2023.2.10.

スターフライヤーの第3四半期決算を読み解く

  Q31012月)は黒字転換

 

  依然高いANAへの依存度

 

 

1.収支状況

 

 売上高は234億円で、営業損益は▲14億円であった。

コロナの影響が激しかった過去2年より改善したが、依然赤字である。

 

コロナ前(売上高311億円、営業利益7億円)に比べると、ANAへのコードシェア座席収入への

依存は大きい(コロナ前を上回っている)。

自社販売収入はコロナ前から約4割下回っている。

 

]   収支を四半期別にみると、旅客数と

   自販収入が徐々に回復、Q3では黒字を

   回復した。

   搭乗率も73%となった

 

 

2. 輸送実績(コロナ前比)

 

  便数(≒総座席数)はコロナ前の85%であった。

 

  うちANAへの提供座席数をみると寧ろ増加(+9%)しており、
他方、自社の取扱い席数は▲29%減少している。

 

  (自社)旅客数は▲37%減少の83万人であった。

 

その結果、搭乗率も7567%と落ち込んだ。

 

3.便当り収支

 

  便当り収入は151万円、費用は160万円で、▲9万円の赤字であった。

  コロナ前の収入170万円、営業利益4万円と比べると収益性は依然低い。

 

 

  うちANAへの座席販売収入は5266万円と26%増えており、
自社販売収入は11885万円と▲28%減少している。

 

4.座席・旅客当りの単価

 

  ANAへの座席販売単価は平均約9400円となり、コロナ前比で小幅低下した。

  自社の旅客単価は平均約15900円であり、コロナ前比で▲3%の低下であった。

  一方自社座席のコストは11800円となり、▲1%低下した。

  この結果採算点(ブレークイーブン利用率)は7374%と小幅悪化した。

 

  コロナ前; 採算点73%に対し実際の搭乗率は75%(その差は+2ポイント)

当期; 採算点74%に対し実際の搭乗率は67%(その差は▲7ポイント)

  これらの差が、収益性の差となって表れている。

 

  (注)自社座席のコストは、ANAへの販売原価=ANA費用と見做して控除した

 

差額の費用÷自社座席数で算出した。

 

5.財務状況

 

コロナ前(2019.12月末)→当12月までの財務状況の変化をみました。

この間増資(含新株予約権行使)で90億円強の資金を調達したが、手元資金は▲13億円減少

して67億円となった。

 

赤字による資金流出を増資で補い、手元資金も若干減少した勘定になる。

途中、多額の借入金によって資金をつないだが、当期末までに返済して、借入金残高はコロナ前レベル

31億円)に落ち着いた。

   

   またリース機の返還によってリース資産/負債は減少した。

 

以上(赤井)