「JAMR研究員による2014年頭の小論文・随筆など」

 

航空会社で使う言葉あれこれ

 

                                       事務局長  紀 和夫

 

 

どの業界でも業界用語というものがあり、それぞれに面白いのですが、航空業界の用語にも面白いものがいろいろあります。少し、酒飲みながらの雑談めいたことを。

 

運行と運航

巷の記事などに多く書かれる飛行機の「運行」という言葉は航空業界人なら必ず「運航」と書きます。決して間違えません。「運行」だと何だかバスのようだね、(間違いなくバスは「運行」です。)と思ってすぐに気づくのです。勿論、船の世界から来た言葉です。航海の航ですね。航空の言葉の多くは船の世界から来ています。そのせいか、「運行」だと軽い感じがしてしまうのです。でも「太陽や星の動きは『運行』、と言うではないか」と言われればぐうの音もでませんが。

 

離発着

航空会社の人間が長い間間違って使ってきた言葉に「離発着」という言葉があります。「羽田空港における離発着回数は、、、」などとつい言ってしまいますが、これは「発着」が正しい。離陸、という言葉があるせいで、何となく離発着、と言っていたようです。語呂がよいというのも一つの理由だったのかも知れません。最近は「発着」あるいは「離着陸」に統一されたようです。

 

ポートサイドとスターボード

船の世界から来た言葉と言えば、飛行機の出入り口(タラップが着けられる側)は普通進行方向に向かって左側ですが。こちらを「ポートサイド」と言います。勿論、港に船が横付けするときには左舷を接するからです。で、右側は「スターボード」と言うんですが、これはどうもSTEER ボード(船の操縦舵)のある方から来ているらしい。スティアーボードが訛って、スターボードになったのではないか。英語の辞書にもSTEER BOARDとSTAR BOARDの二つの言葉があるようです。

 

TAXI

滑走路から枝分かれし、スポットへと導く道路を「タクシーウエイ」というのは、もう随分人口に膾炙しているようです。そのタクシーウエイを運転していくのがタクシー、またはタクシング、といいますが、パイロット達はよく冗談交じりに「空を飛ぶよりタクシングの方がむつかしいいんだぜ。」と言います。確かにあの大きな図体をした機体を間違いなくスポットに持っていくように運転していくのは難しいだろうなあ、と思います。

これはかつて新聞記者だったある人から聞いた実話なんですが、ある日、今はなきT航空会社の飛行機が誤ってタクシーウエイに着陸してしまい、動けなくなったことがあり、乗客はその場で(タラップを使ったか、避難用スライドだったかは忘れましたが、)無事降機した、という記事についてです。この記者は実際に現場を見ないで書いたのか、航空のことについてほとんど無知だったかは知りませんが、記事には「○月○時、タクシーウエイに降りてしまった飛行機から乗客○○名は無事降機した。運よくその時間帯にタクシーは一台も通らず、乗客は難を逃れることが出来た。」と書かれていたそうです。

 

航空会社によっても、、

客室乗務員のことをCA、またはCAさん、と言うことが普通になってきましたが、かつて日本航空では「客乗」あるいは「キャビンクルー」と言う言葉が最も多く使われていたようです。一方全日空では「キャビン・アテンダント」あるいは[CA]、と呼ぶことが多かったように記憶しています。そして両社とも「スチュワーデス」とは言ってなかった。スチュワーデスは客室乗務員の中の職位の一つ(一番下)だったので,客室乗務員を代表する言葉にはなりにくかったためだと思われます。勿論世間では「スチュワーデス」「スッチー」と呼ばれていましたよね。

面白いことに米系キャリアでは「フライト・アテンダント」とも言われていました。これは運航乗務員を意味する「フライト・クルー」に対しての言葉だったようです。

さて今では一般にも航空会社でも「CA」という言葉がよく使われていますが、これはもちろん、TVドラマでキムタク演ずる副操縦士が使ってから世に広まったと思えます。これはドラマ制作に協力した全日空の用語が業界と世間を席巻した例といえるでしょう。

