エアアジア・ジャパン、日本で5年間で5社目のLCCとなる=成長の鈍化にも関わらず、チャンスは誰にもある

当分析は、CAPAが7月29日に発表した 


AirAsia Japan to be the 5th LCC in 5 years for Japan. Opportunities for all, despite slowing growth

 

をJAMRが翻訳したものです。

2015年8月17日


エアアジア・ジャパン、日本で5年間で5社目のLCCとなる=成長の鈍化にも関わらず、チャンスは誰にもある

29-Jul-2015

 

エアアジア・ジャパンは、2013年に最初の合弁の試みが崩壊した日本のLCC市場に再参入するために、日本政府に対し、航空事業者免許の申請を提出した。エアアジア・ジャパンは、20163/4月に、エアアジア・ジャパン・マーク1が以前の東京/成田で遭遇した、大きな競争や夜間飛行制限の無い名古屋から開業する事を考えて居る。

 

この新LCCの計画では、2016年を6機のA320で終え、その後毎年5機ずつ増やす事になって居る。20157月現在では、新規LCC中で最大のジェットスター・ジャパンがA32020機運航、次いでピーチが16機である。エアアジア・ジャパンは過去の過ちから学んだ事を、そして、本来の汎アジアモデルを、幾らかの地元色を加え、複数の市場に適用できる事を証明する積もりだろう。

日本は引き続き、これらのエアラインの流入から利を得るだろう。国内市場の成長は2%に鈍化して居るが、日本には最近の会計年度で、2007年以来最高の9,200万人の国内線利用者が居た。エアアジアジャパンは春秋航空日本と共に、直接的には市場の79%、間接的には90%以上の占有率を持つANAJALの系列に無い事で独特なエアラインである。

 

国内市場の伸びは鈍化して居るが、一方で日本発国際線の伸びはより大きく9%である。2015年上期の来訪観光客は、驚くべき46%の伸びで、日本政府は2020年までに2,000万人と言う目標を、もっと大胆な目標に掲げ直す必要があるだろう。2013年には漸く1,000万人だったものが、2015年には1,800万人を迎えようとして居るのだ。

 

エアアジア・ジャパン、20163/4月に名古屋から就航を計画

 

エアアジア・ジャパン(マーク2)は、2015721日、日本の航空局に航空事業者免許を申請した。認可は、早ければ201510月にも降りるだろう。エアアジア・ジャパンは、提案する名古屋の基地から20163/4月に、他のエアアジア各社と同じ機材A3202機使って、就航する計画だ。

 

2016年末迄にエアアジア・ジャパンは、A3206機保有すると想定して居る

 

2016年末迄にエアアジアジャパンは、A3206機保有すると想定して居て、その後、毎年5機づつ増やし、2017年末には11機、2018年末には16機で年を終える計画だ。2018年には、2機のA320のオプションがある。 

ジェットスター・ジャパンが、名古屋をハブとして居るけれど、ここを基地とするLCCはエアアジア・ジャパンが初となる。 

ジェットスター・ジャパン、春秋日本とバニラエア(エアアジアとANAの合弁が破綻するまでの初代エアアジア・ジャパンだった)は、東京/成田を基地とし、一方ピーチアビエーションは大阪/関西に基地を置いて居る。名古屋は、大阪/関西の様に24時間空港で、成田にはカーフュー(夜間使用制限)がある。エアアジアは、成田に現存する激しい競争と共に、カーフューを避けたいのだ。


日本のLCCの拠点(現実/提案中):20157月現在 (表1)

Source: CAPA - Centre for Aviation

 

エアアジア・ジャパンの地理的条件は、今回は少し違うかも知れないが、競争の力学は変わらないだろう。エアアジア・ジャパンは、またしてもジェットスター・ジャパンと競うことになるだろう。エアアジア・ジャパンは、拠点である名古屋で、即ちジェットスター・ジャパンの第2拠点である地で、素早く、リードを確立したいだろう。またエアアジア・ジャパンと、嘗ての合弁の相手であるANAとの間に、若干の競争があるだろう。

これは、ANAとの提携の下、日本の市場に最初の参入を試みて味わった苦い思いを、未だに忘れられないエアアジアにとって、貴重な戦いである。

<関連記事参照>エアアジア・ジャパン・マークII2012年以来日本で5番目のLCCに=より深い知識と準備を整えて 3-Jul-2014 

 

