旅物語 第26回「千畳敷カール・伊吹山と高山植物」(2019年8月)

2019年9月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 炎暑のピークの8月上旬、涼を求め、山のハイキングツアーに参加し、中央アルプスの「千畳敷カール」(2600m)と岐阜・滋賀県境の「伊吹山」(1400m)を散策しました。 雄大な景色と可憐な高山植物に魅了されました。

 

1. 千畳敷カール

 

 「千畳敷カール」は、中央アルプスの「駒ヶ岳」(2956m)・「宝剣岳」(2931m)の直下に広がる氷河地形(圏谷、カール)です。険しい峰々の麓に氷河に削られた壮大な丸い谷の跡が広がっています。絶景です。

 カールへは、標高1650mにある「しらび平」駅から「駒ヶ岳ロープウェイ」に7分乗って、標高2612mの終点「千畳敷」駅に着きます。

 

 遊歩道をのんびり1時間ほど散策しながらカールを1周します。地上の34度に比べ、ここ天空は20度ほど、涼しく爽やかで天国です。

正面に見える真ん中の最高峰が「宝剣岳」(2931m)です。

 雲がやって来ると、雲の中は冷んやりと涼しいです。

 

 

 右は「登山道」、「宝剣岳」(2931m)・「駒ヶ岳」(2956m)を目指します。“登山届け”を出した完全装備の人達しか進めません。

 

 

曇った日だと、ここカールは標高が2600mもあるので、真夏でも15度前後だそうです。


千畳敷の高山植物たち

サクライウズ(桜井鳥頭)

(キンポウゲ科)

クルマユリ(車百合)

(ユリ科)


ヨツバシオガマ(四葉塩釜)(ゴマノハグサ科)

クロトウヒレン(黒唐飛廉) (キク科)

ミヤマアキノキリンソウ

(深山秋の麒麟草)

(キク科)


  コバイケイソウ(小梅惠草)

     (ユリ科)

  シナノキンバイ(信濃金梅)

    (キンポウゲ科)


ハクサンボウフ(白山防風)

(セリ科)

チングルマ(珍車、稚児車)の実(綿毛状)

(バラ科)


2. 伊吹山

 

 新幹線で大阪へ向かう途中、関ヶ原を通り過ぎるとき、右手に雄大で神秘的な山が現れます。それが、古代から“神の山”とされる「伊吹山」です。標高は1377mしかありませんが、周囲に山が無いため、富士山のように麓から頂きまで見える壮大な姿は見る者を魅了します。

  

 特に冬の雪を頂いた姿は神々しく、正に“霊峰”です。

 

 地勢的に、日本海(若狭湾)と太平洋(伊勢湾)の両方に臨み、両方の気候の影響を持つ日本では希有な山です。植物相は豊かで1700を超える種類の植物が分布しており、高山植物、お花畑のメッカです。(1700種類超は日本で2番目)

 

 織田信長はポルトガル宣教師に薬草を栽培するための土地を植物相の豊かな伊吹山に与えました。持ち込まれた西洋種の薬草は残っていませんが、一緒に紛れて入った西洋種の野草は今も残っています。

霊峰「伊吹山」

(関ヶ原通過中の新幹線から見た“伊吹山”、2016年3月の写真)

頂上付近の“お花畑”(“シモツケソウ”の群生)


 ヤマトタケルは東国征討の帰り、尾張で伊吹山に“荒ぶる神”がいると聞き、素手で討ち取ろうと、妻の美夜受比売に“草薙の剣”を預けたまま、山に向かったが、“伊吹の山の神”の返り討ちに遇い、ヤマトタケルは前後不覚で山を降り、いったん麓の泉で休み正気を取り戻したものの、その後、三重の里に至り、「私の足は三重に折れ、ひどく疲れてしまった」と言い、ヤマトを忍ぶ歌を詠んだ後、亡くなった。そして、白鳥となってヤマトへ飛んで行った・・・と言う伝説が古事記・日本書紀に記されています。 

 因みに、これが「三重県」の地名の由来になりました。

 

 

山頂(三角点)は、滋賀県米原市です。


山頂付近の景色と山頂からの眺め、爽やかです  奥に、琵琶湖と竹生島が見えます

 車は“伊吹山ドライブウェイ”で9合目駐車場まで行けます。

 

 9合目から頂上まで、残り150mを登山道でのんびり登ります。(40分)

 

九合目から山頂への登山道

 

頂上から9合目駐車場へは、2本の下山道があり、

 

 短いのは30分、尾根づたいの遠回りのやや厳しいコースは60分です。


伊吹山の高山植物たち   様々な野草が咲きほこっています、可愛く綺麗です

 

 

クガイウ(九蓋草)

(ゴマノハグサ科)

メタカラコウ(雌宝香)

  (キク科)

カワラナデシコ(河原撫子)

   (ナデシコ科)


クルマバナ(車花)

(シソ科)

ツリガネニンジン(釣鐘人参

 (キキョウ科)

キバナノレンリソウ(黄花の連理草)  (マメ科)


ルリトラノオ(瑠璃虎之尾)

  (ゴマノハグサ科)

シモツケソウ(下野草)

   (バラ科)

クサボタン(草牡丹)

 (キンウゲ科)


 

 冬、“関ヶ原”で新幹線から見る“伊吹山”は、いつも吹雪の中、頂上は雪雲に隠れて見えません。 

やっと見せる快晴の“伊吹山”は、神々しく、見る者の心を奪います。「神の山」です。

        冬の伊吹山 (2015年2月の写真)

海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)