Brexitと航空業界:終わり良ければ全て。ほぼ良し。。。...

当分析はCAPAが2021年1月7日に発表した

Brexit and aviation: all's well that ends. Well, almost…

をJAMRが全文翻訳したものです。

2021年1月18日

Brexitと航空業界:終わり良ければ全て。ほぼ良し。。。...

07-Jan-2021

 

2020年12月24日に英国とEUの間で合意された貿易協定は、英国がBrexitに投票してから4年半後の2020年12月31日に発効した。それは1,449ページに上り、そのうち26ページは航空業界についてである。

 

Brexitは欧州の航空システムを改善することとは無関係だったが、現在の状況が深刻に浸食されるかも知れないという大きな懸念があった。結果は、最適とは言えないまでも、これらの懸念はほぼ回避されて居る。

 

英国が欧州単一市場の加盟国であった状況と比較すると、新しい協定は、航空における自由化に対し、前例の無い逆行を示して居る。航空会社の所有と統治の問題で正すべき皺が出来て居り、一部の航空会社は不必要なゆがみを経験し、航空安全や消費者保護などの分野で、少なくとも時間の経過とともに本筋から逸脱して行く危険がある。

 

それにもかかわらず、旧式の二国間協定と比較して、そして確かに「合意なし」の脅威と比較して、それは依然としてかなり自由な協定であり、実際に英国をヨーロッパの単一の航空市場に留めることなく、規制の現状を可能な限り維持して居る。主な影響は、Brexitの経済的影響を通じて間接的に感じられる事になりそうだ。

 

しかし今のところ、それはCOVID-19危機の影響によって覆い隠されて居る。 

概要

      英国とEU間の運輸権は保護されて居る。カボタージュの権利は削除されるが、これによる実際的な違いは殆ど無い。

      所有と統治の制限はほぼ予想どおりだが、英国の航空会社がEUに所有されることを許可して居る。相互自由化のオプションはまだ検討されて居ない。

      一方、非EU株主の割合が高いEUの航空会社は、EUの所有と統治を確保するための措置を講じて居る。

      双方は、安全とセキュリティに関する緊密な協力を目指し、他の分野では広く現状を維持し、「高水準の消費者保護」を目指して居る。

 

英国とEU間の運輸権は保護されて居り、制限や価格規制は無い

第3と第4の自由、つまり互いの領域に出入りする権利は保持される。これにより、英国とEUの目的地に関わる往来の大部分が、双方の大多数の航空会社にとって確保される。

さらに、運輸権には、供給席数、便数、航空機、または二国間協定の他の自由化前の特徴に関する制限は無い。料金(航空運賃)は、競争条件の下で市場によって、引き続き、自由に設定される。

コードシェアおよびブロックスペース契約は、航空会社が正当な運輸権を持って居る路線に於いて許可される。

 

カボタージュの権利は削除されるが、これにより実際上は殆ど変わらない

市場アクセスルールの最も明らかな変更は、英国の航空会社が1つの加盟国内または異なる加盟国間でEU内(またはより広い欧州航空地域)内の運輸権を享受しなくなり、EUの航空会社が英国国内の運輸権を享受しなくなったことだ。 (いわゆる「カボタージュ権」)。

実際には、この変更により、すでに運用されている路線網に大きな違いは生じ無い。以前、この権利を利用して居た航空会社は、それを保護するために子会社を設立して居る。

2016年のBrexit国民投票後の数年間にEU域内で大きな供給量を持って居た英国の航空会社は、2019年初頭に運航を停止したbmiリージョナルと、実質的にEU所有の航空会社となったイージージェットだけだった(以下を参照)。

EUの航空会社の中で、ライアンエアーは英国国内線はわずかだが、路線網のこの部分を維持するために英国の子会社を設立した。その英国子会社はまた、英国とそれらの第三国との間の二国間協定の下で、英国と非EUの目的地の間での運航を行うことを許可して居る。

ウイズエアには、同様の理由で英国の子会社がある。 イージージェットの英国国内線は、英国の子会社によって運営されて居る。

これらのEU航空会社の英国子会社は、以下の所有と統治に関する段落で概説する理由により、英国航空会社として扱われる。

 

貨物の第5の自由が許可される

 

旅客輸送に対する第5の自由の権利はもはや存在しないため、どちらの側の航空会社も第三国へのサービスを継続することはできない。英国と個々のEU加盟国との間で二国間で合意された場合、貨物の第5の自由が許可される。