名古屋は、LCCにとって、戦うにはとても興味ある市場である。その他のLCC拠点都市、東京と大阪では、ある種の隔離状態がある。何故ならLCC各社は、旅行者からはより好まれ、ANAJALも殆どがそこから飛んで居る国内線空港(それぞれ羽田と伊丹)に比べ、都心から遥か離れた国際線空港(それぞれ成田と関西)から運航して居るからだ。成田と関西は、関西は独自の票田を持つものの、従来のLCCの概念から言うと、ほぼ副次的空港に当たる。(羽田で唯一の日本のLCCである、ピーチの限定的ではあるが、羽田発台北線は例外である。)

 

<関連記事参照>ピーチ・アビエーション、東京を基地として日本の路線網を固める=春秋ジャパンは増資を図 29-Jan-2015

 

名古屋では、空港は一つしかなく、東京や大阪の様な空港への距離の方程式も、得失に迷う事もない。これが、LCC対フルサービスエアライン間の、より直接的な競争を生む事になるだろう。ANAは、国内線供給席数の圧倒的な56%を占め、JAL14%で第2位の規模である。JALが部分所有するジェットスター・ジャパンは13%のシェアで第3位である。JALが、ANAに対して小さい事が、ジェットスター・ジャパンが、ここに第2の基地を置き、JALグループとして、ANAに対抗して2枚看板で競争を挑む戦略的理由である。名古屋は、日本の高速鉄道である、新幹線と結び付いていて、関西空港や成田空港に比べて、容易に鉄道利用が出来る。

 

名古屋国内線のエアライン別供給席数:2015727日〜82(表2)

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

国内線の大きな規模にも関わらず、ANAは、ごく限られた国際線しか飛ばして居ない。ANAの国際線と言えば、737の香港と上海/浦東デイリー便だけである。JALは名古屋で最大の国際線エアラインだが、市場占有率は11%に過ぎず、中国東方の10%やキャセイパシフィックの9%と大した差は無い。JALは、名古屋から、バンコク、ホノルル、上海/浦東、台北/桃園そして天津にデイリー便を飛ばして居る。

 

名古屋エアライン別国際線供給席数:2015727日〜82(3)

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

バブルの拡大を見せる春秋航空

バブルの拡大を見せるのは春秋航空で、この中国のLCCは、20157月には、中国の4都市から、週間14便を飛ばして居る。春秋は名古屋から、短期間に目的地を8地点に増やし、2015年秋には、週間便数も28便に、また、2015年末迄に、42便にする計画である。42便は、JALと中国東方を抜いて、春秋を名古屋の国際線で最大のエアラインに引き上げる。

 

春秋の日本の子会社春秋日本は、名古屋発着便を持たないため、当面春秋の存在感は、名古屋=中国間市場に限られるが、ここに、大きな商機が待って居る。

 

春秋は、やがてエアアジアジャパンの名古屋での野望に対抗出来る様な、さらに大きな存在となるべく地ならしをしていると言えるかも知れない。

 

春秋は、2017年頃、名古屋空港近くに、より豊かな宿泊施設の選択肢を提供する為に、14階建て250300室のホテルを建てる事を検討して居る。

 

<関連記事参照>春秋航空、創立10周年=監督官庁の支持とIPOが更により野心的な国際線拡大を助ける 20-Jul-2015

 

最初のエアアジア・ジャパンの路線は、福岡、札幌、そしてソウル

エアアジア・ジャパン・マーク2の最初の路線網は、エアアジア・ジャパン・マーク1によく似たものになるだろう。最初の目的地は、福岡、札幌、そして、国際線は、概して認可が降りるのに、より時間がかかるけれど、ソウル/仁川である。仙台と台北/桃園は後日追加されるだろう。仙台の他は、全てエアアジア・ジャパン・マーク1が飛んで居た地点である。

 

OAGのデータによれば、ジェットスター・ジャパンは(少なくとも未だ)エアアジア・ジャパンの計画する福島路線を飛んで居ないが、福岡、札幌にそれぞれ毎日2便を飛ばして居る。ジェットスター・ジャパンはこの他に、毎日、熊本に1便、鹿児島に2便、沖縄に1便飛んで居る。

 

エアアジア・ジャパンは201511月に営業路線の正式発表を行い、その後間もなく売り出しを開始する予定である。長距離の姉妹LCCであるエアアジアXは、20152月に休止して居るクアラルンプール=名古屋線を復活させる計画だ。詳細計画に依るが、エアアジアXとエアアジア・ジャパンは双方向の乗り継ぎサービスを行う模様だ。然し、エアアジア・ジャパンは、自立し、長距離姉妹エアラインの助けに頼ってはならない。 

 

エアアジア・ジャパンの初期路線網:20157月現在(表4)

Source: Great Circle Mapper 

 

 

エアアジア・ジャパンは日本で過去5年間で5番目のLCC

 

