「JAMR研究員による2014年頭の小論文・随筆など」

 

日出る国から

 

主席研究員 新井俊郎

 

 

「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや、云々」は7世紀の遣隋使が持参した国書にあって、随の煬帝が腹を立てたと隋書に記録されているところから、島国の不遜な態度を表現して、現代人には、大した度胸だと感じられる。これはまだ井の中の蛙で憎めない所があった様だが、信長、秀吉の時代となってからは、中国大陸、朝鮮半島を始め、アジア諸国に対する態度は強権的で相手を見下し、朝貢しなければ攻め込むぞと脅迫するものだった様だ。

7世紀の「日出る国」には「東方の」ほどの意味しか無かったとも言われるが、第二次世界大戦を経て、世界には日本の不遜で傲慢な思想の典型である様に引用された。そして逆に戦後の奇跡の復興は憧憬に値するという時にも使われ、意味合いもないまぜとなっている。

 

CAPACENTRE FOR AVIATION)20年の歴史を持つ航空業界のシンクタンクだが、世界の動きを俯瞰しようとするその分析には、いつも感心する。そして、当然、気になるのは日本の事がどうなるか、日本はどう見られているかだ。

現在、日本は「日出る国?」と揶揄される様になっている。

 

 

この米国エアラインの動きを見ると、日本の重要性が衰退していくのを痛烈に感じざるを得ない。

 

「誰かがやらなければならない事をする」

 

そして、もうひとつ分からないのが、我が「日出る国」の進む道である。

LCCの興隆は少し大げさかもしれないが、人類の歴史のなかでも興味深い現象だ。しかし、日本ではどう進んでいくのか、まだ見えない。すんなりと定着しているとは言えない。

オープンスカイが世界に浸透する中で東南アジア諸国のLCCは当然ながら、アジアで最重要市場のひとつ、日本市場に向かって来ている。そこには、エアラインは、ただ、営利だけを目的としている訳ではなく、国と国を結び、人と文化を運び、交流を助け、経済を発展させるという命題もあるはずである。

日本のエアラインはその使命を担う努力をしていないのではないか、という見方がある。

 

 

 

運命共同体の一員として、日本の営利企業がそういう点を持つ事も必要だろう。

 

 

久々の政交代が束の焉し、その日本大震と福事故、そして迎えたデフレからの脱却のみ、尖閣問題、などが目まぐるしく世の中をがせて来た。

アジア国では、中国の国力伸張が大きな影響力を持って来ている。

とりわけ海洋進出は脅威である。

確かに、フィリピンの島にどんどんコンクリートの建造物を建ててしまったり、ミサイルレーザーを照射したり、この線から入ったら撃ち落とすぞと言う方が、靖国神社にお参りするより遥かに明白に侵略的だが、我が国のマスメディアはそう見ないかの様だ。ここは冷静に醒めた目での報道をしなければならないだろう。

我が「日出る国」は大きな歴史の局面を迎えている事は確かで、ここを切り開き生き残るために国民ひとりひとりが知恵を絞る必要がある。

 

 

CAPAの分析する世界を見ながら驚くのが、躍動する世界のLCCを巡る動き、そして湾岸キャリアーの目を見張る躍進ぶりだ。また、2015年のASEAN統一共同市場発足を目指す国々のエネルギーがLCCを発露としてまとまるのか、これは政府やASEAN事務局の思惑とは違う方向に進んでいるのかも新たな現象として、日本が放置できない話だ。

2014年、冷静で幅広い知恵で、日本が航空の世界もリド出来るになって欲しい。

 

以上

海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)