日本のLCCを概観する(2)

平成3069

平成30年6月30日一部修正

 

 日本のLCC概観する(2)

~ 指標でみるLCC ~

 

日本のLCC+SKY)を旅客に係る指標で比べてみた。

同じ日本のLCCといっても、事業内容は各社微妙に異なっており、比較する際に留意すべきこともある。

 

1.便数と路線構造;

 

  便数;2016年度の便数1日当り往復ベース)は、PeachJetstar-J46便で並び、Vanilla19便、Spring-J5便と続く。

なおSKYは62便でどのLCCよりも多い。

   但し内際別にみると、Jetstar-Jは約9割が国内線であるのに対し、Vanilla

   内際半々となっている。SKYは全便国内線。

 

   路線距離;国内線の平均路線距離は各社1,000km前後である。

但し関西ベースのPeachは短めであり、長い路線中心のVanillaは長距離。

国際線は国内線より長距離だが、関西ベースで韓国や台湾路線の多いPeachが短めであり、中国内陸部の武漢・重慶に飛ぶSpring-Jは最も長い。

総平均では、国際線割合の高いVanilla1,700kmと最も長くなっている。

 

   座席㌔; 便数x距離で実質的な供給規模を表す「座席㌔」の際内割合をみると、 

Vanilla2/3が、Peach46%が国際線である。

 

1便(片道)当たりの収益性;

 

  便当り収支; 便当り収入はVanillaSKY170万円程度と多く、他の3社は150万円台である。 

Vanillaは費用も多く、Jetstar-JSKY153万円で並んでいる。Peach

136万円と最低

営業利益はPeachが目立って高い19万円、Jetstar-Jは3万円、Spring-Jは赤字。 

SKYは15万円の利益をあげている。 

 

   これに距離要素を加味して解釈すると以下のとおりとなる。

  Peach短い路線(基本運賃が低い)で他社並みの収入を稼いでいる。

飛行時間が短い⇒燃油費のかかりが少ない等もあって費用は少ない。

収入面での健闘と費用の少なさによって高い利益をあげている。

 

  Jetstar-JPeachに比べて距離(飛行時間も)が長い。

便当り費用はPeachより燃油費等が多いことが絡んでいると考えられる。

収入はほぼPeach並みにとどまっている。

よって利益は出ているが、Peachに比べて小さい。

  

  Vanilla便当り収入が多いのは発着運賃の高い長距離路線が多いためであり、費用も同理由(長距離)で多い。

 

・ Spring-J規模の効果がなく、収入で費用をカバーできない状態である。 

 

  SKYは、費用はJetstar-J並みであるが収入が大きく上回り、その分利益が大きくなっている。

 

3.1便(片道)当たりの旅客数と収入単価;

  各社の機材や客室仕様(座席数)がほぼ同じであることから、旅客数や旅客単価の傾向も「便当り」と同じ傾向を示している。

 

  平均座席数と旅客数; PeachVanillaJetstar-J180席に154155人の旅客が搭乗している。Spring-J189席に144人、SKYは177席に150人。

 

  /E旅客数; 採算ラインとなる旅客数(B/EBreak Even)はPeach135人で最も少なく、SKYもこれに近い136人。 この2社は採算をとりやすいといえ、結果的に実績としてこれを超えている旅客数(⇒利益をもたらす)が多い。

  Jetstar-Jは費用を回収して採算をとるために151人が必要であり、B/Eを上回る旅客数は3人にすぎない。 VanillaB/Eは実搭乗人数並みの155人。

 

  平均旅客単価と座席コスト; 旅客単価は、LCC3社が10,000円台※でほぼ横並び、VanillaとSKYは約千円上回る11,000円台(SKYの便収入の多さはLCCと同じような路線ながら運賃レベルが高いこと、Vanillaは国際線等長距離路線がおおいことにっよる収入単価の高さからもたらされている)

 ※付加収入をも含む 

座席コストは、Peachのみ7,000円台、Jetstar-J、SKYは8,000円台、Vanillaは路線距離が長いことにより9,000円台。なおSpring-Jはけた違いに高く、赤字の原因となっている。

 

 

4.収益性指標で総まとめ;

 

  LCC各社とSKYの収益性を、路線距離を加味した収益性指標で比較した。

 

        (注)期末機数をもとに算出;期中の変化によっては実態との乖離が

           発生する可能性がある。

 

   Peach 18(期末機数)517億円の収入を得て63億円の営業利益を稼ぐ。

旅客の㌔単価(千㌔当り収入)LCCの中で最も高い9,057円、座席の㌔コストはLCCの中で最も低い6,745円。このため採算ライン(B/E)は74%と低め。

実際の搭乗率はこれを大きく上回る85% ⇒大幅利益を生む。

なお1機が1年間に生産する座席㌔は374百万㌔でJetstar-Jと並び多く、旅客㌔単価の高さもあって1機が稼ぐ年間収入は29億円⇒SKYと並び多い。

実際の運賃は、超格安のキャンペーン運賃など決して割高さが感じられない中で、平均

収入単価が高めとなっているのには、イールド管理の秀逸さが推測される。

 

   Jetstar-J 20機で528億円の収入を得て11億円の営業利益を稼ぐ。

旅客の㌔単価はPeachよりも低く、座席の㌔コストはPeachよりも高い。

このため採算ライン(B/E)は84%と高い。

実際の搭乗率はこれをわずかに上回る85% ⇒小幅ながら利益を生む。

1機が生産する座席㌔は373百万㌔でPeach並みながら、収入㌔単価が低いため、収入は26億円。

 

   Vanilla 12機で240億円の収入を得ているが営業利益を稼げていない。

運賃・便費用ともに距離当りでは低めとなる長距離路線が多いため、平均の旅客㌔単価、座席の㌔コストともに低く、採算ライン(B/E)は86%。

実際の搭乗率は86%と同じため、利益を生んでいない。

1機が生産する座席㌔は352百万㌔で少なくはないものの、収入㌔単価が低いため、収入は20億円。

 

   SKY; 26機で756億円の収入を得て67億円の営業利益を稼ぐ。

旅客の㌔単価がLCCよりも高い10,600円)ため、比較的高い座席㌔コスト(8,132円)にもかかわらず採算ライン(B/E)は77%とLCCモデルでは低め。

(大手2社や中堅3社と比べれば十分高いが)

実際の搭乗率はこれを大きく上回る84% ⇒大きな利益を生んでいる。

1機が生産する座席㌔は326百万㌔とLCC3社よりは少なめながら、収入㌔単価が高いため、年間収入はPeach並みの29億円。

 

 

以上

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