 

所有と統治の制限は概ね予想どおり…

所有と統治の制限に関しては、合意は概ね、航空サービス二国間協定で予想されるものの様に見えるが、重要な例外がある。

英国とEUの間の運輸権を取得するには、それぞれの側の航空会社が、それぞれの側の国民によって所有され、実質的に統治され、それぞれの領土に主たる事業所があり、自国の管轄区域における管轄当局発行のAOC(運航者証明)を保持しなければならない。

…ただし、英国の航空会社をEUが所有できるようにする

新しいのは、2020年12月31日の移行期間の終わりの時点で有効な営業許可を保持して居た英国の航空会社の、所有と統治の資格要件がやや緩和されて居ることだ。

EU(または欧州経済圏またはスイス)の国民、またはEUと英国の国民の組み合わせによって、所有および実質的に統治されて居る場合でも、依然として英国の航空会社としてカウントされる。

この新方式は、2020年12月31日以降に新たに起業された英国の航空会社には適用されない。

 

新しい英国と米国の二国間協定も、また、英国の航空会社がEU所有であることを可能とする

移行期間が終了するまで、英国はEUとEU以外の国との間の17の航空協定の当事者でもあったため、自身の名前で二国間協定に置き換える必要がある。

これらの中で断然、最重要なのは米国である。英国と米国は2020年11月に新しい二国間協定に署名した。これは現在発効し、両国間の運輸権を保護して居る。

これは、英国の航空会社の所有要件についても同様の立場を採用して居り、EU国民が所有できるようになって居る。

 

英国の航空会社の所有の柔軟性は、主に英国航空を対象として居る

英国の航空会社の所有に関するこの柔軟性は、主にIAGが所有する英国航空を対象として居る様だ。

多国籍航空会社グループは、その子会社であるイベリア、ブエリング、エアリンガスがEUの航空会社であり続けることができるように、EUが過半数を所有する必要がある。 もしこれが、BAはもはや英国所有との資格を失うことを意味した場合、問題を引き起こしただろう。

また、EUが過半数を所有する他のグループの英国子会社は、英国の航空会社として運営を継続することが出来る。例としては、ライアンエアUK、ウイズエアUK、イージージェットのUK子会社(親グループeasyJet plcがEU航空会社になることを選択した。詳細は以下を参照)。

 

双方は、相互自由化の選択肢を検討する

EUの航空会社は英国統治となり得ないため、英国とEUの合意は、この所有問題に関しては完全に相互的ではない。

しかし、興味深いことに、この合意は、双方が所有と統治の継続的な自由化の利点を認識し、12か月以内に、またその後、いずれかの当事者がそのように要求してから12か月以内に相互自由化のオプションを評定することに同意すると述べて居る。

EUは、加盟国であった英国とともに、自由化で世界をリードして来た。これは、両当事者がこの分野の限界を押し上げ続けたいという願望を示唆して居る。

 

EUの航空会社は、EUの所有と統治を確保するための措置を講じて居る

一方、所有と統治条項の効果とは、株式を上場して居るEU航空会社に、引き続きEUの所有と統治を確保するための措置を講じることを強いることである。

ウイズエアは、非EUの株主が80%を占めて居るため、通常の株主の60%が株主総会に投票したり出席したりすることを妨げて来た。

ライアンエアは、英国の投資家を含む非EUの投資家が普通株を取得するのを阻んで居る。 非EUの既存の株主は、制限付株式として扱われる株式の売却を強制されることは無いが、会社の総会に出席、発言、または投票する権利を失う。

IAGは、株主の議決権を制限するのではなく、別のアプローチを採って居る。

エアリンガスの国内所有構造を創り、スペインの航空会社のグループのための国内所有構造を変更した。これらは、IAGに完全な経済的権利を与えながら、それぞれの国の国民の航空子会社に於ける議決権を維持することを目的とした法的構造である。

この是正計画は、スペインとアイルランドの国内規制当局によって承認された。 EUは通知を受けて居るが、少なくともEUまたは競合航空会社が反対するかも知れ無い、理論上のリスクがある。さらに、IAGの取締役会は、独立したEUの非常勤取締役の過半数を占めるように変更された。

