“誰もが客室乗務員・グランドスタッフになれる” 2019年の採用

 

(コラム)

2019.1.6

 

  “誰もが客室乗務員・グランドスタッフになれる” 2019年の採用
        (来年からの就職協定廃止の影響で今年の就職戦線は混乱?)

 

                                 主席研究員 光岡寿之 

 

 新年を迎えました。大学・短大・専門学校で4月から最終学年を迎える方は、いよいよ就職戦線本番です。もう待ったなしです。 

 

 2019年、今年の就職戦線は、時代の変わり目とも言うべき大きな2つの特徴があります。 

一つ目は、人手不足により、更なる大量採用が見込まれ合格しやすくなること。 

二つ目は、経団連が「2021年入社の学生から就職協定を設定しない」と言明したことから、今年の就職戦線にも影響し、協定は有名無実化、一部の企業が“青田買い”など採用の早期化に走り、混乱の就職シーズンとなる懸念があることです。 

 

まず、「人手不足による大量採用から合格がしやすくなる」話から説明しましょう。 

 訪日外国人の激増や路線拡大で好況に沸く日本の航空業界は慢性的な人員不足に陥っており、大量採用を行っているものの、必要人員を確保できていません。 

従って、更なる大量採用が見込まれる2019年採用では、応募資格と基本的な航空適性を満たしていれば、“誰もが客室乗務員・グランドスタッフに合格できる”絶好の年“です。 

 

昨年2018年の航空業界全体の採用数は、客室乗務員(以下、CA)では、JAL/ANA大手2社に外資系航空会社の日本人CA採用、国内中小の航空会社のCAを加えると、少なくとも2000名の採用がありました。 

グランドスタッフ(以下、GS)も、主要5空港のGS会社の採用に地方空港のGS各社の採用数を加えると、少なくとも1500名の採用がありました。 CA・GS合計3500名もの過去最高の大量採用でした。 

 

 数年前のJAL系の採用中止の時代の全国採用数、CA500名、GS300名の時代からは隔世の感があります。 採用合計数は800名から3500名へと、4.4倍に増加しました。 

 かつては、応募資格を満たし航空適性があっても上から800位で切られ合格出来なかったのが、今では、応募資格を満たし航空適性があれば3500位まで拡大、合格可能圏入ったのです。 

 

 つまり、全国の航空業界応募者の中で、上から3500位までに居れば、CAないしはGSになれるのです。

 

合格者プロフィールを見てみると、従来のCA500名採用の時代の合格者は、何でもこなせるオールマイティーの学生でしたが、昨今のCA2000名採用の時代なってからは、オールマイティーでなくても、極めて語学が出来る、極めてホスピタリティーがある、極めてサークルで頑張ったなど、一芸に秀でた学生が合格出来るようになりました。  

 

(1) 客室乗務員募集数 (JAL/ANAの過去5年) 

 JAL・ANAは、この5年、毎年2社で11001500名規模の大量採用を行っています。

 

客室乗務員

募集数

JAL

ANA

 

合計

新卒

既卒

既卒2

新卒

既卒

既卒2

2014

200

100

 

300

500

260

100

860

1,160

2015

330

120

 

450

600

440

経験者

1,040

1,490

2016

350

50

 

400

750

40

経験者

790

1,190

2017

400

75

 

475

550

50

 

600

1.075

2018

500

150

経験者

650

600

80

経験者

680

1.330

 

 

(2)グランドスタッフ募集数  

(主要5空港、新卒採用のみ、前の数字は2017年、後の数字は2018年)  

 

首都圏

近畿圏

 

中部空港

主要

5空港

合計

成田空港

羽田空港

関西空港

大阪空港

(伊丹)

JALスカイ   

           

230/250

Kスカイ    

 

50/100

JALスカイ大阪

 

40/100

ドリームスカイ名古屋 

30/20

2017年計

1.020

  人

2018年計  

1.035

   人

ANA成田エアポートサービス   

 

140/140

ANAエアポートサービス  

 

410/300

ANA関西空港

 

50/50

ANA大阪空港 

 

40/50

ANA中部空港    

 

30/25

 

 次に、2019年が合格しやすい、もう1つの理由を説明しましょう。

 

かつて航空会社で採用を担当していた私の経験からは、良材の確保には採用数の20倍の応募数が必要です。 ところが、昨今の採用ではこの“応募倍率20倍を確保できなくなっている” のが実情なのです。 

 

CAの昨年の採用を例に見てみましょう。 

推測ですが昨今のJAL/ANAのCA新卒採用の応募者数は1万人前後と思われます。 

JALは500名採用ですから20倍の1万人の応募があれば十分ですが、ANAとの重複合格者が仮に半数の250名の辞退があるとすると、採用数500+重複合格者辞退数25075020倍=15000名となり、20倍を確保出来きません。 

ANAは600名採用ですから20倍で12000人、既にこの時点で20倍を割っています。JALとの重複合格者が仮に半数の300名の辞退があるとすると、600+3009002018000名となり、20倍は全く確保出来きません。

 

人気業界なのに、20倍以上に応募者が増えない理由は少子化にもあります。

 

近年の22歳の日本人女性数は60万人、これに女子の大学進学率48%をかけると29万人、これに語学力(TOEICGS/550点以上、CA/600点以上)など航空業界に必要なミニマムの要件を満たす者が仮に半数とするとCA・GSの理論的な応募有資格者は約15万人となります。 同じ計算を20/60万人で、女子短大進学率9%、専門学校進学率16%で計算すると8万人となり、結果、応募有資格者は22/20歳合計で23万人となります。 

