2022.5.2.

スターフライヤーの2021年度決算を読み解く

増資とANA収入効果で切抜け。 自社販売収入の回復がカギ

 

スターフライヤー(SFJ)の2021年度決算について、公表データをもとに読み解きました。
収支は主にコロナの影響を受けなかった2018年度と比較、財務状況も2018年度末からの推移でみています。

(注)端数処理の関係で末尾数値が他表と一致しないことがあります。

        数値には推定を含み、データ加工は筆者独自の手法で行っております。

 

1.収支状況;

 

当期収支; 売上高はコロナ前2018年度)53%にあたる211億円で、経常損失は▲60.5億円だった。 

補助金収入や整備引当金の戻入(リース2機の返却)等もあって最終損益は▲50億円であった。 しかしコロナの影響が多大であった前年より赤字幅が縮まった。

 

収入の内訳; 収入の半分がコードシェア座席の販売等ANAからのものであり、その依存度は高い。

自販収入は前年より増えたが、コロナ前に比べると38%である。 

 

2022年度は?; コロナの影響を見通し難く、現時点では公表していない。

 

2.収益性指標;

 

ANA席と自社席; 便数規模は201874%であった。
しかしANA座席は僅かながら増えている(推定)

ANA割合の高い福岡=中部路線の増便があり、またコロナ減便が自社席の多いANA席の少ない)路線に集中したことによる。

 

自社座席はコロナ前の約6(推定)となった。 

・ ANA座席の少ない路線; 羽田=北九州等。

・ ANA座席の多い路線; 羽田=関西/山口宇部、中部=福岡等。

また自社の旅客数は、2018の約4割であり、搭乗率は53%であった。

 

3.財務状況;

資金繰りを中心に、主にコロナ前2018年度末)からの変化を概観した。

 

2021年度の状況)
・ 借入金;約定(財務制限条項等)による返済で35億円減少。
・ 手元資金; 借入金返済と赤字や前期の未払債務精算等により計▲96億円減少。

・ 機材返却2機)により、リース資産/負債は減少した。

 

20182021年度の流れ)
・ 資金の流れ(推定概略)

増資と機材売却で約92億円を調達。

赤字により約▲89億円流出(累損▲155+資金流出を伴わない項目)。

      ・ 結果として借入金はコロナ前とほぼ同規模、手元資金は小幅増。

      ・ 有形固定資産やリース資産は減少(機材減)。

      ・ 整備引当金は大幅に積み増し。

 

      ・ 純資産;増資(80億円)したが、主に赤字により減少、債務超過は回避した。

 

4.来期の課題(筆者観測)

 

   コロナの影響が残り→来期も赤字が続くようだと手元資金不足や債務超過が懸念される。

   一方ANAによるテコ入れにも限りがあろう。

   自社販売収入の回復がカギとなる。

 

 

                                               以上(赤井)