京都ミステリ-スポット 第18回 「源頼光と土蜘蛛退治」(2016年)

 2016年11月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 「平家物語」や謡曲「土蜘蛛」によると、

 

 平安時代中期、酒呑童子退治で知られた源頼光が病に伏せっていた時、見知らぬ僧が訪ねてきた。 
 僧の正体は”土蜘蛛”で細い糸を繰り出して襲ってきたが頼光は名刀「膝丸」で切り伏せた。逃げ出した妖怪を追ってたどり着いた塚を掘り返すと”土蜘蛛の精”が現れたので再び切り殺したという。
 以後「膝丸」は「蜘蛛切丸」と呼ばれるようになったと言う。
 
 この伝説の「蜘蛛塚」と言われる場所が今も二つ現存します。
 
 一つは、北野天満宮の大鳥居を越えたすぐ左手にある「東向観音寺(ひがしむきかんのんじ」の墓地に残る「土蜘蛛塚」。

北野天満宮 大鳥居

東向観音寺 山門


 

 元々は、「一条通り七本松北西側」にあって「山伏塚」と呼ばれていたが、明治時代の都市開発の中で掘り返された。
 ある人が掘り出された「灯篭」を貰い受け庭に飾ったが、たちまち家運が傾いたので、「土蜘蛛の祟り」と恐れ、東向観音寺に奉納したと言う。
 
朽ちた祠の中に“土蜘蛛灯篭”が見えます。不気味です。

“土蜘蛛塚”と“土蜘蛛灯篭”

 

 

 

 

 

 

(東向観音寺にはかつては北野天満宮の神宮寺

であったため、菅原道真の母堂の廟があります)

伴氏廟


 二つ目は、千本閻魔堂に近い「上品蓮台寺(じょうほんれんだいじ)」の墓地の大きな椋の老木の根元にある「頼光塚」(土蜘蛛塚)。
 元々は、北区の船岡山の南西にあって「頼光塚」と呼ばれていたが、昭和の初め頃、現在の千本通りに面した上品蓮台寺に移されたようです。

 

かつてこの老木を切り倒そうとした植木屋さんが原因不明の病にかかって亡くなったそうです。

 

 

 平安時代からの古刹「上品蓮台寺」の整然と雰囲気のある境内で「頼光塚」を探すも見つかりません。
 境内で仕事中の植木屋さんに尋ねると、「あ~、あの“蜘蛛塚”ね、案内しましょう」と、

 

 境内のはずれに行くと広い墓地が、・・・、
                  「あの大きい木の下の“塚”がありますよ」と。

 

 見ると、墓地の端に周囲を圧倒するような巨大な椋の老木が・・・。

 

 

「頼光塚」のある椋の木


上品蓮台寺 山門

上品蓮台寺 本堂


 

 ここから不気味な体験をしました。

 

 椋の木の所に行こうと墓地の小道を歩くと、何と、僕の歩く場所の墓の卒塔婆だけが“ガサガサ”と音を立て
揺れ動くのです。
 同行していた妻も叫びます「変よ!あなたの歩いている所だけ卒塔婆が音を立ててる!」
 
 椋の木にたどり着くと、根元に「源頼光朝臣塚」と彫られた朽ちた石の塚がポツンとありました。 

「頼光塚」遠景

「頼光塚」(土蜘蛛塚)

「頼光塚」への墓地の小道


 ここ船岡山や上品蓮台寺の周辺は、平安京の時代、京に3つあった葬送地の1つ「蓮台野」の跡地です。

 

 上品蓮台寺の墓地にも、かつての葬送地「蓮台野」から掘り出されたであろう“無縁仏”“石佛”が多数並んでいました。

 

 また「千本通り」の名前は、葬送地「蓮台野」への道に“千本の卒塔婆”の立てて供養したことに由来するといます。
 
京都は今も伝説と共に生きています。

頼光塚の側にあった朽ちた石佛

上品蓮台寺墓地の無縁仏・石佛


海外事情

 

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。

 

 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。

 

 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)