「CAPA北アジアLCCサミット2017」開催

「CAPA北アジアLCCサミット2017」開催

 

                                              2017年7月30日

                                              主席研究員 新井 俊郎

 

豪州の航空関連シンクタンクであるCAPA - Centre for Aviationによる航空業界の国際会議

「CAPA LCCs in North Asia Summit 2017」が2017年6月13日と14日、関西空港のホテル日航で開かれた。

昨年初めて成田で開かれたこの会議も、一年で大きく変化した業界の様相を反映して、更に活発なものとなった。LCCと言う名前もその実績も世界中でそして北アジアでも大きく拡大して居る。

この歴史的な背景もあって、CAPAの、LCCに絞った航空サミットはアジアを中心に世界各地から多くの参加者を集め、盛況のうちに開催された。

 

主催者であるCAPAは、1990年創設の、世界的な調査研究、市場分析、データ情報提供の企業である。航空界の独立した市場情報収集、分析、報告そしてデータ提供を行い、世界規模の航空業界の動きを毎日つかんで、発信して居る。また、CAPAが、企業幹部レベルを集めて世界の主要都市で開催する国際会議は世界の民間航空業界の利害関係者を惹きつけて居る。 

 

 

CAPA最高業務責任者スティーブン・ピアスの開会に続き、今回のスポンサーとなった関西エアポート株式会社 山谷佳之社長、エマニュエル・ムノント副社長の歓迎挨拶で始まった会議は、約400人の参加者を集めた。そのうち外国からの参加者が約4割。後出の会議日程表をご覧いただけばお判りの様に、多岐にわたる議論が行われた。

 

【第1日目】


第1日目最初の討議は「LCCは空港に何を望むのか」、関西空港、成田空港とピーチアビエーション、香港エクスプレス、チェジュエアのトップが主張を語る。

第1日目最初の討議は「LCCは空港に何を望むのか」、
関西空港、成田空港とピーチアビエーション、香港エクスプレス、チェジュエアのトップが主張を語る。

 


各国から、航空に関わる、多くの業種の出席者が熱心に聞き入る。
同時進行で参加者の意見を尋ねる。参加者はモバイル機器からオンライン投票。

 

次のパネル討議は、「日本のLCCー多すぎるエアライン、統合の時か?」
ジェットスター、ピーチ、バニラの幹部が討議。

 


続いて「日本の空港民営化は進んでいるか?」
福岡、関西、仙台各空港の状況を中心に国交省、関経連からのパネリストを交えて討議。会場から
鋭い質問も飛ぶ。

 

 

次のパネル討議「中国のLCCの展望は?」
9エア、エアアジアグループ、ラッキーエア、
春秋航空の
トップ達が語る。

 

続いて「韓国は?」
イースタージェット、ジンエア、Tウエイの首脳が現状、未来を語る。

 

 


違った観点からの討議「LCCのコモディティ化(安物化)を防ぐテクノロジーがある。」
テクノロジーの進歩はどの様に旅を変えるか。ブッキング.com、インマルサット、OAG、SITA、

トラベルポート、ユニシスからの主張。 

 

第1日目最後は「航空を売る。席だけでなく」
 空港の地域住民たちは安い運賃は歓迎だが、騒音、夜間便はゴメンだ。コネも予算も無いLCCが彼らの支援を得る事は出来ないのか?LCCの知恵は?セントレア、オスロ両空港と香港エクスプレス、ピーチの幹部が現状と将来の可能性を探る。

 

第1日目の討議を終え、関西エアポート(株)がスポンサーとなったガラ・ディナーは、参加者全員を、関空からバスで40分の大阪南港に運び、神戸から回航したルミナス号で、ディナークルーズと言う趣向。



夕暮れの大阪の市街を海から眺め、楽しい会合となったと好評。オープニングはチンドン屋さん、関西エアポート社員たちの浴衣がけのおもてなしも好評。関空を抱える地元自治体の首長で作る泉州市町関空推進協議会の市長さん達が、「関空をよろしゅうに」と歓迎挨拶。

 

[2日目]

