新たな指導者たち、パンデミック後のエアインディアとインディゴの運命を決めるだろう

当分析はCAPAが2022年5月24日に発表した

 

New leaders will determine post-pandemic fortunes for Air India and IndiGo

 

JAMRが全文翻訳したものです。

2022年6月6日

新たな指導者たち、パンデミック後のエアインディアとインディゴの運命を決めるだろう

24-May-2022

 

インドの2大エアラインは、この国のエアライン部門が、劇的に変わり、競争の激化する背景の中で、新たな局面に入ると言う事実を強調し、高名なCEOの採用を明らかにして居る。

 

エアインディアとインディゴは、共に、外国のエアラインから、経験豊富なエアライン指導者を選んだが、一方インドの他のエアラインも最近、CEOの交代を行って居る。このことは、パンデミック後の期間に、インドのエアライン業界に極めて異なる様相を与える事になるだろう。

 

指導層の刷新は、エアライン自身がリストラ、所有者の交代や再出発で、ふるいにかけられて来た多くの例にある様に、時宜にかなったものだ。インドのエアライン分野は、これから数年間、見守るのに最も興味深い、そして躍動するものになるだろう。 

 概要 Summary:

  •  KLMのピーター・エルバーズが、2022年10月1日までに、ロノジョイ・ダッタに代わりインディゴのCEOになる。
  • インディゴは53.9%の旅客占有率で、インド国内線市場で、最大の企業になる。
  • KLMは、最近署名したコードシェア契約により、インディゴへの繋がりを持って居る。
  • キャンベル・ウィルソンはSIAグループから転じて、エアインディアをCEOとして引き継ぐ。
  • ウィルソンはSIAのLCC子会社を率いたが、同時に親会社での幅広い経験を持って居る。 

ピーター・エルバースは、成功し発展するエアラインを引き継ぐ

 

最も新しい展開では、2022年5月18日、インディゴは、現在KLMのトップであるピーター・エルバースをその新しいCEOに指名した。

 

エルバース氏は、2022年10月1日以前に、現在のインディゴCEOで2022年9月30日に引退予定のロノジョイ・ダッタと交代で、インディゴの最高指導者の地位を引き継ぐことになって居る。

 

インディゴの取締役会はエルバース氏を選んだのだが、彼の任命は依然管理当局の認可待ちである。

 

エルバース氏は、2014年以来、KLMのCEOを務め、同エアラインでの30年間の社歴の中で、幾つかの重要な役職を担って来た。KLMは2022年1月にエルバース氏がCEOとしての3期目の契約をしないと発表して居る。彼はKLMでの任務から2022年7月1日を以て降りる事になって居る。

 

一瞥すると、大手のレガシー・フルサービスエアラインのトップにとって、LCCの指揮をするのは、大きな変化の様に見える。然し、インディゴは単なるLCCでは無く、インドの民間航空総局に拠れば、第1四半期には旅客の53.9%の占有率を持ち、インドの巨大な国内線市場に於ける支配的な役割を担って居る。

 

インディゴは275機の航空機を擁する保有機群を持ち、なお500機のエアバス狭胴機が発注済みとなって居る。

 

インディゴの次の拡大局面は、より国際線市場に集中することになるだろう

 

エルバース氏という人選は、国際線市場で、もっとずっと大きな存在になりたいと言うインディゴの熱望に上手く合致する可能性がある。

 

同エアラインは、コロナウイルス・パンデミック前に、その国際線便を増やす事に力を入れ始めて居て、COVID後の局面には、同社の事業拡大の主力を国際線市場に集中すると示唆して来た。アライアンスの提携も、更に重要になって来た。この分野でのエルバース氏の経験は、インディゴにとってとても役に立つと思われる。

 

エルバース氏は、インドのエアラインには縁遠い、と言うのは大間違いである。KLMとインディゴは、2022年5月13日に、その路線網を繫ぐ新たなコードシェア契約に署名して居る。これは、インディゴとエアフランス-KLMが合意に至った契約の一部である。

 

KLMは現在、ムンバイとデリーに飛んで居るが、2020年5月23日からバンガロールを加える。インディゴとの契約は更に広くインドの諸都市への乗継を可能にする。

 

インディゴにとっては、エアフランス-KLMとの契約は、国際線の、特に米州と欧州での品揃えを改善出来る。

 

コードシェアの契約が発表された当時、エルバース氏はインディゴを、多くの顧客満足賞を受賞した「近代的な保有機群を持つ、成功したエアライン」であると賞賛した。CEOの採用が明るみに出た後、インディゴのラーフル・バティア専務は、エルバース氏の「(エアラインの)ビジネスに対する深い理解とエネルギーと情熱に裏打ちされた、伝説的な質の高い指導力」と評して居る。

 

バティア氏はまた、ダッタ氏を「エアライン史上で最も波乱に富んだこの期間の、ほぼ4年間、我らのビジネスを効果的に導いてくれた。」と讃えて居る。

 

キャンベル・ウィルソンは、エアインディアで、より問題の多い役割に直面する

 

