2023.7.13.
Peach収入規模拡大、ZIPAIR黒字化、Spring-Japan依然大幅赤字
この度公開された資料をもとに、国内3LCC、即ちPeach Aviation(ANA子会社)、ZIPAIR TOKYO、Spring-Japan(以上JAL子会社)の2022年度決算を概括しました。
1.Peach Aviation;収入前年比2.3倍、▲150億円の営業損失
① 収支状況;
収入906億円で、営業損益は▲150億円の赤字であった。
営業費用は供給規模増を反映して前年比1.3倍、収入は客況回復から2.3倍であった。
なお前年に繰延税金資産計上(将来黒字による税金負担の軽減見込額)を償却したようである。
② 財務状況;
前年に、累損の一部を資本剰余金(149億円)で圧縮、それに新たな損失(▲125億円)が加わって、利益剰余金は▲880億円となっている。
なお、固定資産が258→93億円と大幅に減少。固定負債も減って、流動負債と引当金に置き換わる形となっている。
その理由は詳しくはわからないが、機材を自社保有からオペレーティングリースに切替えたような数値となっている。
2.ZIPAIR TOKYO; 28億円の営業利益
① 収支状況;
収入317億円で、営業損益は28億円の黒字であった。
うちJALへの貨物スペース賃貸収入が86億円あり、収益性に大きく効いている。
② 財務状況;
旅客から得た前受金(契約負債)が、現預金増とJALへの短期貸付金で保有されているようである。
一方有形固定資産がほぼゼロで、引当金も見当たらないことから、機材は全てJALからのオペレーティングリースで賄われ、整備費用等も発生ベースで支払っているものと思われる。いわば企業内の1事業部のような運営と思われる。
前年までの累損を資本剰余金で一掃したことにより、今期の純利益がそのまま利益剰余金となっている。
なお繰延税金資産の計上によっても累損の額が圧縮されている。
3.Spring-Japan; 当期純損失は▲47億円(推定)。
損益計算書が未公表のため詳しい収支はわからないが、純資産の前年からの変化をみると、当期は▲47億円の赤字であった。
それが資金の流出に直結したようで、その分(多分対JALの)借入金と未払債務が増えている。
契約負債(旅客収入の前受け)の額が小さいことから、収入規模が小さいことが伺え、赤字率としては相当高く、事業規模から考えて累損も大といえよう。
有形固定資産の額が0であることから、全機オペレーティングリースで、ZIPAIRと似たような扱いではないかと思われる。
以上(Y.A)