2日目最初のパネル討議は「協力関係の課題」
香港エクスプレス(U-Flyアライアンス)、バニラ、ベトジェット、
春秋がLCC/FSCなど業界の協力関係の可能性を語る。

 


次いで「保有機の選択ーLCCにとっての選択肢は?」  
ボーイング、エアバスとリース会社、エアライン機材担当が討議。

 

また「日本のハイブリッドエアラインの状況は?」 
 スカイマーク、アイベックスそして仙台、北九州空港、南海電鉄幹部が討議。

 


そして、クロージング。関西空港が開港以来の賑わいを見せる、膨大な旅客の動き。そして多くの新たなLCCが生まれるなど時代は動いている。アジアいや世界の航空界のこれからに目が離せない。

 

2日目ランチのホストとしての挨拶で、ピーチの4期連続黒字決算を報告する井上社長

 

次回の「北アジアLCCサミット」は2018年6月12日〜13日、ソウルにて開催を発表する

 

韓国空港公社 成 日煥(ソン・イルファン)社長

 


会議後の関空第2(LCC)ターミナル見学会では、新国際線ロビー、スマートレーンなどの説明があり、新規乗り入れ用にまだまだ充分なスペースがあるとのこと。新施設オープンと共に設置された「ガチャ」が話題を呼んで居た。(下は国内線搭乗ゲート)

 

 

 

 

 

左:CAPAのスティーブン・ピアスと筆者

 

 

CAPA最高業務責任者のスティーブン・ピアスは、昨年3月に創業者ピーター・ハービソンに業務刷新のためヘッドハントされた。前歴としては、英国のユナイテッド航空に入社、スターアライアンス立ち上げ、豪州に転勤してユナイテッドの9/11後の立て直しを行い、その後エミレーツに移り豪州乗り入れを果たし、次いでコンサルタントなどを経験して居る。

 


 

また、CAPAでは、年内には以下のサミットを計画している。

CAPA 豪州太平洋航空&業務渡航サミット(8月1日〜2日シドニー)

CAPA-ACTE 世界サミット (10月11日〜13日ロンドン)

CAPA アジア航空サミット (11月7日〜8日シンガポール)

 

 

 

「CAPA北アジアLCCサミット2017」会議日程表

第1日:2017年6月13日(火)

09:00

議長開会挨拶 CAPA:最高業務責任者スティーブン・ピアス

09:05

歓迎挨拶

関西エアポート株式会社: 社長&CEO山谷佳之、

             副社長&Co-CEOエマヌエル・ムノント

09:15

・会議のテーマ「LCCモデルは明らかだが、市場では複雑化、競合、相互関連が進む:この地域のLCCの行く手に待つのは何か?」

・CAPAによる市場展望 CAPA:最高業務責任者スティーブン・ピアス、                                 [→資料]

 CAPA:上級アナリストウイル・ホートン[→資料]

09:35

基調討議:「LCCは空港に何を望むか?」

司会CAPAスティーブン・ピアス   

   香港エクスプレス:戦略&規制関連業務本部長フィリップ・ハーバート、

   チェジュ航空:CEOケン・チェ、

   関西エアポート:Co-CEOエマヌエル・ムノント、

   成田国際空港(株):副社長 長田太、

   ピーチアビエーション:副社長ホセ・オイエール、

   ブリティッシュコロンビア大学教授:テ・フン・ウム

10:45

パネル討議:日本のLCC-多過ぎるエアライン、統合の時か?

司会東工大准教授花岡伸也[→資料]

        ジェットスター・ジャパン:会長片岡優[→資料]

    関西エアポート:副社長グレゴリー・ジャメ

    ピーチ:COO森健明 [→資料]

    バニラエア:副社長山室美緒子 [→資料]

11:25

パネル討議 「日本の空港民営化」 

司会 ACIアジア太平洋地区支社長パッティ・チョー [→資料]

   福岡県庁:空港計画局総務部長 橋本雅紀

   IATAアジア太平洋地区:部長 ヴィヌープ・ゴール

   関西エアポート:社長 山谷佳之

   関西経営者連合国土広域基盤委員会:関空担当委員長 山中諄

   国土交通省:大臣官房審議官(航空・国際)松本大樹

       仙台国際空港:CCO岡崎克彦

12:10

パネル討議「中国のLCCの展望は?』

司会マッキンゼー共同経営者スティーブ・サクソン[→資料]

