2022.2.1.

ANAの第3四半期決算を読み解く

  10~12月は営業利益を計上
   (国際貨物が絶好調)

 

この度公表されたデータに基づき、ANA2021年度第1~3四半期決算を読み解きました。

  数値は主にコロナ前2019Q1と比較。

(注)端数処理の関係で末尾数値が他表と一致しないことがあります。

        データ加工は筆者独自の手法で行っております。

 

1.収支状況; Q3に入って業績は改善したが、コロナ前(2019)比ではなお厳しい。

 

 損益; 収入7380億円(コロナ前の47%)で営業損益は▲1158億円、
     借入金増で金利負担利息が拡大。 雇用調整助成金の受取りは約200億円。

        最終損益は▲1028億円。

 

・ 収入内訳; 国際旅客は依然不振(2019比▲91%)、国内旅客とLCCは▲4割弱、  
       他方貨物郵便はコロナ前比2.5倍の2622億円で、これは旅客3収入の合計規模に         
       ほぼ匹敵する。  

 10~12月実績; いずれの収入も増加傾向を示し、営業損益は2億円と僅かながら黒字化した。   

  通年予想; 上期時点の予想を据え置き、営業損益▲1250億円、最終損益は▲1000億円。

 

 1~3月は若干ながら営業損益は赤字(▲92億円)との勘定になる。

 

 

2.収入内訳;

 

国際旅客; 収入はコロナ前の1割にも満たず、依然不振の状態。

国内旅客; 供給(座席㌔)は201955%、旅客㌔は38%で搭乗率は49%、収入は         
        37%(2065億円)である。 

 LCC;    不振の2020からは大幅に伸ばしたが、国際線を含む2019との比較では、収入が  
         38%、供給(座席㌔)は65%であった。
         収入単価は低下したものの、旅客数はコロナ前の5割に達した。

 

国際貨物; 収入はコロナ前の3倍。 

           旺盛な需要に海上輸送の混雑(船腹減)もあり、

           輸送量1.2倍x単価高騰2.5倍。

  貨物専用機と旅客機; 貨物機による輸送は32%を占め、収入では37%を占めている。

           旅客機の貨物専用運航も貢献、コロナ前の8割のBellyスペースを確保して、

輸送量は1.1倍となっている。

 

収入単価は貨物専用機が格段に高い。

 

 

 

3.財務状況;2019期末→2020期末→今期末の推移

 

  現預金と借入金;

現預金;2020年度に大幅増の現預金は、今期ほぼ横ばいで、期末残高は9700億円。

借入金(含リース債務);2020年度の大幅増に加えて今期も+1100億円増、残高は1.77兆円となった。

      このほか増資により約3000億円を調達している。

借入金/現預金の差; ▲6000→▲6900→▲8000億円となった。

 

 

   純資産; 利益剰余金の減少は、赤字及び会計基準の変更(主にマイレージプログラム)による。

 

 

 

4.機材の変動;2019期末→2020期末→今期末の推移

 

 大型機; B777が退役。

 旧式機(B767、旧タイプB737等)も退役促進。

  新鋭機(B787/A320系)が増機。

 

 Peachは旧式5機が退役し、新式3機(neo型)が加わった。

 

 

                                   以上(赤井)