2025.5.30.
この度公表されたソラシドエア(SNA)とAir Do(ADO)および両社の共同持ち株会社
であるリージョナルプラスウイングス(RPW)の決算資料をもとに、若干の推算も加え、簡単に
分析を行いました。
円安により両社減益、繰延税金資産の一部取崩しでソラシドの最終損益は赤字に。
1. 収支状況
SNA/ADOともに円安の影響(コストに外貨要素が多い)や物価高等により、費用が 収入増を
上回り、減益となった。
また繰延税金資産の一部取崩し(将来利益の見直しによる税繰延効果規模の縮小)を
行ったことにより、SNAについては最終損益が赤字となった。
両社ともに収入にはANAへの座席販売(コードシェア)収入を含んでいる。
SNA;増収+4%、費用増+6%で、営業損益は半減して9億円。
最終損益は▲24億円の赤字となった。
ADO;増収+3%、費用増+4%で、営業損益は若干減の33億円。
最終利益は-10億円減の24億円。
リージョナルプラスウイングス(共同持ち株会社);
両社の合計値に、持ち株会社のコストを差し引いて、
営業損益は19億円、最終損益は▲5億円の赤字となった。
2. 輸送実績等
SNA/ADOともに、機材数は前年と変化なく、便数は微減。
一方旅客数は伸び、搭乗率は大きく向上した。
SNA;便数▲1%、席数▲2% →ANAへの販売割合増と推定。
旅客数+7%で、搭乗率は大幅UPして75%に。
ADO;便数▲1%、席数+1% →ANAへの販売割合減と推定。
旅客数+4%で、搭乗率はUPして83%のLCC並みの高レベルに。
ANAに販売している座席の割合(推定)は、
SNAが約39%、ADOが約34%。
便当り平均収入は、小型機(B737-800)のSNAは180万円、
小型機(B737-700)と中型機(B767)混用のADOは226万円。
3. 2025年度業績予想
SNA;費用増+9%を増収でカバーして、営業利益は当年なみの9億円。
ADO;増収+4%と費用増+8%を下回り、営業利益は半減の16億円。
リージョナルプラスウイングス; 2社の合計値から持ち株会社コストを差引き、営業利益は19億円。
4. 財務状況
SNA;借入金が96億円増 →有形固定資産増29億円等に充てたほか61億円が手元資金増に。
ADO;借入金が15億円増 →リース債務や未払金の精算等に充てた金額が多く、
手元資金は▲66億円の減。
利益剰余金は、SNAが大幅減の▲10億円に、ADOは増加して99億円に。
RPW;SNA/ADO2社の単純合計値と比べて、のれん等の無形固定資産と
「資本剰余金+利益剰余金が」ほぼ見合う形になっている。
(共同持ち株会社の設立時点での処理によるもとの考えられる。)
(Y.A)