2021.5.02.

スターフライヤーの決算を解析する(2020年度)

  資金確保も、今後の財務制限条項が厳しい?

 この度公表されたスターフライヤー(SFJ)の2020年度決算を読み解いてみました。

 (注)「分かり易さ」を意識して数字の再整理や括りの簡略化等を行っています。

 

1. 今期の収支状況; ANAへの収入依存約6割、営業損失▲112億円

 

・ 今期の営業収益は183億円(前年比▲55%)で、営業損失は▲112億円であった。

  雇用調整助成金や北九州市からの助成金により税前損益は▲98億円となった。

  また繰延税金資産を償却(将来の十分な利益見込み→税金繰延効果を放棄)したことで

  最終損益は▲101億円となった。

 

・ 収入のうち、コードシェアによるANAへの座席販売収入(約6割)を除くと、いわゆる自販収入は
 75億円
(▲73%減)に留まり、ANA収入への依存が目立った。

 

 

・ 市場の先行きが不透明なことから、来期の収支見通し値は公表していないが、需要規模に合わせて事業規模を一旦縮小し、コスト削減を中心に構造改革を推進しつつ、コロナ収束後も見据えた体制作りを進めている。 

2. 輸送実績; 便数約4割減、自社席数半減、旅客数約7割減

 

 2020年度の便数は前年比61%(▲31%減)であったが、自社席数の多い路線の減便が
多かったことから自社席数は47%(▲53%減)、旅客数は27%(▲73%減)となった。
なお国際線(台北路線)は全便運休であった。

 

 

・ 便当り平均収入は前年より▲26%少ない122万円であったが、うち72万円がANAからの
 収入であった。

3. 財務状況とキャッシュフロー; 

 

  手元資金161億円に積み上がるも、
財務制限条項が厳しい 

 

・ 増資80億円)と借入金増(返済Net10億円90億円の資金を調達。

・ 一方赤字要素で▲68億円が流出※
税前損益▲98億円、減価償却費・整備引当金による内部歩留まり41億円

 

・ そのほか未払債務の増ANAなど関係先による支払時期の繰下げと思われる)もあって資金の消費は計▲40億円にとどまり、50億円の手元資金増となった。

 

     資金的に向こう1年は十分カバーできるが、リースへの依存度が高いため基本的には赤字がほぼ資金流出に繋がる。
(今期の場合赤字▲98+減価償却18→ 
  流出は▲80億円)

 

    加えて、上場継続、リース契約継続、借入金継続のためには「数々の財務制限条項」がある。(借入金契約については3月末に見直し実施)

 

来期が正念場といえよう。

 

 

 

 

 

 

                                   以上(Y.A)