2023.4.26.

2022年実績、米国主要3社はどこまで回復?

米国のDelta航空(DL)、United航空(UA)、American航空(AA)の2022年決算を、
コロナ前の2019年と比較しつつ概観した。

 

(概況)

 3社ともに収入はコロナ前を上回り、500億㌦規模であった。

  但し輸送量(旅客㍄)ではコロナ前より▲1~▲2割少なく、増収は旅客単価の上昇(2割弱)
によるところが大きい。

② 客況は、国内線、大西洋線、中南米線の回復が大きく、UAAAでは、コロナ前を上回る収入を得た。他方、太平洋線の回復は大きく遅れている。

 

   費用も主として燃油単価高騰(約1.7倍)のために増加した。

但し低燃費機材への置き換わりが進み、燃油の消費効率は約5%向上している。

  3社ともに、政府の支援金(人件費等)を受けない状態で利益を計上したが、コロナ前よりも
その額は少なく、営業利益ベースで約半分であった。

  搭乗率は8384%まで回復したが、コロナ前と比べるとまだ若干低い。
採算ラインを示す損益分岐利用率は14ポイント上昇(悪化)した。
燃油高騰の影響を、旅客単価の向上でカバーしきれなかったためである。

 

(会社ごとの状況)

   利益率はDLUAAAの順であるが、これはコロナ前と変わっていない。

    DLは供給の絞り込みが大きく、旅客収入はコロナ前を下回っている。
他方、石油精製事業で収入を伸ばしている(原価費用も増加しているため、利益増への貢献はそ
れほど大きくはない)。

   DLAAは、機材を新鋭機に大幅に入れ替えており、これが燃油消費効率にも作用していると
考えられる。

   AAはもともと収益性が低かったが、回復の著しい国内線の割合が高く、太平洋線が少ないことも
改善に貢献。 UAは太平洋線の不振を大西洋線、中南米線の好調で補った。

 

 

客況の改善は進んでおり、2023年は3社ともに業績を伸ばすであろう。

 

 

以上(赤井)