2025.8.14.

スカイマークの2025年度Q1決算概説

  この度公表されたスカイマーク(SKY)の2025年度Q1決算について概説します。

 

  収入単価UPで収益性改善を企図したが、搭乗率下落で黒字化に至らず。

 

 

 

 

1. 収支状況

   

   ・収益性は若干改善したものの営業損益は依然赤字の▲16億円。

・営業外要素で、為替差額が前年の+11億円から当年▲11億円に。

・これにより経常損益、当期純損益ともに前年より悪化した。

   (但し為替差額は主に外貨資産の評価から発生しており、レートの変化によって
は変動するため、この影響が下期まで継続するとは限らない。)

  

 

2. 収益性が振るわない理由(推定)

 

       理由は割合分かり易そうだ。

 

(かつては)

 ・効率の良いB737-800型を多席の177席で運用、シンプルな事業モデルで

  コスト効率よく、他社に比べてかなり低コスト。

・それを武器とした柔軟な低運賃で多くの旅客を積みとって高い搭乗率を達成。

  これにより高収益。

 

(現状=Q1も同理由と考えられる)

  ・コスト高騰により収益性悪化 ⇒これをカバーすべく収入単価UPを図る

         ⇒旅客減により搭乗率低下;運賃UPによる増収が旅客減で相殺され、結果的に

     収益性は余り改善されず赤字のままとなっている。

 

(数値で解説すると)

  ・旅客単価は+8%上昇し、座席コストは▲2%低下

   これにより採算ライン(B/E)は87⤵79%と低下(改善)した。

   しかしながら搭乗率も80⤵74%と下がってしまった。

  ・結果的に1便当りの費用178万円に対し、収入は前年なみの166万円にとどまり、

   赤字傾向は余り変わらなかった。

 

 ・今後に向けてのポイントは;

  改善された収入単価の維持と、搭乗率の従前レベルへの回復ということになろう。

     大きい伸びは期待しがたいであろう限られた国内線需要下、各社工夫を凝らしての競争環境の

     中で、それは易しいとは言えないであろう。

 

     なおSKYは今後中期的にB737MAXを導入する予定であり、燃油効率や多席数に

     よるコスト低減で、収益性の向上を狙っている。

 

 

(Y.A)