イージージェットは、EUの所有と統治要件に引き続き準拠する事を確実にするために、一部の株式の権利を剥奪し始めて居る。 2021年1月1日の時点で、EU以外の所有は52.65%だった。議決権の停止は、「後入れ先出し」を基準として適用されて居る。

 

英国の航空会社はウェットリースの自由度が高い

英国とEUの合意が完全に相互的ではない様に見えるもう1つの分野は、ウェットリースである。協定は、英国の航空会社による、英国またはEUの運航会社からのウェットリースを許可して居るが、EUの航空会社によるウェットリースはEUの運航会社からのものでなければならない。

他のウェットリース契約は、例外的な状況、たとえば季節的な供給や運航上の問題を伴う場合にのみ、厳密に必要な期間のみ許可される。

ライアンエアUKは、最近、英国の民間航空局による方針の変更を非難し、アイルランドの親会社によるウェットリースの下で運航されて居た多くの便をキャンセルした。ライアンエアーはこれをBrexitの所為であるとしたが、新しい合意がこの状況に繋がったかどうか、またはどの様に繋がったのかは明らかでない。

 

双方は、安全とセキュリティに関し、緊密な協力を目指して居る

英国の民間航空局のウェブサイトに現在記載されているように、英国はもはや欧州連合航空安全機関を含むEUの航空機構の一部では無い。さらに、英国とEUの間には航空安全に関する包括的な二国間協定は無い。

ただし、英国とEUの貿易協定には、航空安全に関する条項が含まれており、この分野での緊密な協力を目指す事が強調されて居る。

これは、ライセンスの相互承認に基づいて居り、双方の各当事者は、他方の管轄当局によって発行されたコンプライアンスの結果と証明書を受け入れる。ただし、相手方がその義務に違反し、是正措置を講じなかった場合、協議後に受諾義務を停止することができる。

双方は、安全法および基準の変更案についてお互いに情報を提供し、他方にコメントする機会を与え、そのコメントを検討することに同意します。

双方はまた、民間航空の安全に対する脅威について他方に支援を提供し、ICAO基準に準拠することに同意する。

彼らは他の分野でも、広く現状を維持して居る…

 

現状に近いものを維持することを目的として居ると思われるその他の例には、次の様なものがある。

 

空港発着枠の透明で差別のない割り当て。インフラ利用料金の差別のない適用。これはコストに関連して居なければならない。航空管制サービスに関する協力。相手国の領土内での航空会社による独自処理の許可。

 

…そして「高レベルの消費者保護」を目指す

「高水準の消費者保護」とその効果への協力を達成するという共通の目的もある。

これを裏付ける詳細については僅かしか無いが、障害者への支援、搭乗拒否、キャンセル、遅延の場合の払い戻しと補償を含む措置への言及がある。

英国の航空会社がもはや拘束されなくなる、乗客補償に関するEU261の必要条項から抜け出そうとして居ることを期待して欲しい。

これが起こった場合、EUの航空会社は、共通の目的から逸脱して居ると主張し、不当だと非難するだろうと予想して欲しい。

航空業界に対するBrexitの規制の影響は最小限だが、投資家へのアピールは減少した

このような状況下で、英国とEUの貿易協定の航空部門は、可能な限り多くの自由化を維持する上でかなり良い仕事をして居る。

英国の航空会社がEUに所有されることを許すことにより、ほぼ全ての運輸権が維持され、安全基準の相互承認は、この分野の規制が分離してしまうのを、円滑にするのに役立って居る。

ただし、一部のEU航空会社が、非EUの株主の権利を剥奪したり、ブロックする必要があることは、所有と統治に関する完全な相互関係が欠如して居るによる不幸な悪影響である。航空業界が資本へのアクセスを制限する余裕がないときに、これらの企業の株式を保有する投資家にとっての魅力を減じて居る。

更に、安全基準の相互承認の耐久性は、まだ時間を掛けて試されて居ない。消費者保護へのアプローチと同様に、将来的には逸脱する余地がある。これは、両当事者の協力への約束の固さを試す事になるかも知れない。

重要なことに、双方は、理論的には英国とEU間の航空便が地上に止まってしまう事につながる可能性のあった、航空運輸権の停止という崖っぷちのシナリオを悠々と回避した。

更に、彼らはまた、航空会社と乗客が、少なくとも規制の面で、Brexitの結果としての航空便の運航が何か変わったのか、殆ど気付かないことを確実にして居る。

Brexit and aviation: all's well that ends. Well, almost…

 

 

 

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