「JAMR研究員による2015年頭の小論文・随筆など」

 

  「2014年度も航空業界は大量採用」 

  「JAL/ANA客室乗務員採用の特徴」(誰もがCAになれる時代)


  に続き、ご好評にお応えして航空業界採用関連シリーズ第3弾です。

 

 


就活の錯覚

(航空会社/客室乗務員・グランドスタッフの新卒採用を前提に)

 

 

                                                                                        主席研究員 光岡寿之

 

 

今年から新卒学生の就職解禁が3ケ月後ろ倒しとなり、3月から企業説明会が始まります。

年も明け、いよいよ就活本番です。

本年度の航空業界の採用を予測すると、経営危機に陥っているスカイマークを除き、今年もANAJALの大手2社を中心に前年以上の大量採用が見込まれます。因みに昨年度の航空業界の新卒・既卒を合わせた採用数は、客室乗務員(以下、CA)採用で約1200名、グランドスタッフ(以下、GS)で約800名、合計約2000名という過去にない大量採用でした。

今や誰もが真剣に頑張ればCAGSに手の届く時代になりました。 が、油断は大敵です。

 

私は、過去大手航空会社で採用を6年間担当、今も大学や専門学校で就職指導を行っています。そこで、今日は皆さんが陥りやすい“就活の錯覚”についてお話しましょう。

 

錯覚1 : 「志望理由には、CAGSになりたい理由だけを書けばよい」

 

多くの学生が志望理由に、「幼い頃、初めて貴社の飛行機に乗った時、CA(GS)から優しくお世話を受け感激した、私もそのようなCA(GS)になり良いサービスをしたい」と書きます。

これでは、この志願書をどこの航空会社/旅客サービス会社に持って行っても同じです、全く志望理由になっていません。CAGSの職種に応募するのではありません(本当はそうかも知れませんが、)。CAGSになる前に、○○航空会社・△△旅客サービス会社に応募している点を忘れてはいけません。

即ち、志望理由には、○○航空会社・△△旅客サービス会社に入社したい理由と、その上でその会社のCAGSになりたい理由を書く・・・の両方が必要です。

更に、上の志望理由の例では、応募のきっかけの説明であって志望理由としては未熟です、憧れを超えてCAGSになりたい具体的・積極的な理由とその会社にどう貢献できるかを書く必要があります。

 

錯覚2 : 「エントリーシート(志願書)には、他の受験生が書かないような独創的な内容を書き、自分の印象を強く残したい」

 

 1次面接は時間が短いため、面接官はエントリーシート(志願書)に書かれた内容から質問することが多く、目立ちたいために中身のあまり無い奇抜な内容を書いた場合、逆に質問されて答えられず失敗してしまいます。どんな質問にも自信をもって答えられること、面接で聞いて欲しいことこそ、エントリシート(志願書)に書くべきです。それが平凡な「勉強、サークル、アルバイト」の内容であっても、それが深みのある内容でありさえすれば、目立ち輝くのです。

 

錯覚3 : 「面接では、受験している航空会社に評価されるような模範的な回答をしたい」

 

面接官が究極的に見ているのは、「その受験生から、将来、部下に出来る安心感と信頼性を感じることが出来るか否か」です。

本当の自分を見せない優等生的回答では合否の判断ができません、そして、分からない場合、面接官は時間切れで不合格とするしかないのです。

面接は、会話を通しての“お見合い”です、お互いが相性を見ているのです。そのためには、普段の自分らしさ、自然体で臨むことが重要です。聞かれたことに正面から素直に短く返事するだけで良いのです。

また面接室に入室して礼をする際、特にCAの面接で、手をみぞおちの辺りまで極端に持ち上げ大袈裟に礼をする学生がいます、本人はCAらしい挨拶と思っているようですが、面接官は反対に、学生らしいフレッシュさが感じられないと思っています。手は、下げた位置で自然に前に組む、その高さが綺麗で十分です。

 

錯覚4 : 「面接では、あらゆる機会を捉え、自己PRをしたい」

 

面接官の質問にまっすぐ答えず、自分が用意してきた自己PRを長々とする学生がいます。

長い返答をされると、時間が短い1次面接では時間がなくなり、面接官はますます学生の本質を把握することができません、更に聞かされている面接官はイライラして心証を悪くするだけです。

昨今、「グループ討議」が急増しているのは、上記“錯覚3及び4”の弊害の対策として、準備のできないテーマで討議させることにより、各々の受験生の行動や発言から、普段の姿/真実の姿を見ようとしているからです。