20163/4月の開業と言うのは、多分楽観的に過ぎたのだろうが、2015年後半と言って居たのからは遅れる事を意味する。2015年に入って、この時期については2015年遅くから2016年早く、に変化して居た。エアアジアのスカイマークに対する興味が、多分、合弁話の進展に待ったをかけたのだろう。

 

それにも関わらず、エアアジア・ジャパンは若し認可が降りれば、日本で過去5年間で5番目のLCCになる。これには、フルサービス色の強いハイブリッド型のスカマーク、ソラシード及びスターフライヤーと言う、日本の「新規参入社」は含まれない。

 

日本のLCCの概要:2015727日からの一週間

Airline

Launch

Aircraft

Airline Ownership Affiliation

Main Base

Secondary Base

Domestic

Int'l Split

Domestic Seats

Domestic Destinations

International Seats

International Destinations

Jetstar Japan

Jul-2012

20xA320

JAL, Jetstar (Qantas)

Tokyo Narita

Nagoya, Osaka Kansai

97%/3%

111,300

11:Fukuoka Airport,Kagoshima Airport,Kumamoto Airport,Matsuyama Airport,Nagoya Chubu Centrair International Airport, Oita Airport,Okinawa Naha Airport,Osaka Kansai International Airport,Sapporo Chitose Airport,Takamatsu Airport,Tokyo Narita Airport

3,300

1: Hong Kong International Airport

 

Peach Aviation

Mar-2012

16x A320

ANA

Osaka Kansai

Okinawa, Tokyo Narita

72%/28%

57,000

10: Fukuoka Airport,Kagoshima Airport,Matsuyama Airport,Nagasaki Airport, New Ishigaki Airport,Okinawa Naha Airport,Osaka Kansai International Airport,Sapporo Chitose Airport,Sendai Airport,Tokyo Narita Airport

21,900

5:Busan Gimhae Airport, Hong Kong International Airport,Kaohsiung International Airport, Seoul Incheon International Airport, Taipei Taoyuan International Airport

Spring Airlines Japan

Jul-2014

3x 737-800

Spring Airlines

Tokyo Narita

-

 100%/0%

 7,808

 3: Hiroshima International Airport, Saga Airport,Takamatsu Airport, Tokyo Narita Airport

 0

0

Vanilla Air

Aug-2012 as AirAsia Japan, Dec-2013 as Vanilla Air

8x A320

ANA

Tokyo Narita

-

 65%35%

23,700

 4: Amami O Shima Airport,Okinawa Naha Airport,Sapporo Chitose Airport,Tokyo Narita Airport

 12,600

 3: Hong Kong International Airport,Kaohsiung International Airport, Taipei Taoyuan International Airport

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

日本の国内線市場は2%の成長、ANAJALの占有率が80%を下回る。ジェットスター・ジャパンの伸びが最大

 

LCCの参入は国内線市場が成長するのを助けて居る。2014年度(20153月までの1年間)、国内線の総旅客数は9,200万人に達し、2007年度の9,480万人以来最高となった。然し、これまで史上最高であった2006年度のほぼ9,700万人を未だ超えて居ない。2012年度、2013年度に新規LCCの開業で、急速な伸びを示した後で、2014年度の国内線の伸びは、わずか2%である。 

 

日本の国内線の旅客数:1994年度2014年度(表5)

Source: CAPA - Centre for Aviation and MLIT

 

市場はANA47%の占有率、そしてJAL(日本トランスオーシャン航空を含め)が32%と、ANAJALの独壇場である。

 

日本のエアライン別 国内線市場占有率:2014年度(表6)

Source: CAPA - Centre for Aviation and MLIT

 

国交省の統計によれば、2014年度、ANAJALは併せて、国内線市場の79%を占める。これには、エアライン各社の部分所有や、ANAによるバニラエアの100%所有については含まれて居ない。スカイマークと春秋航空日本だけが、ANAJALの系列から独立して居る。春秋日本は0.1%以下の占有率だが、スカイマークは、このエアラインに興味を抱かせる所以の、東京羽田の発着枠をかなり持って居り、7%を占めて居る。

 

<関連記事参照>デルタ航空のスカイマークへの出資提案=あり得べき大韓航空との合弁計画に暗雲を漂 17-Jul-2015

 

エアアジア・ジャパンはANAJALから独立したもう一つのエアラインになる予定だ。

エアアジアは最近までの発表では、エアアジア・ジャパンの49%の株式を保有する。エアアジアは単独で筆頭株主になり、かなりの影響力を持つだろうが、日本の企業が、必要な過半数の地元資本を保有する事になる。その他の投資家たちは殆どが航空・旅行関係の業界からだ。

