旅物語 第20回「京都祇園祭2017年」(2017年7月)

2017年8月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

長刀鉾(なぎなたほこ)①

 山鉾巡行の順番は「くじ」で決められますが、「長刀鉾」は「くじとらず」と呼ばれ、常に先頭にたちます、
 唯一、町衆の子弟から選ばれた「生稚児さん」が乗っています。

 

 今年も、7月中旬、京都祇園祭(前祭)を観てきました。梅雨の最中ですが、山鉾巡行の午前中は雨も降らず、豪華絢爛な行列を堪能しました。夕方からは土砂降りの雷雨、ラッキーでした。
 山鉾を飾る重要文化財級のゴージャスなタペストリーは、シルクロードを通って伝えられた欧州・西域・インド・中国・朝鮮の物、実物です。目を見張る美しさです。正に“動く美術館”です。
 今回は、前祭の山鉾23基の内、「鉾」の8基をご紹介します。
 因みに、7月下旬の後祭の山鉾は10基です。

 

長刀鉾と生稚児さん


 「祇園祭」は八坂神社(祇園さん)の祭礼で、貞観11年(869年)、全国に流行した疫病の退散を願い
「牛頭竜王(素戔嗚尊)」を祀った国家行事「祇園御霊会」を起源としています。
 
 現在の様な豪華絢爛なお祭りになったのは、室町時代以降、力を持った京都町衆(豪商)の心意気によるもので、都をあげての町衆・庶民の祭りとなってからです。
 応仁の乱、戦国時代、幕末の混乱の中、炎上した山鉾もありますが、その都度、再興、千年以上の時間を伝えてきました。
 後祭に登場する「大船鉾」は、幕末蛤御門の変で炎上しましたが、平成26年、150年ぶりに再興されました。

長刀鉾 ②

          前懸はペルシャ花文様絨毯、胴懸には中国玉取獅子図絨毯、中東連花葉文様インド絨毯な

          ど,16世紀~18世紀の稀少な絨毯が用いられていましたが、現在はその復元品を使用。

長刀鉾 音頭取り


函谷鉾(かんこほこ) ①

音頭取り

函谷鉾(かんこほこ) ②

 

 鉾の名前は、中国戦国時代の斉の孟嘗君の故事からつけられました。

 

 前懸は、旧約聖書創世紀の場面を描いた16世紀末の毛綴で重要文化財,平成18年復元新調されました。
 胴懸は梅に虎を織り出した17世紀李氏朝鮮絨毯、花文様インド絨毯、玉取獅子図中国絨毯の三枚です、平成8年復元新調されました。

屋根方

 

旧約聖書創世記を描いた前掛けは重要文化財

函谷鉾(かんこほこ)

お稚児さんは人形です


月鉾 ①

「月讀尊(つきよみのみこと)を祀っています、

屋根裏の草花図は丸山応挙の筆、

天井には源氏54帖扇面散図があり、

前懸のメダリオン絨毯は17世紀のインド製です、
左甚五郎作と言われる彫刻などもあり、
全てが豪華です。

稚児(人形)とお囃子方

月鉾 ②

前懸けの“メダリオン絨毯”は、17世紀のインド製です

音頭取り

月鉾 全景

屋根方


鷄鉾(にわとりほこ) ①

 

「史記」に記された古代中国の聖人、“堯”の太平だった治世の故事を題材とした鉾です。

お囃子方

菊水鉾 ②

 真木の天王座に放下僧の像を祀る鉾です。
 稚児舞の出来る稚児人形は「三光丸」と言います。
 新下水引は「華厳宗祖師絵伝」を下絵とした綴織です。

放下鉾 全景

 

操り稚児人形

 

屋根方

音頭取り

 

 

 

 

岩戸山 ①

 “天岩戸”の日本神話を題材としている“曳山”です。
 元来、“山”ですが“鉾”の形態をしています、江戸時代の洛中洛外図屏風にはすでに車輪が描かれています。
 屋根の上は、“山”なので、“鉾柱”の代わりに“真松”を立てています。

屋根方と“伊弉諾尊”

 

 屋根の上には、“天瓊矛”(アメノヌボコ)をつき出した“伊弉諾尊”(イザナギノミコト)を安置しています。

 

 

 

 日本神話の神功皇后の出陣を題材にした鉾です。

 

 舳先に想像上の瑞鳥“鷁”(げき)が飾られています。

音頭取り

 

船鉾 ②

 

船鉾の舵は黒漆塗青貝螺鈿細工です。

 

引き方

鷄鉾全景

鷄鉾(にわとりほこ) ②

トロイの王子と妻子の別れを描いた16世紀のベルギー製の“見送り幕”は、重要文化財です。

音頭取り

菊水鉾 ①

 町内にあった“菊水井”にちなんだ鉾です。
 稚児は、謡曲を題材とし、魏の文帝の勅使が霊水を求めて山に入った時会った、菊の露を飲んで700年生きた少年を体現しています。 唐破風造りの屋根が特徴です。

 

放下鉾 ①

操り稚児人形

 “前懸・胴懸”は花文様のインドやペルシャの絨毯です。
 “見送”(後ろの幕)は文政11年(1828)京都西陣で作られたものです。

放下鉾 ②

ふくろうの“見送り”は、「バグダッドで」と題する皆川泰蔵の麻にロウ染めの作(1982年)

放下鉾 ③

放下鉾、後ろ姿

 

前懸は玉取獅子図中国絨毯、胴懸は唐草文様インド絨毯です。

 

岩戸山 ②

音頭取り

船鉾 ①

船鉾全景

船鉾後ろ姿


海外事情

海外事情12月9日号 

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「3.(TJ) NDC進展も課題山積み」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。3.(TJ) の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

 

 

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)