 

錯覚5 : 「英語力は、航空会社採用では最も大事な評価能力の一つである」

 

 訪日外国人が1000万人を超える現在、国内線航空会社も含め世界共通語である英語力が航空業界において重要であることはその通りです。また中国語・韓国語もアドバンテージです。

しかしそれ以上に大事なことは、「日本語能力と日本の教養・常識」です。日本の航空会社のお客様の大半は日本人であり、外国の航空会社に乗務する日本人CAはその飛行機に乗っている日本人旅客のための日本語要員だからです。敬語など美しい日本語を大切にしましょう。

また世界の政治・経済・社会の動きは大きく航空業界に影響を与えます。そのためにも普段から新聞やTVのニュースを見て教養・常識を高めることも大事です。因みに、次のオリンピックはどこの都市ですか? 今日の円とドルの為替レートはいくらですか?

 

錯覚6 : 「受験している航空会社への熱意を示すため、他社を受験していることは言いたくな

い」

 受験している会社が同業他社の受験状況を聞くのは、両方に合格した場合、何人が他社に抜けるかの人数の予測を立てるためです、それによって、最終合格数を水増しするためです。

 ライバル会社を受験しているからといって不合格とすることはありません、逆に、「御社しか受験していません」と言われたら、「ウソをついている」、「視野が狭い」、「こんなストーカーは絶対取らないぞ」・・・と面接官は思います。

 

そして、“最大の就活の錯覚”は、

皆さんが大学で就職部の就職セミナーを受けたり、学外講師の「航空会社受験のための傾向と対策」などの講義を受けたりすると、何だか受験準備ができたと思ってしまうことです。

実は、就職部や学外講師が教えてくれているのは、全て「失敗しないため、減点を受けないため」の内容だけなのです。私がここに書いた「錯覚」も同じです。

例えば、  ・志願書は読みやすく丁寧に書きましょう  

・面接ではいつも笑顔で 

確かに、これらができなければ減点されますが、採用合否の本質である「貴方の個性と人柄とその評価」から見れば枝葉末節です。

 

そして、この「貴方の個性と人柄」につながるアドバンテージ・加点は誰も教えることはできません。これは、言い換えれば、周囲の知らない貴方の生きてきた20年の人生の集大成であり、「貴方の素晴らしい個性と人柄」をどう選考の中でどう表現するか・・・これだけは自分自身で作るしかありません。是非、周辺の減点項目の勉強と共に、この「アドバンテージのある自分の個性の表現」に力を注いでください。

 

最後に、就活を心理的に楽に過すためのポイントをお話して、お開きにしましょう。

1.    仮に、テニスの7セットマッチの試合では4セット勝たないと勝利できませんが、就活は

100敗しても1勝すれば勝利です、1回勝てば良いだけです。

そのためには、年度末まで粘り強く出来るだけ多くの会社を受験することが重要です。

2.    仮に、日本の会社を受験するのなら、面接は怖いことはありません。

面接は会話ですから、聞かれたことに返事をすれば良いだけです、しかも生まれてからず

っと使っている日本語で答えるだけです。

 

航空業界は今年も大量採用です。是非、頑張ってCAGSになる夢を実現してください。

次は、空港で機内でお会いしましょう。                              

 

以上

海外事情

毎日、外国の旅行流通ニュースを読んでいると、トラベルテックの急速な変化 に驚かせられると同時に、それが達成する能力や機能のレベルの高さにワクワ クする高揚感を禁じ得ない。 OTA の市場における勢力が勢いを増し始めた 2010 年頃に、伝統的オフライン の旅行会社は無くなってしまうと喧伝されたが、それから20 年近くたった今で もそうなっていない。TTA のヒューマンタッチのサービスは、オンライン専業 のOTA には真似られないというのがその理由だ。しかし近のトラベルテック の凄まじい進化と発展を見ると、この理由は根拠を失いつつあるようだ。旅行 ではパーソナルなエクスペリエンスを提供できた者が勝利者となる。AI(人工 知能)を駆使してビッグデータを分析すれば、パーソナルなエクスペリエンス の提供が可能なると想像するのは間違いではないかもしれない。 すでに、「もの」の世界で Amazon がこれを実現して大きな成功を収めている。 「こと」の世界でも同じようなことが起きるだろう。事実、旅行者のポケット に収まる24/7のパーソナルアシスタントが実用化し始めている。こんなことを、 「12. ホスピタリティー教祖Dave Berks とのQ&A」を読んで考えた。(編集人)