年末年始の旅客実績は?

年末年始の旅客実績は?

   201617

 

国内の航空各社が公表した年末年始(12/251/3)の旅客実績をとりまとめ、若干の考察

(といっても単なる推量の域を出ないが)を行った。

 

1.国内線の概要と考察

  旅客数は前年より+24千人(+0.8%)増えて3,047千人となった。

・うちLCCは+25千人(+10%)、JALも+14千人(+%)増加。

ANAは減少(富山・小松での北陸新幹線の影響等か?)。

・中堅のADOとソラシドも減少(LCCの影響か?)。

 

  搭乗率は、LCCとスカイマーク(SKY)が80%台後半、大手2社と中堅は70%台。

ANAが小幅低下、中堅のADOとソラシドは大幅に低下

・実績搭乗率を12/8時点の予約率と比べると、LCCが+14.8ポイントで多くの駆け

込み需要を獲得した。(12/8時点の予約率は大手2社とほぼ同じレベルだった。)

 

  旅客シェアはANA46.2%JAL32.8%LCC9.5%

・夏季繁忙期には10%を上回っていたLCCのシェアは9.5%に留まった。

大手2社とLCCとの搭乗率格差が夏季繁忙期より小さかったことによる。

(夏季繁忙期)大手2社 75.5%、LCC 91.5% 差16.0ポイント

(年末年始) 大手2社 74.0%、LCC 86.4% 差12.4ポイント

→ 年末年始客は大手の選好度が高い? またはLCCも運賃を比較的に高く

設定したためか?

 

2.国際線の概要と考察

  旅客数は前年より+65千人(+12%)増えて601千人となった。

LCCは規模増により+31千人(+64%)の大幅増となったが、大手2社も+34

千人(+7%)と増加した。

 

  搭乗率は、LCC(規模増が大きく前年より低下)JAL85.9%、ANA79.4%。

JALANAの搭乗率の差は6.5ポイントと拡大した。 

Peach91.5%と図抜けて高く、Jetstar-J71.8%に留まった。

 

 LCCの旅客シェアは13.2%となった。

ANAの旅客シェアは42.0%だが、系列LCC2社を加えると53.1%となり、

JALJetstar-J46.9%を大きく上回った。

 

 

 

《図表1》年末年始旅客状況の概要

 

《図表2》年末年始旅客状況の概要

《図表3》旅客シェア

    国内線                     国際線


 

《図表4》年末年始旅客状況 会社別詳細

 

 以上

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)