「JAMR研究員による2017年頭の小論文・随筆など」

ここもパワースポットかも?

 

 

 201719

 

主席研究員 森﨑 和則

 

 

 

 Tobi-Fudo知ってる?」、台湾の航空会社でパイロットをやっている友人から、こんなタイトルのメールが突然送られてきました。何を言っているのかと思いながら、メールの内容を読み進めると、「Tobi-Fudo」とは東京にある「飛不動」と言われるお寺のこと。

 

彼は、その「飛不動」で販売している千社札風のスティッカーをフライト・バッグに貼るのがパイロット仲間で流行っているので、私にそのスティッカーを買い求めて欲しいという内容。頼まれると断れない性格の私は、ネットの情報を頼りに足を運んでみました。

(質素な造りの本堂)

 既にご存じの方も多いかと思いますが、「飛不動」を簡単に紹介しましょう。場所は台東区の浅草と三ノ輪の中間にあり、寺号を龍光山 三高寺 正寶院、ご本尊を飛不動明王とする天台宗のお寺です。飛不動尊の由来はパンフレットによると、1530年の創建後まもなく、住職がご本尊を背負って修行に出たある日、ご本尊が留守中の江戸のお寺に人々が集まり、一心にお不動様に祈願をして江戸に飛び帰って、人々の願をかなえたとのことです。1700年代には既に飛不動尊と呼ばれていたようですが、「空を飛び来て衆生を守りたもうお不動様…飛不動尊」となったとか。

 

 近代に入って、航空機と空飛ぶお不動様が結びつき、航空関連の仕事に携わる人たちや、

海外旅行をはじめ海外転勤など飛行機を利用する人まで、航空安全や道中安泰を願う参拝者が訪れています。境内の絵馬かけ所には「海外旅行に行く友人の無事を祈っています」、「航空管制官試験合格報告」の他に「パイロットになれますように」や「CA受験合格祈願」などの絵馬が多くかけられています。更には明らかに外国人の人たちが書いた絵馬もチラホラと見られます

(日本語の他に英語で書かれた絵馬が)

 全国に航空に纏わる神社仏閣がありますが、前述の通り台湾からのメールがなければ

 

ここを知ることはなかったでしょう。昨年の訪日外国人数が2400万人を記録しそうだとのニュースもありましたが、ひと頃の爆買いブームが落ち着いて、リピーターを中心に私たち日本人が考えもしない所を訪問する人たちが増えているようです。もしかすると航空関係者を中心のパワースポットとして国籍を超えて訪れる人が増えるかもしれませんね。

(友人が欲しがったスティッカー) 

(絵馬の中央にはジャンボらしき飛行機が
飛んでいる)


 

(飛不動:東京都台東区竜泉3丁目1111号 http://tobifudo.jp )

 

 

 *本原稿は、筆者が一般社団法人日本ビジネス航空協会の会報に寄稿したものを書き換えたものです。

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)