ANA/JAL 2015第三四半期決算の比較  (付)ハワイ線の旅客状況

ANA/JAL 2015第三四半期決算の比較
(付)ハワイ線の旅客状況

 

201622

 

この度発表されたANAJALの第三四半期連結決算を簡単に比較した。

併せてANAが中期的にA380の投入を考えているハワイの旅客状況を眺めてみた。

(注)末尾処理により別表数値(四捨五入)と発表値(切り捨て)とが一致しない箇所がある。

 

1. 決算概観

   収益性; ANAは国際線や付帯事業を中心とした規模拡大による増収と燃油費減等の効果で、またJALは前年並みの収入ながら燃油費減の効果が大きく、ともに大幅増益となった。 ANAは年間利益を上方修正した。⇒図表1参照

 

   旅客の状況; 両社ともに燃油単価低下の効果が大きかった。

国際旅客は燃油サーチャージ減でその効果が減殺されたが、国内旅客は逆に旅客収入単価が上昇した。 

両社の増益には「国内線収益性の更なるUP」が大きく貢献していると考えられる。 また両社の搭乗率格差(JALが高い)が更に拡大した。⇒図表2参照

 

   財務の状況; ANAは航空機と含建設仮勘定の金額が大きく、それに対応して有利子負債の規模も大きい。

純資産は同規模ながら、ANAは株主出資部分が大きく、JALは留保利益が大きい。

 

⇒図表3参照

 

2. ハワイ線の旅客状況概観

 

   ハワイ当局のデータ2014年実績)より; ⇒図表4参照

日本からハワイへの訪問旅客数は151万人で、国際線の約6割を占めている。

JALがその36%を、ANAは約10%を占める。

日本人訪問旅客の地域別内訳、供給座席の発地空港別内訳もピックアップした。

なお韓国や中国からの訪問旅客はまだ少ない。

 

   日本=ハワイの便数内訳2月のダイヤより )

現時点での発地空港別便数(1日当り)をピックアップしたのでご参照下さい。

 

将来ANAが超大型機のA380を導入(3便)すれば、需給は一挙に緩み、競争激化が容易に予想される。 但し現在進行している小型化・高搭乗率化で、仕入席数が減少している旅行会社には朗報とも考えられ、地方からの乗継需要の喚起などとも相まって、ハワイ線の需要がブレークすることも期待される。

 

 

 以上

海外事情

 

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。

 

 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。

 

 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)