 

まだまだ航空に関わる面白い言葉はたくさんあります。が、まあそのうちに。

 

                                                   以上

 

海外事情

海外事情 2月17日号 

気候温暖化問題に関するニュースが6つもあった。 

5. グリーン法人旅行」、「6. 航空のカーボンオフセットは有効か」、「8. クルーズの環境問題 取組み強化」、「18. ホッパーのカーボンオフセット」、「19. 飛び控え」、「1.(TJ) 法人旅行、温暖化対策に本腰」の6つだ。

 

昨年の“グレタ効果”もあって、航空機の撒き散らす炭酸ガス削減対策が今まで以上に強く求められている。航空機の排ガスは3%程度で少ないなどとは言っておられない。高高度での排ガスは、地上の計測よりも倍以上も環境に与えるインパクトは大きくなると言う。既に欧州では短距離航空便の「飛び控え」(flight less)が始まっている。IATA2037年航空旅客82億人への倍増予測も見直しを迫られるかもしれない。短距離便は自動車旅行(自動運転)へ、長距離便は電話会議やTV会議へシフトする。企業は、“カーボン予算”を新設して炭酸ガス排出量削減に神経を尖らす。航空便利用の出張旅行を削減して炭酸ガス排気量をXX kgも減少したと宣伝するだろう。 

 

18. 2020年のトラベルテック トレンド」や「30. 2020年のトラベルマーケティング」を読むと、キーワードは“モバイルと“パーソナル なトラベルエクスペリエンスにあると見た。だからマーケターたちは、ソーシャルメディアに30%近くも広告予算を割くのだろう。モバイルによって、タビマエ・タビナカ・タビアトの全ての瞬間が顧客と常時接続できるタッチポイントになってしまった。旅行者は、タビマエ・タビナカ・タビアトの全てで、パーソナルなエクスペリエンスを追求している。だから、GoogleGoogle Travelを作り「14. ブッキング、タビナカアプリをテスト」し、「26. ロンリープラネット、エクスペリエンス立上げ」ている。 

 

16. アムトラックCEOインタビュー」では、元デルタ航空CEORichard Andersonが、サービス産業の生産はマネジメントの監視下で実施されるわけではないと言っている。飛行中の航空機の客室サービスは、フライトアテンダント自らがその場その場の現場の状況に応じてサービスする(サービスを生産する)ことになる。サービスマーケティングで言う「生産と消費の同時進行性」の財だからだ。いささか古い話になるが、スカンジナビア航空CEOヤン・カールソンの「真実の瞬間」(1990)によれば、フロントラインの従業員の顧客と初めて接するたった15秒で、企業イメージや顧客満足が決められてしまう。

 

そこでSASは従業員教育を徹底、この15秒の顧客応対品質を飛躍的に向上させ、わずか1年で会社を再建させた。サービス産業のフロントラインの従業員は、会社の命運を左右するほど重要な役割と大きな責任を担っている。TUICEOが、ハイストリートの路面店のカウンターのスタッフに、「貴女達が売っているのは、TUIのパッケージ旅行ではなく、TUIの顧客が一生忘れることができないエクスペリエンスを売っているのだ」と教育したと言う話が忘れられない。(編集人)

 

 

出版物のご案内

好評発売中!

 

当研究所の丹治隆主席研究員がこの度本を出版しましたのでお知らせいたします。

 

著書名 :「どこに向かう日本の翼---LCCが救世主となるのか---

 

出版:2019/09/30 晃洋書房

定価:2600円+税 

 

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フォーカスライトJapan(代表 牛場春夫)が、「日本のオンライン旅行市場 第4版」(全14章、220ページ)

を発行します。これは、2012年から2年おきに発行しているシリーズの最新版で、第4版ではダイナミックに変化し続けている2017年度の日本のオンライン旅行市場の概況をレポートしたものです。 

 

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