   9エア:マーケティング&販売、エアライン路線網担当役員:ジャンミンシュー

   エアアジアグループ:中国北アジア社長キャスリーン・タン

   ラッキーエア:CFOジャウエン・フー

   MIT SCALE NSCIIC:取締役シャオシュアン・リュー教授

   春秋航空:副社長 ジョナサン・ハット

13:50

パネル討議「韓国」

司会エンブリーリドル航空大学アジア校:助教授ジュン・リー      

        イースタージェット:CEOジョングー・チェ

         ジンエア:副社長クワン・リー

    Tウエイエア:副社長ヒュンイー・キム

14.30

パネル討議「一席はただの一席では無い:LCCの業務渡航需要獲得競争」

司会CAPAスティーブン・ピアス   

        エアアジアX:ベンヤミン・イスマイル

    アマデウス:アジア太平洋、エアライングループ責任者シリル・テタズ

    香港エクスプレス:戦略&規制担当取締役フィリップ・ハーバート

15:45

パネル討議「LCCの安物化を防ぐ科学技術を携えて」

司会ウエブイントラベル創始者編集者 シューフーンヨー

   ブッキング.com:取締役戦略提携アジア太平洋 デビッド・ペラー

   インマルサットエービエーション:副社長アジア太平洋オットー・ガーギー

   OAG:販売部長アジア太平洋マユール(MAC)・パーテル

   SITAアジア太平洋:副社長 クリス・アイテ

   トラベルポート:営業担当専務クリスラム

   ユニシス:世界戦略エアライン旅客ビジネス ダルコ・トドロビッチ

16:30

パネル討議「航空を売る-座席だけでなく」

司会CAPA上級アナリスト ウイル・ホートン

   中部国際空港(株):社長 友添雅直

   クランフィールド大学:航空交通経済学准教授 三好千景博士

   香港エクスプレス:戦略&規制担当取締役フィリップ・ハーバート

   オスロ空港アヴィノール:取締役アジア路線開発ウルフ・エルバーク

   ピーチアビエーション:執行役員営業統括本部長 森井理博

 

 

第2日:2017年6月14日(水)

09:25

議長歓迎挨拶

09:25

パネル討議「協力関係の課題」 

司会 CAPA スティーブン・ピアス

    香港エクスプレス/U-Flyアライアンス:戦略&規制担当取締役

                    フィリップ・ハーバート

    バニラエア:取締役副社長 山室美緒子

    ベトジェット:取締役クオン・チュー

    春秋航空:副社長 ジョナサン・ハット

10:15

パネル討議「保有機の選択-LCCにとっての選択肢は?」

司会CAPAウイル・ホートン

    エアバス:副社長日本地区ジャンピエール・スタインナック

    BOCアアビエーション:戦略&市場調査責任者ピーター・ネグライン

    ボーイング:日本マーケティング部長 小島幸雄

    クランフィールド大学:航空交通経済学准教授 三好千景博士

    ジェジュエア:ビジネス展開保有機計画責任者 ヒュック・パーク

11:30

パネル討議「日本のハイブリッド各社ニッチを見出す-地域の価値創造者」

司会インターモーダルCOO 武藤康史 [→資料]

    アイベックス航空:社長 浅井孝雄男

    北九州エアターミナル:社長&CEO 片山憲一

     南海電鉄:取締役 住田弘之

     仙台国際空港:取締役社長 岩井 卓也[→資料]

     スカイマーク航空:代表取締役社長 市江正彦 [→資料]

12:15

パネル討議「終わりに」

司会CAPAスティーブン・ピアス

   エンブリーリドル航空大学アジア校:助教授ジュン・リー

   インターモーダル:COO 武藤康史

   関西エアポート:専務執行役員グレゴリー・ジャメ

   東京工業大学:准教授 花岡伸也

14:30

関西空港 新LCCターミナル見学会

 

 

私ども航空経営研究所(JAMR)はCAPAの日本総代理店です。

       CAPA会員へのお申し込みは、お気軽にご相談ください。

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