2025.5.06.
両社の公表資料をもとに、若干の分析と考察を加えました。
(注)両社の決算基準は異なるので厳密な比較とはなりません。
1. JAL/ANAの損益比較
両社高収益達成も、JALは若干増益、ANAは若干減益
(JAL)営業収益の伸びは+12%、営業費用は+11%。
これにより増益となり営業利益率は前年比若干UPの9.1%。
営業利益は277億円増加して1686億円であった。
(ANA)営業収益の増率は+10%。
費用は+12%と収益増を上回った。
2. ANAのエンジン整備に係る費用と収入
ANAはA320neo/A321neoのP&W製エンジンとB787のロールスロイス製エンジンに不都合を抱えており、
これへの対応もあって多額の整備費を要している。
他方補償金(営業外収益)を得ている。
3. 2025年度予想
(JAL)営業収益は2024比+7%の伸びを予想しており、
財務・法人所得税前利益は275億円増の2000億円を見込んでいる。
(ANA)+5%の営業収益増で、経常利益は▲251億円減益の1750億円を
見込んでいる。
なおエンジン整備のための機材稼動低下の損益への影響は▲150~▲200億円と
している。
4. 営業収益の内訳
(国際旅客)JALは前年比+12%増、ANAは+11%増。
(国内旅客)JALの+4%に対し、ANAは+9%と大きい。
(LCC)JALはZIPAIRとSpring-Jの増加で、前年比1.39倍。
国内線はSpring-Jの規模減。
その他収入は貨物スペースやヤマト貨物機の運航受託による収入と思われる。
ANAはPeachが前年比+1%, Air Japanが1→2機へと拡大。
5. 旅客・貨物指標
(国際旅客)JALは+6%の供給増(座席㌔)に対し、+13%の需要増(旅客㌔)。
搭乗率は79→84%と大幅UP。
ANAは+8+%の供給増に対し、+11%の需要増。
(国内旅客)両社、旅客㌔増(JAL+3%,+9%)がほぼそのまま収入増に繋がった。
搭乗率はJALが+3ポイントUPして79%に、ANAは+5ポイントUPして75%となった。
(国際貨物)両社ともに+20%の増収。
JALは物量増と単価UPにより、ANAは主に単価UPの効果が大きかった。
ANAの単価の高さは、貨物専用機の効果によるものと考えられる。
6. 航空機の比較
(JAL)新鋭大型機A350を積極的に導入、B787も合わせて国際長距離便を運営。
リージョナル機のE170は子会社のJ-Airが運航を担っている。
ターボプロップ機は地域運航の子会社が使用している。
貨物機にはヤマト運輸の運航受託(Spring-Jが担当)3機のA321Fを含む。
なお今後A321neoを新たに導入して国内線の小型化と収益性UPを図る。
(ANA)超大型機A380の3機は主にハワイ線用。
B777の新機材20機を発注済みだが、開発遅れで導入の見通しはたっていない。
国際線長距離線の拡大は主にB787の導入増で担っていく。
B737とDHCは子会社のANAウイングスが運航を担っている。
ANAは現在リージョナル機は保有していないが、今後はE190を導入、国内線の
小型化と収益力UPを図る。
なお日本貨物航空(ジャンンボフレイター8機)を日本郵船から買収することが
決まっているが、現在中国当局の審査待ちの状態(日本の公取委はパス済み)。
これにより貨物機の規模は倍増する。
(Y.A)