2018年のCA・GS新卒採用数が約3500名ですから、その20倍は7万人、つまり、応募有資格者全員の23万人の内、3人に1人がCA・GSを受験しないとかつての様な良材の採用はできないのです。 他の業界も好調な現在、同世代の3人に1人が航空業界を受験することは論外です。 

即ち、今後とも、航空業界の採用の競争率は20倍以下が続くものと思われ、合格しやすい状況が続きます。

 

このように、今や誰もが真剣に努力すればCAGSに手の届く時代になりました。 

 が、油断は禁物です。 

それは、2019年採用の二つ目の特徴である「就職協定が守られるのか否か」の問題です。 

 

現行、経団連の就職協定では、卒業年度直前の3月から説明会など広報活動開始、卒業年度の6月から選考試験開始、卒業年度の10月から正式内定となっていますが、昨年秋、経団連は、就職協定には拘束力がないため、人手不足を背景に、近年、外資系企業や一部企業がルールを無視して、良材を求め“青田買い”を増加させたため、協定は形骸化しつつあるとして、来年度2021年入社の学生から就職協定を廃止すると言明しました。 

 今年2019年の就職ルールには変更はないものの、経団連の「来年から廃止」の言明の影響は大きく、航空業界採用においても、既に昨年末から一部の企業で選考時期を早期化する動きがあると聞いています。 

従来は、JAL/ANAのCA採用と首都圏のGS各社の採用が先行し、一段落した後で、中小の航空会社のCA採用、地方空港GS各社の採用が追いかけ行われ、各社とも必要数の確保が可能でした。 

 

しかしながら、昨今では、JAL/ANAのCA採用数と首都圏GS各社の採用数が巨大なため、重複合格者による大量辞退が発生し各社とも採用必要数の確保に苦労しています。 

また、中小の航空会社のCA採用、地方空港のGS各社の採用も、首都圏の先行組に良材を大量に採用されてしまうため、採用必要数の確保が困難となっています。 

 

以上の状況から、2019年の採用で予想されることは、全ての会社が、出来るだけ早く選考を開始し短期間で内々定を出すのではないかいうことです。選考の時期も、ルール通り6月なのか、説明会解禁の3月なのか、もっと早いのか・・・残念ながら、全く予測が立ちません。

  

このような状況の中で、受験生の皆さんが留意することは、以下です。

 

  新年明けと共に採用本番は開始されたと意識し早期に真剣に準備に入る。 

  本年は選考時期が各社とも早まり、同時期に重なるなど、選考時期が不透明なため、毎日、志望会社の採用ホームページをウオッチし、臨機応変に対応する。 

  第一志望の会社の最終発表前に、内定した第二志望の会社から「入社承諾書」を求められる可能性が高い、両親、先生方と相談し、後悔しない決断をする。 

個人的には、航空業界に入って活躍することを優先し、先に内定の出た会社に行くのが良いと思います。 

  航空業界は人手不足ですから、年度末まで中途採用も含め多数の会社・職種を粘り強く受験すれば、必ず合格出来る。 

  アジア諸国を中心に訪日外国人が激増する中、“中国語が出来ること”は、採用では大きなアドバンテージになる。

 

最後に、繰り返しになりますが、合格しやすい年ですが、選考時期の混乱も予想され、油断は大敵です! 

そして、地道に努力すれば、いまや、CA・GSになることは、十分に手の届く現実の夢です、必ず、夢を

実現しましょう! 

そして次は、空港で、機内で、皆さんにお会いしましょう!    

       

 以上 

 

海外事情

 

84~16日の主要ニュース19本のうち、いつもはPhocusWire Dailyにはほとんど表れない法人旅行に関する記事が7本(目次の下線箇所)もあった。取扱高ベースで米国市場のおよそ3割が法人旅行市場にあたり、そしてそれに加えておよそ2割程度のunmanaged business 旅行市場が存在すると言われている。つまり米旅行市場のほぼ半分あるいはそれ以上が、法人旅行で構成されていることになる。それだけ大きな市場にもかかわらず、業界ニュースが少ないのに驚かされる。(尤もこれにはPhocuswrightの親会社であるNorthstar Travel Mediaが、法人旅行市場専門誌であるBTN=Business Travel Newsを編集していることも影響している。)

 

7本の記事を読むと、この市場のセルフ予約ツールの使い勝手が極めて劣悪で、法人旅行管理会社(TMC)のサービスに対しても出張者の不満が多く、その上企業の出張規定のかなり厳しい遵守の要求のために、出張者のモラルと生産性の低下が発生している可能性がある、という何やら暗い話が連続する。要するに観光旅行市場の方が法人旅行市場よりも、旅行の計画や手配のプロセスで、テックを含めてずーっと先進洗練先行しているというのだ。

 

しかし、最近になって、この遅れた法人旅行市場に目をつけた新規参入者たちが参入しつつある。そして彼らは、企業のコスト削減最優先に変えて出張者ファースト、出張者セントリックの戦略を敷いている・・・というようなことが、これらの記事に書かれている。観光旅行のベストプラクティスを法人旅行が真似ようとしている。これはFSCLCCを真似て、FSCLCCの境界線がぼやけ始めている話と似ている。出張先で仕事の前後に休暇旅行までしてしまうブレイジャーの拡大も、法人旅行のセルフインベンションの一つのきっかけとなっているのだろうか。

 

11. OTA4つの神話」は、“高い手数料をふんだくっている悪者OTA”の評判(風評?)に対するOTA の恨み節が書いてあって面白い。(編集人)

 

 

海外事情 916日号B 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人)