競争は続いて居る。そしてこの野心に燃える両社とも、最近は、今年、開業する事を、更に喧伝して居る。

 

デービッド・ニールマン率いる、新企業ブリーズは、米国で見捨てられたと見做される市場に飛ぼうと狙って居り、前アレージアントの幹部でユナイテッドのCFOだったアンドリュー・レビーが率いる、ヒューストンエア・ホールディングズも、また、供給不足の市場を標的として居る。レビー氏の会社は、ブリーズが獲得しようと努力して居る、航空機運航者証明(AOC)を持って居ると言う利点がある。

 

夫々の企業は、関心に満ちて居て、両社とも、成熟した米国市場にも、まだ開拓されて居ない商機が複数あると言う、自社の信念を固く保って居る。

 

US start-up airlines race to launch, targeting untapped markets

3月1日掲載

図表で見るエアラインとコロナウイルスCOVID19

 

28-Feb-2020

 

武漢/コロナウイルス/COVID19の衝撃は、特にアジア太平洋地区のエアラインにとって、突然で醜悪なものである。

 

今回レポートのCAPAのグラフや画像などは、CAPA保有機群データベースに蓄積された機材客室仕様と組み合わせ、データ提携社OAGと共にファイルされたスケジュールの上に築かれた、CAPAの供給分析ツールに依れば、如何にエアラインが2020年の第1四半期、供給を減らして居るかを示して居る。アジア太平洋地区のエアラインの幾つかを選んでみた。

 

これらの目を見張る削減は、飛び終わった座席数を示すに過ぎない。これが直接、各航空便がどの位埋まって居たかを示すものでは無いし、明らかに営業的な理由からエアラインは多くの情報を出したがらない;然し、便は、はるか満席の半分以下だったと言う話は世に溢れて居る。

 

この短いレポートにある図表の例は、ほんの一握りの国々とエアラインに関するものに過ぎない。COVID19が長引き、そして上手く行けば衰退して行く間、CAPAは更なるレポートを提供する予定である。

 

Airlines and coronavirus COVID19 in pictures

Premium Analysis    

アメリカン航空、カタール航空、営業の共通基盤を見出す

 

27-Feb-2020

 

アメリカン航空は、GOL、アラスカ航空グループ、そして今回カタール航空との戦略的提携関係を取りまとめ、2020年早々の数週間の霧の中から抜け出して居る。

 

2018年に提携を切り捨てて後、アメリカンとカタールは、過去数年の間、アメリカン、デルタそしてユナイテッドの3大エアラインが、この最大の湾岸エアラインに対して煽りたてた不公正な補助金や、その他の問題についての非難の、尾を引く敵意よりも、新たな契約の恩恵の方がはるかに価値があると決断し、まさかりを地中に埋めた様に見える。

 

カタールの取引はアメリカンにとって、長期に亘り、競争力のある路線網を築くための下地作りに必要な、三連単式への最後の一手である。この新たな契約は、アメリカンのこの地域に於ける自社の拡大を補完する、中東、インドそしてアフリカへの重要な侵入を助ける事になるだろう。

 

アメリカンは、ある時点で、もし両エアライン間に悪感情があったとすれば、まさしく彼らがより合理的な営業的利害に一目置くことを示す、カタールのドーハのハブへ、自社機材での便を開設する計画を仄めかして居る。

 

American Airlines, Qatar Airways find commercial common ground

 

SIA、大きく新たな挑戦に挑むグループ戦略を微調整

 

27-Feb-2020

 

シンガポール航空(SIA)は、この業界で最も成功したエアラインの一つと言う評判を築いたが、その玉座に胡坐をかいては居ない。SIAは、自社の路線網の力を拡大するために、新たな提携先を求め、最新鋭の航空機を導入しつつ進化を続け、多方面に展開したビジネスモデルを採用して居る。

 

SIAの動きは、一部、よく知られた戦略的課題の組合せによって牽引されて居る。長距離路線の乗継市場での競争が、中東の巨人エアラインたちから、そして中国本土のエアラインからどんどん拡大して居る。

 

より本拠地近くでは、アジアのLCCが相変わらず、膨大な未受領の保有機群を持って追い上げて来て居る。そしてその他のアジアのハブは、シンガポールのチャンギ空港の世界的乗り継ぎ地点としての成功例を熱心に見習おうと試みて居る。

 

SIA fine-tunes group strategy to tackle big new challenges

 

プエルトリコの観光業界:航空分野が立ち直り、島の精神は堅固

 