 

エアアジア・ジャパンへの投資企業:

l  エアアジア・グループ: 49%

l  オクターブ・ジャパン・インフラファンド: 19%

l  楽天: 18%

l  ノエビア・ホールディング(航空機リース業との複合企業): 9%

l  アルペン(スポーツ企業): 5% 

 

ANAJALの市場占有率:2002年度2014年度(表7)

Source: CAPA - Centre for Aviation and MLIT

Note: JAL includes JTA


2014年度の2%成長とは190万人の旅客数増加に等しい。ジェットスター・ジャパンはこの増加旅客数のほぼ2/3を輸送して居る。JALとピーチがこれに次ぐ成長を達成して居る。これは2013年度にANAが最大の成長を見せたのに対し変化して居り、2014年度は実際に国内線輸送旅客数を落として居る。

 

国内線旅客数の対前年同期比:2014年度エアライン別(表8)

Source: CAPA - Centre for Aviation and MLIT

 

日本発国際線旅客数は9%成長し、一方、2015年度上期日本着の旅客は46%の成長

 

国内線の旅客の伸びが鈍化して居るのは、日本発国際線の急速な成長の影響である。2014年度、1,650万人の日本人が国際線を利用した(日本及び外国エアラインを併せて)

が、これは世界経済危機とJALの経営破綻に伴う路線網縮小が起こる前の、2007年に記録した1,770万人以来、最大の数である。

 

日本のエアラインの国際線旅客数:2003年度〜2014年度(9)

Source: CAPA - Centre for Aviation and MLIT

 

この国に来易くする円安に助けられて、日本は、2013年の1,000万人から2020年の2,000万人、2030年の3,000万人と観光推進を行って居る。

 

2014年暦年では1,340万人の来日客を迎え、2015年上期は46%の成長を達成して居る。2015年の6月までを見ると、日本は、20148月時点の数を超えて居る。もしこのまま成長が続けば、2015年に日本は、目標を大きく超えて、1,800万人の来日旅客数を達成する可能性がある。CAPAが以前に報じた様に、日本の観光目標は、低過ぎで、特にビザ発給の規制緩和があった事から、かなりの成長をする能力がある。

 

<関連記事参照>



展望:5つのLCCには戦略を実践する余地がある

 

日本のLCC分野で、多分最も重要な展開はピーチの羽田進出だろう

 

日本はLCC各社からの成長の実績では、順調に目標を達成して居る様である。国際線に対して、国内線の成長を促すことへ、そして、観光業界の指針として、もっと野心的な目標設定に改める事へと、今や疑問が投げかけられて良い筈である。日本のLCC分野で、多分最も重要な展開はピーチの羽田進出だろう。

 

東京/羽田=台北/桃園の便を運航するのに、活用されて居ない国際線の夜間発着枠を選ぶ事で、ピーチは市場に、価値ある商品提供をして居る。然し、ピーチは市場が成長するに連れ、確実により多くの発着枠と支援を求める様になるだろう。彼らの言い分には多分理があるだろうが、伝統的エアラインの力も、依然としてかなり厳然として働いて居る。

 

5つのLCCはそれぞれの適所を見つけ出す事が出来そうである。問題は、彼らが自らの戦略を実践出来るかどうかだ。春秋日本は国際線運航の認可を待って居り、バニラエアは依然として、より競争の少ないレジャー路線の運航を始めようと検討して居る。

 

エアアジア・グループは、他の幾つかの子会社の弱点に取り組むのに忙しい中で、日本での営業を開始しようとして居る。エアアジアにとって、マレーシアとタイの子会社は、その市場での先駆者である事から、強力である。

 

日本ではエアアジアは、もはや先駆者でもなければ、先陣を切った一群の1社でも無い、然し、この国でLCCの歴史はまだ浅く、エアアジア・ジャパンに強力な居場所を見つけ出す事が許されるだろう。CAPAが先に予想した様に: 

 

過去の経験から学ぶことは、成功を得るためには極めて重要な事である、そしてエアアジアはこの点で全く咎無しとしない。エアアジア・ジャパンの目標とすべきは、今や自ずから際立って居て、日本のエアラインから独立して居る事だ。新たな春秋航空の現地子会社とともに、全ての現存LCCと違うのは誰にもつながって居ない事だ。

 

この事は、どの市場でも、そして、多分いつの日か中国でも、本拠地として動ける、汎アジアのLCCとしてのエアアジアが能力を発揮するのを助けてくれるだろう。 

                                        以上

AirAsia Japan to be the 5th LCC in 5 years for Japan. Opportunities for all, despite slowing growth