「JAMR研究員による2014年頭の小論文・随筆など」

 

羽田空港国際線発着枠と旅客取扱施設利用料

 

副所長 牛場春夫

 

 

【発着枠】

 

102日、国交省は、2014年夏ダイヤから増加する羽田空港の国際線昼間帯発着枠年3万回(1日あたり40便相当)を内外の航空会社各社に配分した。全日空に111便、日本航空には5便となったこの配分は、極めて政治的配慮に基づく透明性が欠けたものとの批判が多い。公的資金を利用して企業再生を成功させた日航との公平な競争環境を確保するために、全日空に発着枠を優先配分すると言う理由と実際のこの調整方法は、何とも合理性と納得性に欠けたものであると言わざるを得ず極めて後味の悪い結果となった。

 

トラベルビジョン(TV)が2013年に配信した4,000件のニュースの中で、最も良く読まれた記事のトップが「全日空、羽田11枠すべて就航、成田は一部運休・減便も— 14年夏」となった。羽田空港の発着枠の配分に関するニュースとしては、1位以外にも多くの他の記事がランクインしているとTVは伝えている。日経などの経済紙や一般紙の紙面も賑わした。それだけ、この配分に関しては航空業界だけにとどまらず広く経済界からの反響も大きかった。

 

ところで、首都圏国際線基幹空港の成田は、2015年に30万回への容量拡大を計画している。そうなれば、羽田と合わせた首都圏発着の国際線総発着枠は推定31.5万回となり、2014年予測の23.6万回比で後 +33%増加させる余地が未だ存在することになる。とはいえ長期的には早晩容量不足になることは目に見えている。国交省は、審議会を立上げて、2020年の東京オリンピックまでに東京上空飛行や羽田第5滑走路建設などを含む首都圏空港容量拡大を実現させることができないか幅広い検討を開始した。首都圏空港は、戦略的基幹インフラであり日本のツーリズム振興と経済成長のためにも着実な整備が必要だ。6月に発足した観光立国推進閣僚会議のアクション・プログラムにも「航空ネットワークの更なる充実」が謳われている。発着枠がある程度潤沢になれば、行政の民間企業に対する乱暴な介入も回避できることになる。

 

 

旅客取扱施設利用料】

 

1220日、国交省は、東京国際空港ターミナル(株)(TIAT)が申請していた、4月よりの旅客施設利用料の上限変更(大人出発旅客2,000円→2,570円、+28.5%値上げ、消費税込み)を申請通り認可した。ターミナル施設の増改築費用を回収するためと説明されている。最も良く利用されている昼間帯の発着回数が3万回から6万回に2倍も増加するにも拘らず、つまり旅客数もそれに連れて大幅増加すると予測されているにも拘らず、つまり施設利用料と物販販売の大幅増収が期待されるにも拘らず;

 

(1)申請通りの大幅値上げは一体どのように査定されたのだろうか?

 

(2)TIATの経営努力は、この値上げにどのように反映されているのだろうか?

 

(3)TIAT大株主の全日空と日航は、旅客に運賃値上げと誤解され易いこの値上げに反対しなかったのだろうか?(施設利用料は航空運賃に含めて航空会社が代理徴収している。)

 

発着枠の配分に際して示した民間企業に対する“厳しい”姿勢と、独占事業である空港ターミナル会社の値上げ申請に対する“甘い”姿勢の間の行政の対応のアンバランスが際立って目立つようだ。201012月の、日本空港ビルデング(株)(JAT)の国内線旅客施設利用料の値上げ(大人出発旅客100円→170円、+70%値上げ、消費税込み)に対してスカイマークが求めた“値上げの合理的根拠”の記憶が新しい。

 

7月に施行された民活空港運営法は、国が管理する26空港(八尾空港を除く)の運営を民間企業に委託することを可能にした。民間の能力を活用して経営を合理化し、空港の黒字転換を目論むためである。(注)上物(ターミナルビルなど)と下物(滑走路など)を一体化して空港収支を改善するためである。当然、国が管理する羽田空港もこの民活の対象となるわけだが、現実はそう言う方向には進まないようだ。羽田は、4本目の滑走路建設で現在一時的に赤字となっているものの、この要因を除けば空港経営自体は大幅な黒字である。そもそも民活する意思が働き難いのだ。その上、羽田には他の国が管理する空港と異なりJATTIATなど多数の株式会社が存在するので、これを合併させて1つにするのも大変難しいと言われている・・・。

 

[20144月以降の羽田空港国際線旅客施設利用料]

 

(注)国交省の「平成23年度空港別収支の試算結果」によれば、公表対象の国管理26空港の経常損益は▲170.4億円となる。(一般会計受入を含む試算パターン3の場合)新千歳、松山、熊本、宮崎、鹿児島、小松の6空港が経常利益を計上している。航空系事業に非航空系事業(旅客、貨物ターミナル事業者及び駐車場事業者)の収支を加えた場合は、26空港合計でEBITDA利益810.2億円となる。この場合(上物+下物)、損失計上空港は6空港(那覇、稚内、釧路、新潟、丘玉、三沢)にとどまる。

 

現行年間発着回数:CAPA/OAGデータ 12月第4週便数×52

   

14年予測:羽田約+3万回増、成田は13年並みと想定

   

空港容量:羽田は昼間6万+夜間3万、成田は15年目標値30万回に現行内際比率25:75を適用してある

 

 

以上

海外事情

海外事情 120日号

 

「アメニティ」という言葉が目立った。

 

1.(TJ) シェアアメニティー増加」「2.(TJ)宿泊サイトもアメニティー強化」

 

3.(TJ) 新興ガイドツアーに1.3億円」の3 つのニュースだ。1.のニュースでは、ゴルフやビーチなどのホストの会員権のシェアリングが開始すると予測。2.では、HotelByDayが、稼働率が40%と低く、余り使われていないホテルのアメニティ(スパ・プール・キャバナ、ジム・フィットネスルーム)を販売する。

 

3.の記事は、新興企業のDomioがアメニティーそのものを専門に販売する。ここでのアメニティーは、アパートのリビングルームにおける、ミレニアルやグループ旅行者向けにアピールするアメニティー(娯楽)が販売対象となる。E2E(エンドツーエンド)の様々な旅行パーツをシームレスに繋いで、トラベルジャーニーの全てのタッチポイントで、パーソナル旅行の提案をするわけなので、当然、アメニティー販売も強化されるというわけだ。

 

 

 

今週号では、年の変わり目にあたるのか、2020年のトラベルの予想や期待の記事が多かった。「1.(TJ) シェアアメニティー増加」、「6. 2020年の旅行マーケティング進化」、「11. 2020年、エアビーの年」、「14. 2020年の空港」がそれらだ。いずれの記事も、トラベルテックのイノベーションの進化や進展に加え、新ビジネスモデルの誕生を予測している。旅行は、右肩上がりの持続的成長が約束されている数少ない産業の一つであるので、どの記事を読んでも将来の明るい展望と新たなイノベーションに期待をかけている。特に世界の人口の半分以上が集中するAPAC市場の期待は大きい。(編集人)

 

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