26-Feb-2020

 

プエルトリコを一語で表わす言葉があるとしたら、「回復力」である。過去数年間と言うもの、この島は、その回復力を試される多くの問題に直面して来て居り、ほぼ全ての分野、特に観光の分野で、プエルトリコは臨機応変に対処し、観光を恐るべき戦力とするために、教訓を生かして来た。

 

今年早くにこの島を襲った、地震活動があってさえ、2020年、プエルトリコの観光分野は明るいものに見える。また、プエルトリコのコンベンションセンターは、ホテルやレストランが溢れ、発展する地区にあるので、会議やコンベンションの分野にも商機がある。この島の地理的な位置は、特に米国の会議企画者にとって、会議やコンベンションへの魅力を更に拡大する可能性がある。

 

その観光経済が再認識されて来て居る事から、プエルトリコの観光分野が成長を続ける可能性には、興奮させるに事欠かない。

 

Puerto Rico tourism: air sector rebounds and island spirit stands firm

 

グループADP、GMRエアポーツ株を大規模取得、タタグループの不意を衝く

 

25-Feb-2020

 

フランスのグループADPは、この程、1,078億インドルピー(15億米ドル)の投資となる、GMRエアポーツ社の49%の株式を取得する合意書に署名した。この取引は、インドのタタグループが率いるコンソーシアムと既に合意したものがあり、突然決まったものである。

 

パリの2つの主要空港とフランスの首都の関連する施設、そして世界中の幾つかの空港とターミナルを運営するグループADPは、2019年度、17.3%の増収と5.5%の*EBITDA増加と言う好業績を記録して居る。(*EBITDA=利払い・税引き・償却前利益)

 

取得の第1段階は、24.99%の株式について「今後数日で」(発表は2020年2月19日)完了する予定で、第2段階である残り24.01%については、規制条件次第で:特に、通常の規制の承認、取り分けインド準備銀行からの承認を得てから、向こう数か月で完了する予定である。

 

旅客数の点で言えば、この企業体は、2019年の旅客数が併せて3億3,600万人となり、世界最大の空港運営会社となると言う。

 

然し、これは本当に彼らの言う「グローバル」なのだろうか?そして両社にとって、どんな見えない危険の可能性が潜んでいるのだろう?

 

Groupe ADP takes large stake in GMR Airports and blindsides Tata Group

Premium Analysis   

エアカナダとジェットブルー:エアバスA220への高い期待

 

24-Feb-2020

 

北米エアバスA220の顧客は、ジェットブルー航空とエアカナダが、A220の解き放つ、可能性を議論する際に使った「ゲームチェンジャー」と言う言葉で、依然、この機材への賛辞を惜しみなく続けて居る。

 

エアカナダは、最近A220の受領が始まったが、ジェットブルーは2020年の後半に初号機の受領を予定して居る。

 

エアカナダはこの機材が、収益性のある新たな都市組み合わせを切り拓くと話し、ジェットブルーは同機材が同社のコスト構造を改善すると確信して居る。

 

エアカナダとジェットブルーは、併せて113機のA220を発注済で、ジェットブルーが70機のA220を全機受領すれば、同社は北米で最大の同機の運航会社の一つになる予定だ。

 

Air Canada and JetBlue: high hopes for the Airbus A220

 

航空界の持続可能性:デルタ航空の目標が対話に追加される

 

24-Feb-2020

 

デルタ航空が、次の10年間でカーボンニュートラルになり、その目標達成ために10億ドルを投資すると言う、大いに野心的な計画を宣言した事は、何も驚く事では無い。2019年を通じて、デルタの経営陣は、持続可能性についての質問を現場に投げ掛け、同社の経営として2020年、気候変動に立ち向かう航空界の役割についての会話の中で、より積極的な声を上げて行くと誓って居る。

 

デルタの、カーボンニュートラリティを達成する計画は、同社がその環境目標を公表して以来、広く、分析されて居り、ある意味では同社がその目標をどの様に達成するのか、答えより疑問の方が多い。然し、デルタは目標に連なる課題に、特にカーボンオフセッティングについて、広がりつつある懐疑的な見方には気付いて居る様である。

 

短期的には、上手く操作する余地は限られて居り、全てのエアラインは、最も有効な方法として、より新しい、より効率の高い航空機を使うことで、環境へのダメージを和らげる方法を探って居る。

 

Sustainability in aviation: Delta Air’s goals add to dialogue

 Premium Analysis