「JAMR研究員による2015年頭の小論文・随筆など」

事務局長 紀 和夫

 

今回も業界用語の話です。

電話で人の名前やキーワードを伝えるとき、「間違えないように」普通は、気を遣いますよね。自分の伝えたいことは正しく伝えなきゃいけません。航空会社の場合、それはそれは気を遣います。お客様の氏名を間違えることは大変失礼だし、航空管制とのやり取りの場合、事故に繋がる恐れすらありますから。

航空会社に限らず、コミユニケーションの重要さに対する感受性が乏しい人は社会での成功は覚束ないと言っていいでしょう。

航空会社ではアルファベットを電話で伝えるとき、言い間違え、聞き間違えがないように

Aは「エー」と言わずに「アルファー」と言い、Bのことは「ビー」ではなく「ブラボー」と言います。この「アルファー」「ブラボー」などという言い方は航空機運航の用語として世界中が同じ言い方を使うことになっているのです。正しく言うと、国際民間航空条約に基づき、法制化され使用が義務づけられているのです。航空機と管制とのやり取りや航空機同士のやり取りはもちろん、社内の運航関係の社員の間でもこの言い方を使います。

この運航用語としての言い方は航空級無線通信士資格をとるための必要知識であり、航空機の無線は聞き取りにくいという長年の状況がその背景にあると言えるでしょう。

 

ところが、です。予約関係の人々は「間違えなければよい」という考えのもとにAは「エイブル」Bは「ベイカー」・・・という言い方を使うのです。これは法的義務や資格とは何の関係もありませんから、わりと自由に作られています。航空会社によって異なっていることもあります。

ということは運航関係の人と予約関係の人が話をすると、面白いことになります。

例えば予約記録番号、例えば「KN34GTS」を伝えるとき、予約の人はこう言います。(もちろん社内での話)「ええとあなたの記録はキングナンシー数字のサン、数字のヨン、ジョージタイガーシュガーです。」「わかりました復唱しますね。ボクの記録番号はキングノーベンバー数字のサン数字のヨンゴルフ・タンゴ・シエラですね。」

ま、これでも会話は成り立っているのでしょうね。

 

ところが、ところが、です。空港のスタッフはさらに、面白い言い方をすることがあるのです。Aは「アメリカのエー」Bは「ブラジルのビー」・・・と国名を利用してコミニュケーションすることもあるので驚きです。ある意味こちらの方が分かり易いという人もいます。また、会社や土地柄の違いによって異なるという例では、ローマ空港のスタッフの使う用語ではAは「アンコーナのエー」Bは「ブリンディシュのビー」・・・全部イタリアの都市名で言い合うのです。いずれにせよ、正しく伝わればよいのですからあまり目くじら立てる必要はないのですが。

以下は参考までに運航関連の通話表(phonetic  code)です。

 

文字

使用する語

文字

使用する語

文字

使用する語

A

Alpha

M

Mike

Y

Yankee

B

Bravo

N

November

Z

Zulu

C

Charlie

O

Oscar

0

Zero

D

Delta

P

Papa

1

One

E

Echo

Q

Quebec

2

Two

F

Foxtrot

R

Romeo

3

Three

G

Golf

S

Sierra

4

Four

H

Hotel

T

Tango

5

Five

I

India

U

Uniform

6

Six

J

Juliet

V

Victor

7

Seven

K

Kilo

W

Whiskey

8

Eight

L

Lima

X

X-Ray

9

Nine

 

 

因みに予約担当者が普通使っている言い方は以下です。

A (able)  B (Baker)  C  (Charlie)  D (dog)  E (easy)  F (fox)  G(George)

H (how)  I (item)  J (Jack)  K (king)  L (love)  M (Mike)  N (Nancy)

O (Over)  P (Peter)  Q (queen)  R (Roger)  S (sugar)  T (tiger)  U (uncle)

V (victory)  W (whisky)  X (x-ray)  Y (York)  Z (zebra)

 

アメリカ、ブラジル、カナダ、デンマーク・・・・などは皆さん、考えてみてください。

物事は正確に伝えましょう。

 

以上

 

海外事情

 

Thomas Cook Groupが倒産した「3. トーマスクック倒産」。デジタル化への遅れが原因で、顧客のパッケージ離れが原因ではないとSkiftの記事「14. トーマスクック倒産後の欧州パッケージツアー」が述べている。アウトバウンド観光大国の英国とドイツでは、国際(海外)パッケージ旅行者がそれぞれ年間2,000万人存在して、国際旅行需要の40~43%を構成すると言う。観光庁統計によると2018年度の海外募集型企画旅行は191万人なのだから、日本と比べて欧州のパッケージ市場は10倍も、とてつもなく大きいことが分かる。尤も観光庁統計は、たったの50社程度の主要旅行業社の統計であり日本の市場の全体を表してはいない。その上欧州は、欧州連合域内を国内旅行とみなして把握するべきかもしれないので単順な比較は困難だ。日本の国内募集型企画旅行者は3,370万人だ。

 

規模の比較は別にして、このSkiftの記事では「OTAのダイナミックパッケージに対してパッケージの大きな利点の1つは、ツアーオペレーターがプロダクトとエクスペリエンスをエンドツーエンドでコントロールして、より高いレベルのサービスを提供できることである」と説く。そして「Ryanair会長のMichael O’Leary の発言『パッケージは終わった』は間違っている」と伝える。

 

この記事は、パッケージ離れが進んでいると言われている日本の旅行業界にとって、誠に参考になる話だ。 

 

4. DMOはグーグルに勝てるか」で登場する英DMOVisit Greenwichが、「自分たちが集めるローカルコンテンツは、Googleのお粗末な情報とは段違いだ」とえらい自信のほどを見せている。Googleより優れているとは俄かに信じがたい話ではあるが、DMOは本来、Visit Greenwichのようにならなければならないのだろう。日本では、GoogleDMOとも協力して地方の“町おこし”に積極的に取り組んでいる。

 

Visit GreenwichVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のデバイスを旅行者誘致に活用すると言っている。そういえばFacebook925日、VR端末向けの新たなSNSHorizon」を2020年に始めると正式発表した。VRARが旅行にも広く使われるようになる時代がやってくるかもしれない。そうなれば、パーソナルなエクスペリエンスの旅行の新時代となる。(編集人)

 

海外事情 中国特集

海外事情 中国特集

 

これは、PhocusWire Daily が今年の2月、中国正月である春節のタイミングで編集した4つの記事にまたがる中国特集である。中国市場は、その巨大な人口をバックに2019年に1,900万人が国際旅行すると予測している。その49%が中華圏の香港・マカオ・台湾行きの旅行で、残りの51%がその他の海外旅行となる。最近の香港の社会的混乱と台湾への個人観光旅行の実質的全面禁止により中国人の海外旅行比率はますます高まるだろう。海外旅行では、韓国への旅行が韓国THAAD配備による影響で減少を余儀なくされており、日本旅行が漁夫の利を得る形で大きく中国人の訪日需要を伸ばしている(1月〜8月前年同月比 13.6%増)。

 

中国は、巨大なアウトバウンドを外交上のカードに使い始めている。日本だって、日中関係が何らかの影響でこじれたりすれば、あっという間に中国人の日本旅行が減少することになるだろう。事実、日韓関係悪化で訪日韓国人需要は8月に48%減少した(1月〜8月前年同月比 9.3%減)。

 

訪日4,000万人への道のりは国際政治の問題も介在して厳しいものがある。

(編集人)