インディゴの経営陣の発表は、エアインディアが、キャンベル・ウィルソンを民営化後初のCEOに選び、自社の主要経営幹部の人事異動を明らかにした一週間後だった。

 

ウィルソン氏は、現在シンガポールに本拠を置くLCCスクートのCEOで、2022年6月15日に、同エアラインを去る事になって居る。エアインディアの新しい所有者たちからは、この赤字の前フラッグキャリアーを収益性へと動かす使命を課せられるだろう。

 

エアインディアの取締役会がウィルソン氏の指名を承認して居る一方で、彼がインド国籍でないことから、まだ管理当局の審査を受けねばならない。

 

ニュージーランド人であるウィルソン氏は、スクートの親会社であるシンガポール航空(SIA)グループのベテランである。1996年、彼はSIAに入社し、グループ内で幅広い職務を経験した。2011年から2016年の間に彼は、スクートの起業CEOとなり、次いで、シンガポール航空の、セールス&マーケティング担当の上級副社長に任命された。

 

2020年4月にウィルソン氏は、スクートCEOに返り咲いた。

 

ウィルソン氏の、同じグループ内でフルサービスと低コスト・ビジネスモデルの両方を通じた幅広い経験が、エアインディアでの役割に相応しいものにして居る。エアインディアはLCC子会社(エアインディア・エクスプレス)を持ち、エアインディアの新しい所有者である、タタ・グループもまたLCCエアアジア・インディアを持ち、フルサービスエアラインであるビスタラの部分所有者でもある。

 

タタ・グループにとって、主たる課題の一つは、これら全く異なるエアラインの全ての平仄を合わせる事だろうし、ある場合には統合を考える事になりそうだ。

 

ウィルソン氏は、SIAグループの中で、スクートを位置づける、主要な役割を担って居たこと、そして、タイガー航空がSIAグループに完全統合された時には、スクートとの合併の実施に関与した事から、これらの問題の両方について多くの知識を持って居る。

 

エアインディアの会長であるN.チャンドラセカランは、ウィルソン氏を「世界の主要な市場で働き、複数の機能を切りまわした、業界のベテラン。。。。更に、アジアでエアライン・ブランドを築き上げた彼の経験を加える事で、エアインディアは恩恵を受ける。」と評して居る。

 

 

SIAのCEOであるゴー・チュン・ポンは、過去何年もの間、ウィルソン氏のグループにして来た貢献を讃えて居る。彼はまた、ウィルソン氏は、我々の「全幅の祝福とともに」エアインディアに行くと述べて居る。

 

SIAとエアインディアの間には大きな繋がりがある。SIAとタタ・グループは、ビスタラの共同所有者であり、両者が共にフルサービスであることから、ビスタラが如何にエアインディアと適合して行くかを決めるために、協働しなくてはならないだろう。少なくとも、エアインディアとビスタラの間ではある程度の協力が必要になるだろうと思われる。

 

 

CEO探しは以前、政治問題に発展したが、新たな問題は少ない筈だ

 

エアインディアは自社を次の局面に導くCEOを確保しようとして、幾つか問題になった事がある。

 

同社は、2022年2月14日、トルコ航空の前会長イルケル・アイジュをCEO兼社長に指名して居た。指名は依然、管理当局の承認待ちだったが、彼は2022年4月1日に就任の予定だった。

 

然し、アイジュ氏は公式に任期が始まる前に、その指名された役割を辞退する事を決心した。これはインドのある政治勢力からアイジュ氏のトルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンとの過去の関係についての懸念に添ったものだった。インド政府はトルコとは緊張関係にあった。

 

アイジュ氏が選ばれる前には、エアラインの経営者として高い評価のあるフレッド・リードが考慮されて居る候補者の一人と目されて居た。

 

 

ジェット航空、その再始動のためインドでCEOを探した

 

インドの航空業界のその他の所では、ジェット航空の再興もまた、良く知られた名前の復活を意味するだろう。

 

エアライン業界のベテランであるサンジーブ・カプールは2022年4月4日、ジェット航空CEOを引き継いだ。彼の最新の職歴はオベロイホテル&リゾーツの社長であったが、彼はまたインドと海外のエアラインの重役を歴任して居る。

 

オベロイに入る前は、カプール氏はビスタラの戦略・営業担当取締役だった。その前は、インドのLCCスパイスジェットのCOOであった。

 

もう一つ最近の経営幹部の指名としては、ジェット航空が、ビプラ・グナティレカをCFOに指名して居る。グナティレカ氏は、以前はスリランカ航空のCEOだった。

 

 

エルバース氏とウィルソン氏は、時宜を得た的確な指導者と思われる

 

外部の観測者にとっては、外国人がインドの二つの大手エアラインを指揮するという事は、注目すべき事かも知れない。然し、このような展開はエアライン業界を通じて良くある事である。

 

特にエアライン分野の様に、世界が互いに繋がりあった産業では、国籍でなく才能の方がより重要である。

 

これら二人の評価の高いCEOたちはインディゴとエアインディアを指揮するのには良い選択であり、両方のケースで、彼らの個々の経験が、この過渡期を通じて、インドの航空業界に恩恵をもたらす筈である。

 以上